着れない服。淡い後悔。
服を選ぶのは苦手な方だ。困ったら黒いパンツとユ○クロのコラボTシャツで済ます。冬場はチェックシャツ。
おしゃれしなよ。と勧められ服を買いに行った。服を買うのに着ていく服がないとはこういうことなのか。とタンスの衣類を見て、コーディネートの少なさに頭を悩ます友人を眺めていた。(自分のことなのに)
友人が選んでくれた服を試着室で着せ替え人形のように片っ端から着ていく。
1着ごとに友人はあーでもない。こーでもないとぶつぶつ呟き次の服を探しに行く。
「次これ着て!」
渡されたのは黒のノースリーブのシャツ。サイズは多分問題ない。
着れない。いや、着たくない。だ。
脇が黒いとか。二の腕が肉振り袖だ。とかじゃなくて。
二の腕に残る茶色い線。白い線。自傷行為をした傷跡がいまだに二の腕に残っているからだ。薄くなったとはいえ残る線。
自傷行為をしてはいけないってこういうことなのかもしれない。後悔より納得が先に来た。それと同時に長袖が必要なのか。太い二の腕に残る傷を指でなぞりながら思ったのだ。
自傷行為をしていたのは訳あって。それはさておいても。
着れない服の理由が過去の自分ってのは少し切ないなぁと。間違ってる行為でもそれをせざるおえないほど追い詰められていたり、ギリギリだったわけなので。そしてそれは困ったことに、きっぱりやめられるものではなく、時折衝動的に切りつけてしまうのである。
長袖のガーデンを羽織ったら似合うと友人に言われ、そのノースリーブはガーデンとともに会計に出した。