新幹線
新幹線はワクワクする乗り物。滅多に乗らないし、非日常のような。旅行とかで乗るからかな。
上野駅の地下ホーム。長い長いエスカレーターを下り、大きな発車案内モニターで号車と位置を確認して並ぶ。
ブレーキのかかる金属音と共に入線する新幹線。行き先や停車駅の案内放送。
私は新幹線に乗るまでのワクワクが好きだったのだ。今は悲しくて寂しくてしょうがないが。
新潟で独り暮らしを始めてもうじき1年たつが寂しさは小さくなっても消えずに残ってる。そのうちキレイさっぱり消えてしまうかもしれないけど、多分もうしばらくこの感情と同居するのだろう。ホームシックという奴だ。
新潟から東京に帰省するときは高速バスや在来で帰るが、新潟に戻るときはほぼ新幹線だ。休暇のギリギリまで実家でゴロゴロしてたいからだし、何より翌日も仕事だからだ。
休暇最終日も出掛けたりするとそのまま上野駅まで家族が見送ってくれる。新幹線の改札口で手を振ってくれるのだ。振り返れば泣きそうになるから、ほぼ振り返らずに長い長いエスカレーターを下る。
「振り返ればよかった」
そうやっていつも後悔するのだ。振り返れば泣くくせに。寂しいくせに。
今回の帰りもセンチメンタルで。思いきって振り返って手を振ってからエスカレーターに乗った。
でもやっぱり寂しくて。悲しくて。
振り返った瞬間。少しだけ。ほんと少しだけ、母親が寂しそうな顔してて
すごく罪悪感というか、申し訳なさが出て来てしまって。妹がいるし、まだ40代後半の母親だからすごく心配ってことはないんだけど、なんかこう「ごめんね」って。
エスカレーターが滲んでいく。目をこすって新幹線を待つ。
ワクワクした楽しい乗り物だったのに。
今は悲しくて寂しくて仕方ないよ。それでも‘’東京行き”に乗れば帰れるから。
いつか‘’新潟行き”もあの頃みたいにワクワク出来ると良いな