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「飯沼一家に謝罪します」 個人的な疑問点について

テレビ東京の年末の風物詩ともなりつつあるフェイクドキュメンタリー
2021年の「Aマッソのがんばれ奥様ッソ」、2022年の「このテープもってないですか?」に続き、今年の「飯沼一家に謝罪します」も、本当によくできた作品だった。

作品内容についての考察は、SNS上でも盛り上がっており、単に作品を視聴するだけにとどまらず、色々な考察を踏まえて、より作品に対する理解を深めていける(=考察の余地がたくさんある)点がフェイクドキュメンタリーの醍醐味だと改めて実感した。

ここでは、全4回を視聴する中で、個人的に気になった疑問点について考えていきたい。皆さんの考察の一助になれば幸いである。

以下の内容は、全4回を全て視聴された方向けです。未視聴の方は、TVer等でご視聴ください。


1.『飯沼一家に謝罪します』は、誰に向けて謝罪しているのか?

2004年に放送されたというこの番組において、謝罪の対象としていたのは、次の二つと考えられる。
①飯沼一家
②岸本良樹と良樹母

番組内で矢代は「飯沼ご一家に謝罪します」と語っていることから、矢代が実施した儀式が原因によって不幸になった飯沼一家、厳密にいえば火事で死亡した父・母・妹に対して謝罪していると考えられる。

©️テレビ東京/TXQ FICTION

一方でこの番組は、飯沼明正の代役として儀式へ参加した岸本良樹の母親が、わざわざダミー企業(池田IC食品)を設立させてまでも作成させた番組であり、番組の発起人である良樹母と、儀式によって廃人同然となった良樹に対しても、矢代は謝罪すべきだと考えられるが、あくまでも番組の構成上は飯沼一家への謝罪としている点は、不可解なポイントである。

ここでいう飯沼ご一家には、明正は含まれておらず、明正を除く父・母・妹と、明正の代役となった良樹のことを指しており、明正はその他謝罪の対象ではないのだろう。
(明正自身も、矢代から謝罪をうけるようなことは一切ないと語っていた。)

2. 『飯沼一家に謝罪します』は、どこのテレビ局で放送されたのか?

2004年5月に放送されたという『飯沼一家に謝罪します』。この番組は、池田IC食品の一社提供番組であることから、どこかの民放テレビ局で放送されたことになる。
またこの番組に関するインターネット上の噂話には、「とある地方局」で放送されたとの記載があったことから、「地方の民放テレビ局」で『飯沼一家に謝罪します』が放送されたと仮定すると、どこの地方で放送されたと考えることが自然だろうか?

©️テレビ東京/TXQ FICTION

①埼玉説
飯沼一家が居住しており、飯沼電気工業の関係者や知人も暮らしているであろう、埼玉を対象とした放送局で放送された。

②徳島説
この番組の発起人である岸本母と廃人となった良樹が居住する徳島を対象とした放送局で放送された。

岸本母が
「皆さんの前で謝ってほしい」
「東京の知人に依頼して、健康食品の会社を立ち上げ、その会社がスポンサーになって(番組を作成してほしい)」

と語っていることから、首都圏ならびに謝罪の対象がより多いと考えられる埼玉説を推したい。

©️テレビ東京/TXQ FICTION


3. 良樹は、なぜ飯沼一家と旅行をしているのか?

良樹は明正の代役として上京し、飯沼一家と共に以下のイベントへ参加している。
7/25:
 儀式
7月下旬〜8月中旬:
 『幸せ家族王』のオーディションと出演
8/20〜26:
 曰く付きスポットへの旅行

まるまる夏休みの期間ではあるが、1ヶ月以上の期間、徳島を離れ埼玉で飯沼一家と一緒に過ごしていることになる。
良樹と飯沼一家の関係性は、飯沼電気工業の社員の甥と、飯沼電気工業の社長家族の関係に過ぎない中で、1ヶ月以上の滞在には違和感がある。

儀式の影響下にあった良樹はまだしも、良樹母はなぜ良樹が飯沼一家と共に過ごすことを認めたのか?
言及はなかったが、良樹母に対しても儀式の影響が及んでいた可能性を指摘したい。

4. 妹の同級生とは何者だったなのか?

作品中で、スタッフによる取材の中で、「飯沼成美(妹)の同級生」だという男性が登場している。
その男性は、「同級生だったと思うんですよ、中学の時の」と語っていた。

©️テレビ東京/TXQ FICTION

飯沼明正と成美の年齢について、作品中で詳細は言及はなかったものの、成美の年齢は『幸せ家族王』への出演時点で、小学3-4年生くらいに見える。

©️テレビ東京/TXQ FICTION
©️テレビ東京/TXQ FICTION

『幸せ家族王』への出演直後、成美は火災で死亡していることから、中学校へ進学していたとは考えにくい。それなのに男性が、中学の同級生と語ったのは、何故なのか?

単なる男性の思い違いなのか?それとも儀式の影響が広範囲に及んだことで、男性の認知や記憶といった部分にも影響が出たのか?
(個人的には、「イシナガキクエを探しています」における"処置"の影響により、あやふやな目撃証言が多数寄せられたという考察と同様に、この作品における儀式も、影響が広範囲に及ぶのではないかと考えたい。)

最後に

今回の「飯沼一家に謝罪します」は、過去のテレビ番組を検証するという形をとっており、テレビで放送されることで最も効果的になるフェイクドキュメンタリーであったと感じる。

これは、過去の作品「イシナガキクエを探しています」「このテープもってないですか?」も同様であったが、今後もテレビならではの良質なフェイクドキュメンタリーを作り続けて欲しい。

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