FKQⅡ 護国聖獣バラダギの思考と行動

・キラークイーン村とは

 キラークイーン村(以降KQ村)とは、人狼ゲームのシステムを使用したデスゲームである。13人の参加者(これは異なるケースもあるが)が集い、トランプの番号(A~K、Joker)と固有のクリア条件、ツールを配布される。

 参加者は、個人間通信である「秘話」とツールを駆使し勝利を目指す。村は自動で生成されるわけではなく、有志のGM(ゲームマスター)が趣向を凝らし設定や条件を練り上げ、開催が告知される。詳しくはKiller Queen Wikiを見ていただくのが良いだろう。

・この記事は何?

 本記事は2021年1月に開催されたKQ村、Fate Killer Queen Ⅱ殺戮英霊遊戯 キラークイーン A.D.1891(以降FKQⅡと表記)に参加した際に、自分が何を思いどう行動したかの記録である。

 自分の行動を整理すると共に、もしKQ村に興味を持った人が「実際参加したら具体的に何をどう考えるの?」という部分を知る材料に少しでもなればよいかと思い、この記事を書く事とした。FKQ2のネタバレ記事となるので、これから読む方は注意して欲しい。

 なお、今回のKQ村はFGOを元ネタにした言い換え村でもあり、トランプ番号の代わりにサーヴァントが配布され、ツールの代わりにスキルや宝具が配布される。人数も11人と少し少な目だ。言い換え村は言うまでもなく知識があって参加した方が楽しめるので、その点も留意されると良いと思う。

・バラダギの構築

 護国聖獣バラダギ。不良である。設定的には「仔猫を助けようとしてトラックに轢かれかけたところでレイシフト、異世界転生と勘違いした気のいい不良。」
 今回、自身は先に言った事と反するが、FGOの知識なく参加することとなった。基礎知識不足でそちらにリソースが取られる事が予想される中、凝ったRPにさらにリソースを割くわけにはいかない。
 なので、ある程度手なりRPで出来、あまり胡散臭くないタイプのキャラチップとして選択。また、馬鹿っぽいキャラとして構築する事で、知識不足が露呈しても「わかんねーから教えてくれよ」で押し通す目論見もあった。

・プロローグ

 ゲームの舞台は1891年倫敦(ロンドン)のベイカー街。探り探りRPをしていると、猫耳っ子「ミタシュ」と遭遇。仔猫を助けてやってきた場所で猫耳っ子は縁を感じるので、声をかけて接触を図る。

 土佐者(浪人ではないらしい)「余四朗」と敵対的な遭遇をしたり、剣豪老婦人「ボイド」、キョンシーの「ツェン」、ミステリアスな日本の高校生「少年A」、シスターの「ロイエ」と交流を行う。積極的に大勢がいる場所に向かう事はしなかったので、プロローグで会話できない相手もそれなりにいたが、そこはそれ。必要ならゲーム内で改めて会話すればいい。出会いにマメな不良は解釈違いなのだ。

 プロローグの縁故も会話や関係性の重要なきっかけではあるので、良好な関係性が築けたと思われる「ミタシュ」「ツェン」「ボイド」には優先的に声をかけようと心に決めた。

・初日開始・情報配布

 ゲームはスタートし、バラダギには以下の条件が配布された。(一部配布内容にミスがあったが、ここでは正しい条件を記す)

『役職:狼血族』のあなたのこのゲームにおける役割は、特にありません。

【サーヴァント情報】
クラス:ランサー 真名:李書文 属性:中立/悪 性別:男性

【勝利条件】
宝具を使用した上で襲撃者全員が死亡する。手段は問わない
※宝具効果の発動の有無は問わない

【宝具情報】
宝具[神槍无二打]  ※GMスキル/アクティブ/真名開放
ゲーム中1度きり。
表ログで自身の真名、宝具、対象、対象のサーヴァントの真名を宣言して使用する。
真名を正答し、対象が襲撃者だった場合、翌日対象に指定した相手を殺害する。
対象が襲撃者以外の場合、このサーヴァントは死亡する。

また、この宝具を使用するまでに一度も[圏境]を使用していない場合、
真名開放が不要となり、翌日効果発揮時に真名開放が行われる。

※この宝具は21:00までに宣言しなければ発動しません。
※この宝具は3日目以降に利用できるようになります。
※倫敦が霧に包まれている場合、効果を発揮しません。
※発動のタイミングでこのサーヴァントが死亡している場合、この宝具は発動しません。
※[圏境]を使用していない場合は、秘話で上記宝具宣言を行ってください。

【スキル情報】
スキル[陰陽交差] ※システムスキル/パッシブ
このサーヴァントが襲撃者かどうかを知るスキルの調査対象になったとき、
実際とは異なる結果が表示される。
※占い/霊能力/GMスキルによる役職通知は「狼」と表示されます。

スキル[圏境] ※GMスキル/アクティブ
毎日1回、対象を指定し、GMに宣言することで発動。
翌日「マスターとサーヴァントが行った会話」と、
「相手サーヴァントが殺害能力を持っているかどうか」が通知される。
どちらからも会話を行っていない場合、このスキルは発動しない。

※会話の内容は「印象を含めたサーヴァントの言葉」で語られます。
※殺害能力とは、システムスキル/GMスキルによる襲撃や殺害を指します。
※このスキルは21:00までに宣言しなければ発動しません。

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 文章量多いなと思ったが、他と比べると自分の条件はシンプルな方だった。サーヴァントは八極拳の李書文、最高である。FGOは詳しくないが、李書文は拳児という漫画で知っている。最強の武人は心が躍る!

・方針検討

 役職、能力、条件を組み合わせて待機時間の1時間しばし自問自答した結果、以下のような方針で進める事とする。ここでの方針検討はゲームの進め方に大きく関わるので、非常に重要となる。

1.狼血族情報は流出させる
 占われて襲撃者(このゲームにおける狼)と出るのは都合が悪い。事前に言っておけば印象が全然違う。聖杯所持者(このゲームにおけるKQの事)SGになる可能性はあるが、そこは立ち回りで何とかする。役割がない時点で積極的にターゲットにされる危険も低いはず。公開するメリットの方が高いと思われる。

2.条件を偽装して襲撃者に付く
 「4日目以降に襲撃で死亡する」条件を偽装して襲撃者に付く。条件は過去のゲーム、キラークイーンLiDで自身が貰った物をアレンジ。
 襲撃者に付く事で襲撃されるリスクを下げ、勝利条件である襲撃者の真名を取得しやすくする。付いた襲撃者が聖杯所持者だったとしても、「襲撃しない事で勝手に死ぬ」と思われれば、最後まで残される可能性もある。保身の為には悪くない偽装条件のはずだ。

3.圏境は使用しない
 圏境はかなり優秀なスキルだ。毎日使え、対象のサーヴァントがわかる人ならわかるだろう。しかし、自分はFGOの知識が無いので会話だけ聞いてもサーヴァントを特定できない可能性が高い。初日は名乗りがあるので恐らく特定できるが、それ以降の保証は無い。
 また、圏境を使ってしまうと宝具を表ログで宣言しなくてはならなくなる。襲撃者に対して明らかに攻撃的な宝具を表ログで宣言するとどうなるか?そう、100%襲撃されるのだ。
 表ログで宣言するなら、最終日ラスト襲撃者を吊るタイミング。それ以外で使う事は不可能であり、勝筋に制限がかかりすぎる。であるなら、圏境は封印し、宝具発動に必要な襲撃者の真名は自力で収集する。どうせ偽装して襲撃者側に潜入するのだ、それが自分のやるべき事だろう。

4.サーヴァントは偽装しない
 
サーヴァント知識が圧倒的に少ない自分がサーヴァントを偽装しても矛盾が生じる可能性があり、追及されても説得力のある回答は出来ない。なので、サーヴァントは偽装しない事とする。基本「隠す」方針で、嘘はつかない事に決めた。

5.目先の生存を最優先とする
 この村では事件が起こる事が予告されていた。どんな事件が起こるかはわからず、起こる事件によっては全ての想定がひっくり返る可能性すらある。
 なので、長期的な計画は立てず「目先の生存を最優先とする」方針で進める事とする。この方針は進行中他参加者にも伝え、「目先で手を組む」為の理由としても使った。

・開幕・ミタシュとの連絡

 1時間の待機時間が終わり、村が開幕した。当初の想定通り、まずミタシュに連絡を取る。ミタシュ側もバラダギをファーストコンタクト相手に選んでくれたようで、初手の連絡はすれ違う形で互いに届く。幸先の良いスタートだ、これでミタシュと条件が嚙み合えばがっつり手を組める…のだが、バラダギは条件を騙る事になっている。

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 襲撃者に付きたい偽装条件は伝えるが、それでも初手に話すミタシュにだけは「そうでなくても組めなくはない」事を伝える。結局ミタシュ側も明確に襲撃者側か殲滅側(襲撃者を殲滅する側)か決められない状況のようで、この時点では互いのざっくりとした職業と役職(バラダギ:三騎士、狼血族、ミタシュ:四騎士、結社員)を交換し、情報は引き続きやり取りしていく約束をする。

 三騎士とはセイバー、ランサー、アーチャーの事であり、このゲームの舞台である倫敦にはおそらくアーチャーの「モリアーティ」がそれなりの中心的役割をもって存在する事が予想された。なので三騎士COはリスクでもあったが、サーヴァント情報は偽装しない方針を決めていたので、教える事にした。
 ちなみに他の三騎士は聖杯所持者の余四朗と黒幕のロイエであり、エクストラクラスを騙っていたので、三騎士として情報が出回っていたのはバラダギのみという事になった。結果的にこの状態は、無防備過ぎるので逆に怪しくないという方向に受け取られていた模様。

・狂信者ロイエの来訪

 自分が狼血族である=占い師もしくは狂信者がいるとは考えていた。どちらかと言えば占い師がいると思っていたのだが、開幕早々にロイエが声をかけてきた。開幕直後のこれは間違いなく狂信者だ、身に覚えがある。(前回の村KQ数値海岸の惨劇で狂信者を割り振られ、開幕同じようにコンタクトを取っていた)

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 ここで襲撃者と答えれば色々情報がいただけるのでは…という誘惑にかられたが、そんな即バレする嘘はまずい。今後襲撃者側に取り入る戦術が根本から崩れてしまう。

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 ぐっとこらえて正直に狼血族であると返答。そのままロイエと会話し、襲撃者にバラダギが協力したがっていると伝えて欲しいと依頼する。見返りは自身の職業が三騎士であること。複数ルートで「襲撃者の味方」情報が入れば、信用は得られやすいはず。ここは、偽条件が本物であるように動いて地固めをするフェーズだ。
 なおここで狂信者センサーにかかった襲撃者は自分以外に3人いたのだが、自分を含めて3人と勘違いし、しばらく襲撃者は2人と思って探す事になる。

・白狼栄一との協力

 襲撃者を探し、色々な人に「襲撃者に組したい」話していたが、なかなか襲撃者には巡り合えなかった。少年Aこと栄一も当初は襲撃者である事を隠していた。が、こちらが狂信者が存在すること、自分の味方になるかもしれないので誰かは教えられない事を伝えると、それで信用を得られたのかどうかはわからないが、栄一が「襲撃制限のある白狼」である事を明かしてくれた。

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 よし、襲撃者と手を組める。ありがたい。が…結社員を騙っている?ミタシュが本物の結社員だからバレたらマズくないだろうか?一先ずそこをフォローする所から栄一の信用を得ていく事にしよう。それに、取り入る事が出来そうな襲撃者がいきなりバレて殺されるのは流石に困る。
 何だかんだと調整をし、自分だけのおかげというわけではないが、最終的に栄一とミタシュで結社員騙りの件はカタがつく。

 また、狂信者ロイエがこの時点で栄一とコンタクトを取っていなかったようで、確認しようとしていた矢先、ちょうどそのロイエ→栄一のコンタクトが入った。それにより、栄一が間違いなく襲撃者である事も確認できた。
 が、すでに開幕2時間が過ぎており、あまりにタイミングが遅い。ロイエと会話した栄一の話では、栄一、バラダギ、ロイエの3人で組めるとの事だったが、ロイエは既に他の襲撃者とガッツリ組んでいる匂いしかしなかった。

・守護者キャロル

 襲撃者を探す過程で全員と会話をしていたのだが、キャロルが守護者である事を明かして来た。いや、守護者は襲撃者の味方と言ってる自分に簡単に明かしちゃマズいでしょ?
 本当の条件は殲滅側なので、守護者が簡単に死んでまうのは本意ではない。あまりその条件は洩らさないように本人に言うが、なんとなく手遅れな予感もあった。あまりに簡単に言うので錬金術師の偽装の可能性も思わなくはなかったが、それならそれで有りなので、それ以上は突っ込まずにおいた。

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・真名ゲットしました

 さて、自分の条件クリアには襲撃者の真名が必要だ。栄一からいつそれを聞き出すかといえば、今だ。正確に言えば、「手を組んだ者同士条件の交換をするなら今が一番自然なタイミング」という事だ。無論、自分からは要求しない。信じあう者同士が自然に差し出す形に持ち込めれば言う事はない。

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 サーヴァントは偽装しない事に決めたので、真実の物を教える。宝具も確殺ツールである事は伝える。李書文であれば「神槍无二打」が宝具である事は明白だろうし、これが殺害ツールでない事の方が違和感だ。また、殺害ツール所有者かどうかを判断するツールを自分が持っているのだから、自分以外が持っていてもおかしくない。バレる嘘はつけない。

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 そして賭けは成功した。栄一の真名をゲットしたのだ。さらに栄一からは余四朗が衰狼である情報ももたらされる。誠実から程遠いのはバラダギの方だったのだが、条件が襲撃者全滅なので仕方が無かった。まずは条件クリアに一歩前進だ。

・2日目・余四朗からのコンタクト

 ランダムで発生する「事件」は2日目は発生せず。そして、栄一の調査ツールでポーチュラカが首無し騎士である事が判明。これで襲撃者3人が判明した。幸先が良い。

 そして余四朗からコンタクトがあり、衰狼である事をCOされたので、是非協力したいと返答する。ここはログを読んだ感じでは、ロイエ経由で情報が伝わった事も効果がありそうに見えた。良かった。

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 栄一と自分が組んでいる事は、ロイエ以外には漏れていない事になっている。余四朗は栄一と自分が組んでいる事を知らないはずだ。
 なので、ここで「襲撃者側バラダギ」のスタンスは、「栄一・余四朗どちらにも協力するが、基本栄一の味方であり、余四朗が栄一に危害を加えそうならそれは教える」という物になる。
 「襲撃者側に潜入している殲滅側のスパイ」が「襲撃者間のスパイ」もする二重構造になり、いささかややこしくなったが、頑張らなければ。

 また、この時点で栄一が「真犯人」ではないかと推測していた。ジキル&ハイドで白狼なら、正体を隠した「真犯人」にマッチする。その辺りも含め栄一に警告を発していた。

・ポーチュラカ吊り工作

 栄一、余四朗とは組めた。一方、ポーチュラカは襲撃者と組みたいと自分がいくら話しても、襲撃者である事を明かしてくれなかった。また、ポーチュラカは真犯人を狙っている=栄一を狙っている可能性が高いわけで、せっかく真名ゲットした相手を自分以外に殺させるわけにはいかなかった。

 というわけで、彼女を初回吊り対象とする工作を開始する事にした。襲撃者全滅という自分の目的にも合うし、なにより「襲撃者側である事を大っぴらにしているバラダギ」が殲滅側に吊られない為に、「襲撃者当人」の情報を流して吊らせる必要があった。

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 襲撃者同士の内紛を装いポーチュラカ襲撃者情報を殲滅側と思しきツェン、ボイド、ミタシュに流す。また自分は知らなかったが、栄一が殲滅側にポーチュラカ首無し騎士情報を流しまくっていた。

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 また、余四朗から「衰退スキップの為に他襲撃者は皆殺す」と聞いたので、その危惧を栄一に伝え、襲撃者の内紛も煽りつつ栄一にもポーチュラカ吊りを匂わせる。

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 その余四朗には、襲撃者を殺すならポーチュラカ吊りがやりやすそうと伝える。工作量が多くて大変だが、ここは踏ん張りどころ。吊り誘導は重要なのだ。

・栄一の真犯人CO

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 ここで前触れもなく、栄一が突然真犯人COをしてきた、これはラッキーだ。ログを読んだ所、余四朗の殺意を感じ取った栄一とロイエがきちんと手を組み、栄一がロイエに真犯人を教え、ロイエに明かしたのだからと自分にも教えてくれたようだった。実に誠実な男である。
 後にこれを含めた全ての情報を名探偵に流す事になるので、実際破滅の原因になったかもしれない。敵なので仕方が無かった。

 また、この時キャロルが守護者である事も栄一に伝えた。キャロルは余四朗にがっつり付いている事が判明しており、襲撃者に付いた守護者など不要なので守る気は無くなっていた。

・ミタシュへの殲滅側CO

 ここまでミタシュとは継続して良好な関係を続けていたのだが、襲撃者側を公言している自分に対して、ミタシュが現実的手段まで持った上で殲滅側に勧誘してきたのだ。ミタシュ側の内情としては、襲撃者を吊る為にどうしても一票足りず、襲撃者側を切り崩したいという意図だったらしいが、それでも自分を選んでくれた事は嬉しかった。

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 正直ここまでは、自分が殲滅側である事は誰にも公開する気はなく、襲撃者と一緒に最後まで行き1人になる瞬間宝具で止めを刺す方針だった。が、流石にこれは心が揺らされた。

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 そして、いくつかの確認をした上で、自分が殲滅側である事をミタシュにCOした。

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 本当の条件を明かすのは精神的負荷が半端無かった。どこからどう漏れて誰に狙われるかわからないし、自分だけで秘匿していた方がずっと安心だった。しかし、情勢的にも襲撃者側は内紛し、殲滅側は団結しているように見えた。そして、それ以上にミタシュに心を動かされたので仕方が無かった。

 この後の展開を考えるに、ここで殲滅側と完全協力する事に舵を切らなかったら吊先調整が出来ず条件未達で死亡する可能性も普通にあったので、結果的には大正解だった。

・余四朗への工作

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 余四朗がポーチュラカと栄一を殺す予定なら、余四朗が勝ったケースに備えて、余四朗の真名も知っておく必要がある。なので、対栄一と同じ作戦を余四朗にも使う事にした。節操は無い。

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 そして、良い感触の返答を貰う。明日教えてもらえるなら言う事はない。そして殲滅側のポーチュラカ吊り情報が余四朗に回り、余四朗チームの吊りもポーチュラカ変更になった。期待通りの展開、万全だ。

 が、ミタシュ襲撃は非常に困る。自分と殲滅側を繋げる要だし、そもそもこの時点で絆されている大事な相手だ。

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 ツェンとミタシュは仲が良いという認識があったし、ツェンの条件は「女性サーヴァント1人死亡と男性サーヴァントn人生存」と聞いていたので、それが正しいなら既に死んでいたダミーのサーヴァント「アビゲイル」で足りる気がした。大っぴらに反対できる立場では無かったが、否定的見解を示した。ツェンが代わりを提示すれば、問題なく変わると思っていた。

・ロイエ、ポーチュラカ、栄一の反撃

 この時点では大勢がポーチュラカ吊りで決まっていたように思われた。が、ロイエ、ポーチュラカ、栄一が手を取り動き始めたのだ。

 まずロイエから自分に連絡がきた。余四朗は殲滅側でありついていくのは危険だ、▼余四朗か▼ボイドをしたい、との事だった。が、この期に及んでも、ロイエはこちらが知っている事を言うまでポーチュラカが襲撃者である事を明かさなかった。

 その後ポーチュラカからも連絡が来たが、やはり襲撃者である事を隠しての接触だった。流石に、目先の票が欲しいだけで自分への優先度が低すぎると判断せざるを得ない。乗り換えの検討をする段階にも行かなかったが、せっかくなので弱みに付け込んでポーチュラカの条件は聞いておいた。

・表ログでの戦い

 対余四朗活動をしたものの、どうやら形勢が悪いとみたロイエは、表ログで「ジェームズ(・モリアーティ)」である事を名乗り、余四朗に対して聖杯所持者疑惑を投げつけた。

 対する余四朗も表に出て、サーヴァント「アンリ・マユ」を名乗り、「自分に投票した者には何らかの害が及ぶ」旨を匂わせ、反撃に出た。

 続いてポーチュラカも「へシアン・ロボ」であり襲撃者である事を名乗り、余四朗が聖杯所持者である宣言をした。

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 余四朗からは「はったりだ」という連絡が来ていたが、あの行動はより聖杯所持者疑惑を深めるのでは?という危惧を自分は抱いていた。
 この状態、殲滅側の投票が割れる可能性がある。どちらに転んでも襲撃者が吊られるのだが、自分の条件を満たす為にはポーチュラカ吊りが必要だ。ポーチュラカの真名がヘシアン・ロボである保証もないし、ポーチュラカ吊り票を投じてポーチュラカが生き残ったら、明日以降自分の立場が厳しい。何とかしなければ。

・殲滅側へ再工作開始

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 まず、ミタシュに連絡だ。余四朗の宣言がブラフである事を伝え、状況が何も変わっておらずポーチュラカ吊りが安定である事を伝える。この時点でミタシュの発言ポイント枯渇を聞いていたので伝言を申し出て、恐らく発言ポイントが残っているクリスに伝えて欲しいと言われる。

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 ミタシュから伝言していいお墨付きをもらったので、クリスに伝達を頼み、ツェン、ボイドには自分でも直接話す。さらにクリスから▼ポーチュラカが回るはずなので、流石に押し切れると思うのだが。少なくとも出来る事は全てやった。

 投票に関しては最終的にしっかりした方針を回すと乗ってもらいやすいので、特に初回吊りがある2日目は最後まで発言ポイントを取っておくのが重要だ。本当に取っておいて良かった。

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 ちなみに翌日真名を教えてもらう都合があるので、余四朗にも安心させる言葉を投げかけておいた。細かいフォローも大事なのだ。

・栄一へのスタンス

 栄一は▼余四朗をして欲しがっているので、自分が▼ポーチュラカをするフォローが必要だ。自分の偽装条件的にも生き残った余四朗に敵対されるわけにはいかないので、それを理由に栄一には▼余四朗に協力出来ない事を伝えておいた。

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・3日目・闇に閉ざされる霧の倫敦

 3日目、事件の日蝕が発生。それと同時に倫敦全域は深い霧に包まれた。吊りはポーチュラカ7票、余四朗4票。最大票数に1票足りないが、十分だ。が、襲撃で殺されたのはミタシュだった。余四朗とツェンの相談が不十分だったのだろうか?これは非常にショックだった。

・余四朗の宣戦布告

 そして発言解禁と同時に余四朗が栄一に宣戦布告。栄一がキャロルを襲撃したというのだ。栄一には襲撃制限があったはずだが?
 囁き狂人であるツェンにキャロル襲撃があったかどうか尋ね、事実であることを確認する。栄一に直接聞くと、昨夜のうちに宝具を使ってハイド化し襲撃可能になっていたとのこと。事前に聞かされないと流石にすんなり信じられないのだが、一先ず受け入れる事とした。

・真名ゲットしました第二弾

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 ようやく余四朗の真名「沖田総司」がゲットできた。本当に相当頑張ったので、信用してもらえたようだ。良かった。衰退が病弱というのは非常に納得いくので、おそらく本物。これで余四朗と栄一両睨みで対応出来る。

 余四朗+殲滅側で栄一を吊り、明日殲滅側で余四朗吊り、自分が宝具発動。これが万全ルートだろう。余四朗の希望でもあるし、堂々と栄一吊り工作を始める事にした。

・殲滅側に真実を伝える

 そして、もう1つやるべき大事な事があった。ミタシュがいなくなってしまったので、殲滅側に改めて自分が殲滅側である事を伝えなくてはならなかった。

 前日ヨリックから条件書き換えによる殲滅側加入を打診されていたので、自分が元々殲滅側だから必要ない事を伝える。またミタシュ亡き後の殲滅側の中心人物がボイドになりそうなので、ボイドにも襲撃者の情報をたんまり土産に自分が殲滅側である事を伝える。

 殲滅側はこの日おそらくミタシュを喰われた恨みもあって▼余四朗が主軸だったが、今日▼余四朗をされて明日栄一が名探偵ボイドの推理で爆死してしまうと、宝具を撃つ対象の襲撃者がいなくなって自分が死んでしまう。そこを正直に伝え、殲滅側票を▼栄一に変更してもらった。変更してもらう過程でクリスにもツェンにも真実の条件を伝える事になった。

 殲滅側が▼栄一、余四朗とキャロルも▼栄一。これで問題ない…と思ったのだが、そうは問屋が卸さなかった。

・余四朗・栄一同盟成立

 余四朗と栄一が手を組んだ。開幕あんなにいがみ合っていたのに、一体何がどうなってるんだ?

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 どうやら栄一が余四朗の所に怒鳴り込んでぶっちゃけた結果、余四朗も我に返って普通に襲撃者同士で手を組むのが得策という事になったらしい。そりゃそうなんだが、我に返らないでくれ…

 余四朗からキャロル、ボイドを切って栄一と組む旨の連絡が来た。が、余四朗は衰狼なのだから、今日栄一を殺さないと明日死ぬはすだ。そこを確認すると、衰退しても復活するという事だった。また新情報が出て来たぞ…衰退しても復活する衰狼って、聖杯所持者臭くないか?

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 この日は9人、5票あれば投票は取れる。余四朗は余四朗、栄一、ロイエ、ツェン、バラダギでその5票を取るつもりのようだ。
 自分は殲滅側なのでボイド、クリス、ヨリック、キャロル、バラダギで勝てる事になるが、もっと万全を期した方がいい。襲撃側と殲滅側で微妙な位置に立っているツェンの取り込み、そして余四朗に切られて▼栄一のままの指示をうけているキャロルの動向が重要だ。

・キャロルとの会話

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 随分と遅い時間にキャロルから連絡がきた。やはり余四朗からキャロルに▼ヨリック情報は行ってないようだ。切羽詰まって聞いてくるという事は何か掴んでいるのかもしれないが、こちらとしては▼栄一で何も変わっていない体で返答する。頼む、▼栄一に入れてくれ。

・4日目・神槍无二打発射

 夜が明けての投票結果は、▼栄一6票、▼ヨリック3票。よし、最善の結果だ。そして襲撃による死者も無し。人犬のボイドが襲われたのか、もしくは護衛が成功したのか?

 ともかく、今日余四朗を吊ればすべてが終わる。霧が晴れて神槍无二打もようやく発射体勢が整った。妨害宝具が使われたりする前に、とにかく先に撃ち込む事にした。 

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 また、この日事件の影響力が発動、投票セットが筒抜けになっていた。が、宝具を撃った勢いでつい余四朗に投票セットしてしまい、バラダギの裏切りはおおよそバレた。▼栄一の投票数でバレるのは時間の問題だったので、影響無いと言えば無いが、一応見苦しく色々投票変えてテストしてるフリをしてみた…

・襲撃不発

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 前日余四朗がボイドを襲う話を聞き、悩んだ結果それもボイドに教えてあった。負傷して明日までの命になってしまったのか聞きに行ったが、どうやらヨリックが襲われ、そこを守護者のクリスが守ったとのことだった。本当に良かった。
 あれ、キャロル守護者…じゃないのか、錬金術師か?なるほど。

・名探偵の推理、そして最終局面へ

 ここで名探偵ボイドの推理が始まった。栄一を真犯人と指定し、見事宝具発動成功。ロイエが条件未達で死亡、ボイドとキャロルが条件達成し投票保護された。(キャロルはもともと一日限りの投票保護がされていたが)

 余四朗以外の6人は余四朗を吊れば条件達成済、もしくは条件達成できる見込みだ。ヨリックは条件書き換え宝具を使用する必要があったが、それはクリスに使ってもらう事にした。
 ツェンに使う話は流れたようで改めて自分に打診されたのだが、せっかくここまで体勢を整えたので、自分の宝具を撃って勝ちたい気持ちがあった。また、条件書き換えはリスク(ヨリックと共に生存条件になるので、ヨリックが死ぬことで自分が死ぬ)もあるので避けたい気持ちもあった。
 とは言え、他に対象がいなかったらヨリックのクリアの為に受けたと思う。その場合、必要のない神槍无二打を取り消すので、李書文先生オカンムリだったと思うが…

・余四朗の煉獄

 追い詰められた事を悟った余四朗は「煉獄」という特殊スキルを宣言。吊られても相手を殺せると主張し始めた。が、結局襲撃者余四朗を吊るのが被害最小での終了となる事に間違いはない。

 キャロルのみが情でバラダギに票を入れてきたが、他5名は余四朗に投票。余四朗5票、バラダギ2票で襲撃者全滅。煉獄もハッタリであり、無事殲滅側6名の勝利となった。

・総括

 襲撃者に付いてスパイする方針は正しかったと思われる。狼血族で狂信者との接触が容易なので、非常にやりやすかった。

 途中で殲滅側に情報オープンしたのも、結果としては最善だったと思う。これはリスクを伴うので、毎回無条件にやるべきかどうかはわからないが、選択肢として意識しておきたい。

 ただ、今回何より手間をかけたのは投票工作。特に初回吊り。ここが上手くいったのが、今回の展開につながったと思う。無論自分だけで誘導した結果ではなく、襲撃者や他の人々の意向も絡んでの結果だが、自分としてはおおよそ満足行っている。

 スパイについては、露見したら終わりの死と隣り合わせの戦術なので、今回こそ上手くいったが、今後もやるかどうかは未知数だと思う。もう少し安全な方法があればそちらの道を取る方が良いかもしれない。

 なお、KQ村は一期一会。この記録は「FKQⅡにおいてバラダギがこうし考えた」という物であり、異なる村の異なるキャラで自分がどのように考えるかは、全くの未知数である。それがまたKQ村の魅力なのである。

 おしまい。

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