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ANYMAから感じた日本におけるEDMの変革の可能性

私が、ANYMAを好きになった日本人としては早い方であること。
3つのフェスを短期間で体験したことは、他の人へ伝えるべき事由として価値があると思い、素人の乱文であるが書いてみました。
ぜひ、きっかけになれば

体験したフェス

  1. DWP DJAKARTA WAREHOUSE PROJECT (https://dwpfest.com/

  2. ANYMA END OF GENESYS @Las vegas Sphere

  3. GMO SONIC 2025

ANYMAって、知ってる?

先日1/25.26に日本で開催されたGMO SONIC 2025にも出演したDJで、世界的にもこの数年で大きく躍進したDJである。
(彼の個人的な情報については、wikiなどを参照してもらい、今回は論点が違うので割愛)

ANYMAは、世界的なDJのランキングでも、大勢のDJを差し置いて、NEW ENTRYで何と17位にランクインした。これは快挙である。

そして、ANYMAは年末に世界で最も新しくリッチな設備であるラスベガスのスフィア(https://www.thesphere.com/)で、2024年の年末年始のイベントを開催したことにより、より世界への影響力を増した。

なぜ、彼がそんなに人気になったのか。その凄さを私なりに書きます。

TOP 100 DJs @djmag


ANYMAとの出会い

私が彼のパフォーマンスを初めて見たのは、Instagramに流れてきた映像だった。それは、after life tulum 2023でのAnymaだった。
メキシコのジャングルの中に、大きなディスプレイが壁用に立っていて、そこに映し出されるアンドロイドを、大勢の欧米人が見ている光景。

Anyma @after life tulum 2023

元々、ヨーロッパのTranceやTecho、House系の音楽が好きな私は、一気に飲み込まれてしまった。映像の凄さやコンセプトもすごいが、当然の事ながら音としての魅力にも惹き込まれた。注目して欲しいのは、私と同様に多くの観客たちがスマートフォンを持ち、踊りを忘れているかのように撮影をし続けている姿に、大きな衝撃を受けた。

フェスやダンスミュージックに疎遠の方たちも、ご存知かと思いますが、欧米人のフェスやダンスミュージックに求めている部分の多くは、「ノリ」を重要視しており、会場ではそれぞれの感性で踊っているのが通常の光景である。
しかし、ANYMAを目の前にした多くの人たちがスマートフォン片手に吸い込まれているような状況だった。これに違和感を持ったことが、私なりの最大のきっかけになったのだと思う。

初生ANYMA 〜体験談その1〜

私が初めて自身でANYMAを体験したDWPでは、圧倒的な映像のクオリティと音楽、そしてそれらと完全にシンクロしているANYMA本人を目の当たりにした。
これは、関係者から聞いたところ、ANYMA側から高いクオリティの設備やセットに対する条件が提示されており、ラスベガスのスフィア以外ではどこでも同じレギュレーション実施されていると考えられる。だからこそ、SNSなどを見てきた観客の期待を裏切らずに、魅了させられるのだと感じた。

オープニングから心が捕まれる

DWPはインドネシアのジャカルタで開催されているが、観客のほとんどが現地の人たち。多くのDJが集まるフェスではあるが、チケットも1Dayの通常GAチケットで、1,900K IDR(日本円にして、1万8,000円程度)と、決して安い金額ではないが、ヘッドライナーとして、メインの満員の観客の前でパフォーマンスし、魅了した。


ANYMA × Sphereの可能性 〜体験談その2〜

私自身は、全く違う予定でラスベガスに滞在していた。(CES 2025に参加)
この期間は多くの企業関係者がラスベガスへ滞在しており、夜になると会食やパーティが様々な場所で開催されている。そして、パーティ後は多くのショーが開催されている街へ、それぞれ流れていく方が多い。

そんな時に、Sphereでのショーを調べていると、何と「ANYMA」の文字が!! そう、実は年末年始で終わるスケジュールで諦めていたANYMAのショーが追加公演されるではないか!!!!
私はその後のスケジュールの調整を差し置いて、チケットの購入へ

チケットの価格が!?

すると、チケットの価格はまさに世界レベル。
以下の画像は会場全体を見るには、首が痛くなるセクションであるが、1枚$270から(手数料なし)というプライス
私が最終的に、303のセクションで購入したが、約$600(手数料込)。
1番の206や306では、$1,000オーバー
ざっと見積っても、平均$500以上だろう。そこに会場として2万人動員できるわけだから、1公演あたり$10Mという日本では考えられない売上だ。

とはいえ、この奇跡的なタイミングなので、迷わずポッチっと決済し、当日を楽しみに迎えた。

会場では、「やばっ」しか出ない

当日は日替わりでANYMAの前にプレーするDJが2〜3名、前座的にプレーする。実際には、20時30分開演で、ANYMAは23時すぎから登場という流れでした。(これは体験して知ったのは、当日はかなり焦らされながら鑑賞)

会場の外でも演出が!!
会場への通路もこの光景
単純な映像でもこのレベル
音に合わせた没入感

ついに、真打登場!!

23時頃 ANYMAの登場で会場の盛り上がりも最高潮に!!
登場はやはり掴みの画面割りの映像からスタート。
そして、今回Sphereでしか流されなかった地球への落下シーンは、思わず声が漏れてしまったが、昔TDLにあったスターツアーズのような落ちる感覚を味わえた。人間は視覚からの情報だけでも、このような体感はできるかもしれないと思わせてもらえるものだった。
ここでは映像に突出したコメントになるが、音はこれらの映像にマッチさせた音であるが、決してTiktokなどで流行っているようなアップテンポのEDMではない。

宇宙船から
バックドロップ式で
地球へダイブ

ANYMAの映像のコンセプトには、神、人、テクノロジーが含まれていて、人とテクノロジーの関係性や、それと神話的な要素を組み込んでいることで、より人の心を掴んでいると考える。

木の根を下のアングルから
人とアンドロイド型の天使の出会い
そこから生まれる新しい生命
新しい生命体

複合的な宗教的演出

天使や神の使いのような演出に合わせて、どことなく日本人にゆかりのある仏教やヒンドゥー教のような神へのリスペクトも感じることで、違和感なく受け入れられる気がする。

ここでの演出で、今まで映画館でも感じることができなかった大勢との集合体験の入り口を感じることができた。
映像のあり方、音のあり方、そして五感を刺激するために必要な要素を、今後の技術力で組み合わせることができれば、新たなExperience型entertainmentが作れるのと期待できた。

総合的にも、Sphereのディスプレイ規格は、桁違いのためSphere専用のコンテンツを制作する必要があると思われるが、ここに作品を出すことは今のエンタの世界では目指すべき最高峰のステージであると感じた。

ANYMAの繊細な凄さ 〜体験談その3〜

GMO SONIC 2025で、日本での初パフォーマンスとなったANYMAだが、実はGWPやSphereと比べることで見えたエンタ性を紹介したい。

  1. 会場の規模やレギュレーションに合わせたコンテンツの変化

  2. 会場の国に合わせた細かいローカライズ

  3. 何度見ても飽きさせないコンテンツの進化

横長のディスプレイに合わせた素材
日本の風景を未来化した映像
※ジャカルタ版
左:ジャカルタ 浮上して街が宇宙船である表現
右:日本 上から反転した街が降ってきて衝突して滅ぶ表現
アンドロイドが劣化しているように見え
自らパイプを装着し、青白い炎(未来的な)を発射する
※ラスベガスの映像
パイプが刺さって、変化するイメージで、炎(原始的な)を吐き出す

2週間程度で新しいコンテンツに出会った

私がラスベガスで体験した約2週間後(年末年始のSphereから考えても1ヶ月未満)で、すでにアンサー的な映像が追加されていたことに驚いた。
これは、アーティストのライブではきっと実現することが難しいタイトスケジュールで、このようなスピード感はデジタルの世界だからこそとなのかと期待させられる。

最大限に会場の設備を生かした演出
自然に融合されていく
共存していく平和を感じる映像


新しいJ-EDMへの期待

今回、ANYMAの私が勝手な三部作としてみた3つのフェスを通して、私が期待してしまうことと、期待したいことをまとめに書いてみる。

GMO SONIC 2025は、Z世代と呼ばれるteenや20代前半の観客が多くなっていた。これはTiktokなどのSNSによる影響であると推測するが、その中でもANYMAのような音楽的には、決して「ノリ」で楽しむDJではないアーティストにも人気が集まっているのは、新しいキッカケであると感じた。
日本人の音楽文化には、あまり合わないダンスミュージックシーンにおいて、ANYMAのような映像を組み合わせた作品は大勢を魅了する可能性を秘めている。
また、この映像のクリエイターとしても、世界と比べても優秀なクリエイターが多くいると確信がある中で、世界でDJへの映像コンテンツ提供やIPを組み合わせた展開など、新たなビジネス市場の確立も出来ると思えた。

長々と、拝読ありがとうございました。

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