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パン酵母のお話
パン酵母について
パン酵母とは、パン作りに適した酵母のことで、
糖分や水と結びつき、生地を発酵させ、膨らませる働きがあります。
市販されているものは、主に、3種類です。
・天然酵母(ドライタイプ)
・生イースト
・ドライイースト
それぞれ、特徴があるので、発酵・作業時間等を考慮し、
個人の嗜好を加味して、選び、使用すると良いでしょう。
天然酵母を使って、パンを焼き始めて、15年。
料理教室で食べて頂くパンも、お料理に合わせて、選び、毎回、朝から仕込んで焼いていました。
その経験を踏まえ、これらのパン酵母を、比較説明していきます。
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後日、イタリアの代表的パン・フォカッチャ(Focaccia)を、
これらの3種類の酵母を使って、それぞれ、ご紹介します。
フォカッチャは、作りやすく、パン作りで重要な「発酵の具合」を体感、
習得するのに良い教材です。
是非、これから、お家でパン作りをしたいと考えている方に、作って欲しいパンのひとつです。
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【相違点】
一番の違いは、一次発酵の時間です。
その影響で、生地を捏ねてから、パンが焼き上がるまでの時間も、変わってきます。
天然酵母(ホシノ:ドライタイプ)
一次発酵に、少なくとも2~3時間以上。
その後の工程を経て、焼き上がる迄の所要時間は、計5時間程かかります。
ゆっくり、じっくり発酵させる天然酵母は、時間が掛かりますが、その分、
パン生地に優しく、焼き上がった後の美味しさが、長くキープされます。
また、一次発酵時間を、多少超えていても、過発酵になることが少なく、
失敗しにくいのも、特徴です。
私は、オーブンの発酵機能を使って、発酵させます。
一度、オーブン内で一次発酵させているパン生地のことを、すっかり忘れて、一時間以上超過してしまいましたが、大きく失敗することなく、
焼き上げることが出来ました。
そして、天然酵母の扱いに慣れてきたら、自分のライフスタイルに合わせて、調整、パン作りすることが出来ます。
例えば、一次発酵7〜8時間かかるように酵母の量を設定すると、
就寝前に、生地を仕込んでおけば、就寝中に、一次発酵が終了。
起床後、ベンチタイム、二次発酵へと進むことが出来ます。
生イースト、 ドライイースト
一次発酵に、45~60分。
その後の工程を経て、焼き上がる迄の所要時間は、
計2時間半~3時間程かかります。
発酵力が強く、パンを焼きたい!と思ったら、即、作れる、早く焼ける。
これが、最大の魅力です。
生イーストは、パン屋でも使われ、ふんわり焼き上がり、
美味しさも長くキープされます。
ただ、生イースト自体の賞味期限が短く、一度に、沢山、パンを焼かないと
使い切れないのが、難点です。
ドライイーストは、扱いやすく、ホームベーカリー用イーストとして、
利用されています。
少量(小袋)包装なので、一度で使い切れるのも、重宝するところ。
ただ、焼き上がった時が、美味しさのピークで、
天然酵母、生イーストと比べると、固くなりやすく、
ふわふわっとした食感、美味しさを失う速度が速いです。
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それぞれのパン酵母で焼いたフォカッチャの断面を、比べてみましょう。
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( トマトをトッピングしてますが、生地の膨らみには大きく影響はしません )
断面、膨らみ具合も違ってきます。
天然酵母は、全体的に、ふわっと立ち上がり良く膨らみます。
外側も中も、柔らかく、ふんわり焼き上がります。
生イーストも、よく膨らみますが、外側は、カチッと焼き上がる感じです。
ドライイーストは、焼く前の生地はふわふわでも、その印象ほど膨らみ、
生地の立ち上がりはありません。
外側は、カリッと焼き上がることが多いです。
それでは、それぞれの酵母について、見ていきましょう。
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1)ホシノ天然酵母
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天然酵母とは、自然界に生息している様々な酵母菌のことです。
果実や穀物の糖分を利用して培養させた天然酵母には、
多くの種類があります。
この天然酵母を乾燥させ、粉末状にしたのがドライタイプ。
この顆粒と、ぬるま湯を混ぜ合わせ、種起こしをして、
パン生種として使います。
私が、パン作りに開眼したのが、このホシノ天然酵母に、出会ってから。
それまでは、使いやすいドライイーストで、パン作りしてましたが、
どうしても、納得するパンが焼けずにいました。
ホシノ天然酵母に変えてから、パン作りが楽しくなり、
教室で食べて頂くパンも作るようになり、皆さまにも喜んで頂きました。
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ホシノ天然酵母をはじめ、パン酵母各種は「富沢商店」で購入しています。各地に、実店舗もありますし、オンラインショップも利用可能です。
詳細は、下記、富沢商店ホームページをご覧ください。
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【種起こしをしましょう】
ドライタイプの天然酵母は、種起こしが必要です。
と、言っても、とっても簡単!
見ていきましょう。
☆用意するもの
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2週間ぐらいで使い切れる量を作りましょう。
その後は、パン生種の力、発酵する力が落ちていきます。
例:天然酵母:水 = 100g:200ml → 出来上がり量:約250g
水に、天然酵母を振り入れて、ホイッパーでよく混ぜ合わせます。
この時、しっかりと酵母に、水を吸わせるのがポイント。
結果的に、種起こし(発酵)が早く進みます。
ラップをし、室温で発酵させます。
ここが、ポイント!
発酵完了の目安は、
鼻に、ツン!と、鼻を刺すような香りが上がってきて、
顔をそむけたくなるまで。
ここで、しっかり種起こし、発酵させておくことが大事です。
不十分だと、パンを焼いても膨らみが悪くなります。
季節によって発酵するまでの日にちが違うので、注意しましょう。
(夏:2~3日、冬:3~5日)
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ボールの底が、チラチラっと見えるぐらいに、まとまったらOK
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常温に置いて、発酵させます。
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【発酵 1日目】
プクプクしてきて、その気圧で、ラップが盛り上がってます。
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【発酵2日目】
見た目も落ち着いてきて、だいぶ、発酵してきました。
ただ、まだ、ツンとした、強い発酵の香りが上がってきてないので、
もう一日、置くことにしました。
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【発酵3日目】
ラップを取って、香ったら、ツン!と、鼻を刺すような強い発酵の香りが
上がり、うっ!と、顔をそむけたくなりました。
これで、出来上がりです。
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プクプク発酵していた酵母の表面も、少し落ち着いた感じになる
保存容器に入れ、冷蔵庫で一晩落ち着かせたら、パン作りに使用できます。
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2週間を過ぎると、段々と、発酵する力が落ちてきます。
冷蔵庫で保存して、出来るだけ、2週間程で使い切りましょう。
2)生イースト
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パン酵母を培養後、脱水、水切りして固めたものです。
パン屋さんでもよく使われる、万能タイプのイーストです。
イースト臭がなく、ふんわりとした食感のパンを焼くことが出来ます。
ただ、イースト自体の賞味期限が短く、製造後、冷蔵庫保存で2週間程。
冷凍保存も出来ますが、膨らむ力は弱まっていきます。
イタリアでは、生イーストを使って、フォカッチャ、ピッツァを
焼いていました。
☆使用する時
直接、パンの材料の粉類に加えるのではなく、
パン生地を捏ねる時に加える水分に溶かしてから、粉へ加えていきます。
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3)ドライイースト
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生イーストを短時間で乾燥させ、乳化剤を加えた
顆粒状のインスタント・ドライイーストです。
発酵力が強く、扱いやすいので、初心者でも簡単に使えます。
開封後は、急激に発酵力が弱まるので、早めに使い切ることが必要です。
早く、パンを焼き上げることができて、使いやすいドライイーストです。
早く作り上げることが出来る反面、焼き上がり後、美味しさが落ちていく速度も、他のイーストと比べると早いです。
☆使用する時
予備発酵させると、一次発酵へスムーズに移行できます。
いわゆる、準備運動、アイドリングのようなもの。
予備発酵不要のドライイーストでも、この工程を加えると、よく膨らんで焼き上がります。
☆用意するもの
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ドライイースト:水 = 1g:大さじ1
グラニュー糖(他の砂糖でもOK) 少々(ひとつまみ)
水分は、パンに加える水分量(ぬるま湯)から、取ります。
グラニュー糖(糖分)が入ると、これをパクパクと餌にして、
発酵が動き出し、活発化します。
必ず、加えましょう。
ドライイーストに、グラニュー糖を入れてから、水を加えます。
よく混ぜ、ラップをして、常温に置いておくと、プクプク発酵してきます。
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この予備発酵させたイーストを加えて、パン生地を作ります。
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焼き立てパンは、本当に、美味しくて、ハマります。
是非、パン酵母を上手に使えるようにして、美味しいパンを、ご家庭で焼いて頂きたいです。
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オフィスアルベロ レシピ集
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お読み頂き、ありがとうございます。 サポート頂ければ、心強いです。