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酒器の魅力?①~『銘』~酒器にも名前がある?【前編】

こんにちは!
 酒器研究家の知鳥(ちどり)です。

酒器の魅力?シリーズ
 今回のトピックは、『銘』(メイ)・・
  酒器にも名前があるのか?
その前編となります。

酒器にも名前がついているモノがある?!
 そのような酒器は、価値あるもの?
魅力あるものに違いない!
どのような酒器に、どのような名前がついているの?
???

そんなわけで・・
 『銘』(めい)・・・について書いてみたいと思います。

まず「銘」というと・・
 茶道の世界の茶碗や、茶道具
そして、
 刀剣の世界の話か?
を、想像しておりました。が・・・
 酒器にも名前が付されているモノを発見!

毎回のことですが、まずはそもそも論から入ります。
「銘」とは何そや?
  辞書にある定義は以下の通り。

めい【銘】
1 金石・器物などに事物の来歴や人の功績を記したもの。「碑に銘を刻む」
2 特にすぐれた物品につける特定の名。「銘を付ける」
3 製作物に入れる製作者の名
4 心に刻み込んでいる戒めなどの言葉。「座右の銘」

出典: 小学館デジタル大辞泉(2024)https://kotobank.jp

とすると、茶道の銘も、酒器につけられた銘についても、
この定義でいえば、2番にあてはまりますね。

ということで・・
もう少し深ぼりします。

茶道の世界での、「銘」とは・・?
・・茶道の世界・・
 名物の茶碗には「銘」という名前がついているものがある・・
名物・・すぐれた物?高い評価をうけたモノ?
それらの評価や、
すぐれたといわれる何等かの特性が
「銘」になるようです。

茶道系雑誌「なごみ」に、
 ~茶の湯 ”銘”のレッスン~ という、ドンピシャな特集がありました!
こちらでは、銘とは何か?を以下のように解説しています。

壺・茶入・茶杓・茶碗といった茶道具には、
 それぞれ固有の「銘」があります。
・・中略
 贈り主や所有者の名を付けて区別した経緯もありますが、ほとんどが・・
 ● その姿の印象
 ● 背景にある物語
 ● 風習や儀礼文化に関わりがある言葉
 ● 季節の重なる禅語や和歌
から銘が付けられるのです。

銘を付ける習わしについて、
前述した「なごみ」特集によると・・・

その物が大切であるが故に、
銘を付けることで物に魂を宿らせるのです。
・・中略・・・
その物は、譲渡や拝領を繰り返し、
代々伝来することで
貴重さも増して後世に残っていく・・

出典: 同上

茶道具の銘については、以上が序の口レベル。
 茶席では、銘をたずねる機会もあることから、
銘の茶道具の中での順番や
 格式のような決まり事まで、さまざま。
奥深い世界がそこにはありました。

が!
ここでの目的は「酒器」。
酒器の世界に共通するであろうことを述べます。

茶道の中では、茶碗以外にも、
 花入れ(花器)にも銘がつけられています。
酒器の「ぐい吞み」がミニ茶碗といわれること・・
そして、
「徳利」の形が「花入れ」に似ている・・
そんなことから、おのずと、
酒器についても、銘がつけられたのでは?

銘には、遊び心ある言葉がつけられることもあり、
酒を交わす席で、酒器の名前「銘」を
酒のつまみとして話題にすれば、
酒もますますすすむことかと、思ったりしております。

茶道の茶道具以外にも、
 国宝に指定されるような刀剣にも
 「銘」が多く見うけられました。

国宝の茶碗で銘がついているものは?

つい先日、三井記念美術館@東京にて、
「茶の湯の美学」展を観に行く機会がありました。
(図録が売り切れになるほどの人気!)
そこで、桃山時代を代表する名碗をリアルに鑑賞。
「銘」のつく名物茶碗がここぞ!とばかりに展示されていました。

国宝: 志野茶碗(しのちゃわん)
銘 卯花墻〈めい うのはながき〉
桃山時代(16~17世紀)三井家蔵
岐阜県可児市・牟田洞窯(美濃焼産地)

志野茶碗 銘 卯花墻〈めい うのはながき〉
桃山時代(16~17世紀)三井家蔵
文化遺産データベース https://bunka.nii.ac.jp/db/heritages/detail/189056

垣根文様(鉄絵で釉下に描かれたもの)が銘になっています。
ただ、そこに描かれているからか?と思いきや・・、
図録「茶の湯の美学」三井記念美術館(2024)の説明によると
その景色が和歌に詠まれていたことで、
銘になっているとのこと。

「やまさとのうのはな 
  かきのなかつみちゆき
   ふみわけし ここちこそすれ」

片桐石州(かたぎりせきしゅう、1605~1673)

この和歌が、茶碗の箱ふた内側に記載されていました。

ただし、この茶碗の銘が、いつ、誰によりつけられたのか?
・・については、説明がなく、
この志野茶碗がいつ頃焼かれたのかについても、所説あるようで・・
茶碗が作られたと同時に「銘」がつけらる決まりもなく・・
今後の調査・解釈を待つことにします。

どうも酒器にたどりつくまでの前段階が
かなり長くなってしまいました・・・

ちなみに、酒器の「銘」をつけることについては、
特に、決まりが存在するわけではないようで・・
 どこのどこの誰かさんが、どういった理由で・・というような
ルールが定めているわけではなく、

どのランク・レベル以上の酒器で・・とか
 公的機関で認証・登録・命名されるとか・・
 おカネを払って誰かに名づけてもらう・・・
・・といったようなルールもみあたりません。

ここで、ビジネス的に気になるのは・・
 商標登録といったような仕組で守られていないのか?
有名な銘と同じ名称が勝手に、他の作品につけられてしまうとか・・
  ・・・こういった危惧はまた別の機会にお話しすることにして・・。

長くなってしまったので、今回はここら辺にしておきます。

次回、続編で・・
 酒器にみられる「銘」について、
  より具体的にお話しする予定です。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

Illustration Credit;  ダ鳥獣戯画
~Written by CHIDORI ©2024~
   無断複写厳禁



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