酒器の魅力?①~『銘』~酒器にも名前がある?【前編】
こんにちは!
酒器研究家の知鳥(ちどり)です。
酒器の魅力?シリーズ
今回のトピックは、『銘』(メイ)・・
酒器にも名前があるのか?
その前編となります。
酒器にも名前がついているモノがある?!
そのような酒器は、価値あるもの?
魅力あるものに違いない!
どのような酒器に、どのような名前がついているの?
???
そんなわけで・・
『銘』(めい)・・・について書いてみたいと思います。
まず「銘」というと・・
茶道の世界の茶碗や、茶道具
そして、
刀剣の世界の話か?
を、想像しておりました。が・・・
酒器にも名前が付されているモノを発見!
毎回のことですが、まずはそもそも論から入ります。
「銘」とは何そや?
辞書にある定義は以下の通り。
とすると、茶道の銘も、酒器につけられた銘についても、
この定義でいえば、2番にあてはまりますね。
ということで・・
もう少し深ぼりします。
茶道の世界での、「銘」とは・・?
・・茶道の世界・・
名物の茶碗には「銘」という名前がついているものがある・・
名物・・すぐれた物?高い評価をうけたモノ?
それらの評価や、
すぐれたといわれる何等かの特性が
「銘」になるようです。
茶道系雑誌「なごみ」に、
~茶の湯 ”銘”のレッスン~ という、ドンピシャな特集がありました!
こちらでは、銘とは何か?を以下のように解説しています。
壺・茶入・茶杓・茶碗といった茶道具には、
それぞれ固有の「銘」があります。
・・中略
贈り主や所有者の名を付けて区別した経緯もありますが、ほとんどが・・
● その姿の印象
● 背景にある物語
● 風習や儀礼文化に関わりがある言葉
● 季節の重なる禅語や和歌
から銘が付けられるのです。
銘を付ける習わしについて、
前述した「なごみ」特集によると・・・
茶道具の銘については、以上が序の口レベル。
茶席では、銘をたずねる機会もあることから、
銘の茶道具の中での順番や
格式のような決まり事まで、さまざま。
奥深い世界がそこにはありました。
が!
ここでの目的は「酒器」。
酒器の世界に共通するであろうことを述べます。
茶道の中では、茶碗以外にも、
花入れ(花器)にも銘がつけられています。
酒器の「ぐい吞み」がミニ茶碗といわれること・・
そして、
「徳利」の形が「花入れ」に似ている・・
そんなことから、おのずと、
酒器についても、銘がつけられたのでは?
銘には、遊び心ある言葉がつけられることもあり、
酒を交わす席で、酒器の名前「銘」を
酒のつまみとして話題にすれば、
酒もますますすすむことかと、思ったりしております。
茶道の茶道具以外にも、
国宝に指定されるような刀剣にも
「銘」が多く見うけられました。
国宝の茶碗で銘がついているものは?
つい先日、三井記念美術館@東京にて、
「茶の湯の美学」展を観に行く機会がありました。
(図録が売り切れになるほどの人気!)
そこで、桃山時代を代表する名碗をリアルに鑑賞。
「銘」のつく名物茶碗がここぞ!とばかりに展示されていました。
国宝: 志野茶碗(しのちゃわん)
銘 卯花墻〈めい うのはながき〉
桃山時代(16~17世紀)三井家蔵
岐阜県可児市・牟田洞窯(美濃焼産地)
垣根文様(鉄絵で釉下に描かれたもの)が銘になっています。
ただ、そこに描かれているからか?と思いきや・・、
図録「茶の湯の美学」三井記念美術館(2024)の説明によると
その景色が和歌に詠まれていたことで、
銘になっているとのこと。
この和歌が、茶碗の箱ふた内側に記載されていました。
ただし、この茶碗の銘が、いつ、誰によりつけられたのか?
・・については、説明がなく、
この志野茶碗がいつ頃焼かれたのかについても、所説あるようで・・
茶碗が作られたと同時に「銘」がつけらる決まりもなく・・
今後の調査・解釈を待つことにします。
どうも酒器にたどりつくまでの前段階が
かなり長くなってしまいました・・・
ちなみに、酒器の「銘」をつけることについては、
特に、決まりが存在するわけではないようで・・
どこのどこの誰かさんが、どういった理由で・・というような
ルールが定めているわけではなく、
どのランク・レベル以上の酒器で・・とか
公的機関で認証・登録・命名されるとか・・
おカネを払って誰かに名づけてもらう・・・
・・といったようなルールもみあたりません。
ここで、ビジネス的に気になるのは・・
商標登録といったような仕組で守られていないのか?
有名な銘と同じ名称が勝手に、他の作品につけられてしまうとか・・
・・・こういった危惧はまた別の機会にお話しすることにして・・。
長くなってしまったので、今回はここら辺にしておきます。
次回、続編で・・
酒器にみられる「銘」について、
より具体的にお話しする予定です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
Illustration Credit; ダ鳥獣戯画
~Written by CHIDORI ©2024~
無断複写厳禁
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?