電子版「サイゴンの昼下がり」発売!
1994年初めてベトナムを訪れた。米国の制裁解除の年だ。
JALの関空サイゴン直行便が始まる直前だった。
この時は香港経由だった。
ベトナムは僕の世代にとって特別な国だ。6,70年代何百回、「ベトナム戦争反対」と叫んだろうか。
ただ記号としていのベトナムしか知らなかった。
94年いけるチャンスが巡ってきた。ただ期待はしていなかった。今の北朝鮮のように世界から孤立し、戦争被害の悲惨な貧しい国だと思っていた。
深夜空からサイゴンの街を見たけれど真っ暗だった。空港に着き、中心街のあるホテルにつくまでも真っ暗だ。1974年にインド、デリーに着いた時と同じような気分だった。
翌朝、まだ暗いうちから何やら騒がしい。ホテルの窓から外を見ると、街灯のしたでサッカーに興じている若者たち。
明るくなると、クルマはほとんど走っていなかったが、バイクと自転車で町はにぎわっていた。
ベンタイン市場に行くと、品物や、野菜や、くだもの、魚、などなど、モノであふれていた。
帰国の数日前、レタイントン通りを颯爽と横断する女性を見つけた。
反射的に、Canon Eos5 200mmf2.8で6コマ撮影した。
その後、狂ったようにベトナム通い。8回通った。
たいてい10日間から2週間、滞在。
あれから20年以上たち、ベトナムはすっかり変わった。高層ビルがたち、活気ある近代的なアジアの街に変貌した。
その原点ターニングポイントといえる、1994年から1998年の写真と文章のレポートだ。
当初、写真集にまとめようと、大手出版社に売り込んだ。新潮社が文章を書き、写文集だったら出版できると。きちんと文章を書いたことはなかった。でも書けると思った。2週間ぐらいで書いた。新潮の校閲は厳しい。赤でいっぱいになり、時に何行もの部部分を「意味不明」と書かれたときもあった。
これを書いてから、書くことにはまり、ノンフィクションや小説まで書てしまった。
今回デジタル版、しかもオリジナルの雰囲気を残してあり、巻末のページごとのデータも見やすくなった。
是非ごらんください。