楽園の向こう側 THAT SIDE OF PARADISE PHOTOGRAPHS BY ALAO YOKOGI 1999年5月 "最後の日” 撮影で車を燃やしたいと思った!
1999年クルマ雑誌NAVI 特集 「女はクルマを愛している」
この写真は自動車雑誌NAVIの女性特集のなかのファッショングラビアページだ。僕は、ファッション写真が洋服を売るための販売促進の意味しかない、
今の多くの日本のファッション写真の現状に幻滅している。
ファッション写真はNUDE写真と同じように写真のなかの魅力的な一分野だ。それは高度な資本主義社会と添い寝するように存在している。そのことによって通俗と洗練がせめぎあうのだ。
僕は車を燃やしたいと思った。
映画などでは簡単に燃やしたりするけど、ファッション写真の中で車を燃やす意味を自問自答した。しかもクルマカルチャー誌NAVIだ。燃やせば不要に煙りがでて、ダイオキシンをまき散らすことにもなるかもしれない。
僕は九十九里の撮影場所の近くのジャンクヤードから解体寸前のロードスターを買った。運んで燃やし、撤去する。そこまでを依頼した。10万円だた。私有地の撮影なので、駐車場の所有者五木田丸主人には許可はとっていた。
その日は強風だった。石油を注いだが、車はなかなか燃えなかった。NAVI騙取部員のアドバイスで、ドレインの残油は抜いていた。そうこうしているうちに突然黙々と黒い煙りを舞あげ燃え出した。それは予想を遥かに超えた火勢だった。空は黒煙で覆われた。消防が来るかもしれない。あわてて皆で砂をかけた。撮影どころではなかった。必死の作業で、ちょっと火勢も落ち着いた。そしてホンの数分の撮影をした。再び皆で砂をかけ、鎮火。
写真は頭のなかや、バーチャルな世界では、生まれない。目の前にアイデアを現実に作り出さなければならない。ある意味とっても反社会的だ。
タイトルは「楽園のむこう側」(もちろんフィッツジェラルドの楽園のこちら側のパロディだ)
西暦2000年は、20世紀最後の年。
そんな「最後の日」
DIRECTOR & PHOTOGRAPHER ALAO YOKOGI
MAR.1998 Kujukuri Chiba Japanポラロイドカメラ195 ポラロイドフィルムtype665
STYLIST SUMI SANBONGIHAIR KENJIRO AKAMA
MEKE-UP NAOMI KUBOTA
DESIGN HIROSHI OMIZO
ART DIRECTOR KOJI MIZUTANI