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ストロボ物語


★同じライティングによる作品


デジタル時代になり、高感度があたりまえとなり、かつてほど絶対ではなくなったがそれでも、ストロボでしか撮れない写真があることはたしかだ。
問題は機材コストだった。仕事で使うのでなければ、クリップオンストロボやグリップ型ストロボが現実的で、大型ストロボは、プロが使う機材であり、スタジオライティングといった商業的な場面の話だったことは確かだ。でも今は違う。
お隣中国のおかげというか、かつての10分の1の価格でストロボばかりかそれに付随したしさまざまなアイテムが格安に手にいられるようになった。
スタジオ用の高級なストロボでなくても、十分使用に耐えるようになった。さあ、魔法の光ストロボを体験しよう。

写真の誕生とともに照明の発達は、特に映画が進んでいた。映画は、自然光の再現と補助、そして夜の光の再現、舞台照明からの転用など、
もともと多灯ライティングが発展した。
メインライト、フィルライト、バックライト、ホリゾントライト、スカイライト等々映画のライティングだ。
写真は暗い場所で光を補うためアーク灯などを使用した。
このへんは映画と同じだ。
そのうちマグネシウムの粉燃を燃やして大光量を獲得した。
僕が小学校の時にはまだマグネシウムのポン炊きは時々遭遇した。
当時の写真屋さんは一枚とか2枚繰りしか撮らなかったけれど、ポン炊きのイベント性は絶大で、集合写真で目をつぶってしまうものはめったにいなかった。なぜなら神秘的なイベントの目撃者だから。
その後使い捨てで高価だが、閃光電球、発光材を入れた電球型のになってゆく。



ストロボの発明は1931年、マサチューセッツ工科大学のハロルド・エッジャートンだ。非常に高価なもので、科学実験的な特殊な撮影に使われただけだ。
2次大戦後、1960年にアスコフラッシュが発売され実用的になった。
紙媒体の部数拡大とともに、好景気のアメリカニューヨークでは、ファッションやコマーシャルといった分野の写真がもてはやされた。
アービングペンやリチャード・アベドンらが積極的にストロボ使いだし時代の寵児になってゆく。

写真はストロボという魔法の光を得たことで、ムービーとはまったく違ったビジョンを作ることができた。
フィルムの低感度時代に、大光量とブレることのない閃光時間の獲得だ。動きを止めるストロボは、定常光のタングステンと違って、多灯ライティングより、シンプルな1灯ライティングが基本だった。他灯ライティングするとときは、タングステンのスポットライトを多用し、定常光の古臭いイメージを求めた。

僕がフリーになったばかりの新人写真家だった時代、カラーポジフィルムの感度は中版ではISO50が基本だった。
アシスタント時代、35mmコダクロームⅡは、感度25 。
昼間日中の順光撮影で、シャッター速度125分の1、絞り8だった。サイド光だったら1段から2段開け、逆光だったら3段開ける。
その露出を今デジタルカメラで撮ると、露出はアンダーぎみだ。コダクロームは暗部の再現性がよく、こってりとした色調は、印刷に向いていて、素晴らしい色調が再現された。
僕がプロとして独立した1975年には、コダクロームⅡはなくなり、
Newtypeのコダクローム64、KR、KMを使うようになった。
ただ色調の安定性はなくなり、難しいフィルムになってしまったとも言える。国産のカラーフィルムは、まだまだ仕事で使う人はいなかった。
プロが国産フィルムを使うようになったのは、1990年のフジ、ベルビア、プロビアからだ。このフィルムで世界制覇できたのに、あっという間にデジタル時代になり、その素晴らしいフィルムは、たった10年の命だった。
若いころ僕はスタジオでのストロボ一灯ライティングで、いかにしたら他のカメラマンと違いがだせるか考えていた。
師匠の篠山さんは、傘バウンズ一灯と平凡だ。ただライトはアシスタントに手持ちさせるのが基本だった。メリットは、撮影中正面ライトから、サイドライトまで自在に変えることができる。ストロボの傘を巧みに変形させ、レンズの光軸を遮らないようにする。
デメリットはアシスタントが最低2名必要だということだ。
沢渡さんはバウンズではなく、傘バウンズ+ディフューズしていたような気がする。
僕はフリーになってか、反射の傘と、白いディヒューズの傘を透過光になるように組み合わせ、その2灯を左右からブームでひとつにする正面ライトが多かった。二つならんだ傘と傘の間から撮り、レンズの光軸がライトと一体になるよう工夫した。
ストロボの柔らかな光は、正面ライトが基本だ。

ストロボの話をしていますが、
これは、スタジオ用の大型ストロボことであります。
今はモノブロックという、充電タイプのコンパクトなストロボもあるが、かつてはヘッドとジェネレーターが別々で重かった。
プロ以外は、皆小型ストロボを使った。
クリップオンタイプやグリップ型ストロボで、アマチュア写真家のメインストロボだった。
それでもプロフェッショナルな写真家たちは、ナショナルのP型というグリップ型のストロボに積層電池を組み合わせた。チャージスピードは速いが、大型ストロボとは光量、出力の差は歴然で、
まったく違う分野のストロボだった。たしかSO50で3m,f5.6ぐらいだったかな。オートではないので、テストして使った。
昔は、写真は、テスト、テスト、テストだった。
感度はISO50とか100だ。

スタジオの用の大型ストロボは、最初はトーマス、のちにフレンチバルカーになった。ある時、麻布にあったスタジオアビに行くと、
最新の、ブロンカラーが入っていた、今のようにすべて手元で制御できて驚いた。ストロボの最高峰だ。
バルカーは1200W、2400W。倍チューブなるものがあって、1200Wの発光体を4本束ねたものもあった。
問題は価格で、一台50万ぐらいした。
プロでも、たいていはスタジオからアシスタント込でレンタルすることが多かった。
ぼくは90年代半ばから、自宅がハウススタジオになっていたので、PRO1 
1台とSDのストロボ3台3灯を使っていた。
そのなかのSDの2台は今でも使ってい。弱点は光量がおおきすぎることだ。
この25年間、ヒューズ切れた以外一度も故障していない。
SDストロボとは驚くべき耐久力だ。ただ販売は終わり、修理も難しいらしい。壊れないから、終わったのかな。
自分のスタジオがなくなってから10年、デジタル時代になると、どんどん高感度になってストロボの需要が落ちた。
デジタルの最大の恩恵は、感度だ。ストロボに負けないシャッター速度さえ獲得した。
時々古いSDを使うことがあったが、ほとんどはリファライトのような定常光でOKになった。大型ストロボはプロ用の貸しスタジオ以外使うことはなくなったように思っていた。そしてLEDの登場だ。光量は足りないのと、初期は発色が悪かったが、かなり改善され、万能になった。

それが今年2月に引っ越して、
日本家屋の2階に10畳程度の空いたスペースを得て、
この広さがあれば、ストロボのポートレイトライティングぐらいなら撮れると気づいた。
そこでアマゾンで撮影機材を検索してびっくりした。
何んだこの値段。
すべて中国製だけれど、かつてのプロ用機材が、なんと10分の1ぐらいの値段で売っている。
大型ストロボもかつての5分の1ぐらい。
プロフォト完コピの、GODOXスゲー。
リサーチすると、皆まわりでは使っているようだ。
でもそのGODOXの部分は隠したりしているという友人もいた。
おすすめはクリップオンタイプ。
充電式だが光量もあり、連続撮影も問題ない。
通常感度が、昔はISO50だったが今はISO1000でもOKだ。
大光量のストロボは不要だ。簡単にF8とかF11で撮ることができるようになった。
それにソフトボックスやアンブレラ.の多様な、アクセサリー。
スタンドはいくつかもっていたが、この値段でだいじょうぶかなと思いつつが、購入してみると全く問題ない。
確かに貸しスタジオ使用のレベルではおもちゃんだ。
でも個人が使用する程度の耐久性は十分ある。
ストロボにしろ、何にしろ、それがいかにコピーだとしても
その完成度は高い。日本の安ものとは違う。
そう、スタジオ機材は、かつては何から何までが高かった。
クリップひとつ、黒布ひとつ、背景用スタンドひとつ、それがかつての5分の1から10分の1の値段だ。誰でも買える。
プロの用の機材は、仕事だからもとは取れるので高くても買う意味はあった。
今の時代のカメラマンは幸福だ。
だれでもストロボを自分の表現のなかに取り込むことができる。
太陽光の平行で強力な直射光を再現することが無理なように、(小さな部分は可能だとしても、広い部分は無理だ)
ストロボの大光量の面光源は、絶対にストロボでしか撮れない。
それが貸しスタジオではなくて、
家のちょっとした空間があれば再現できる。
自分のものにできる。なんと幸運な時代だろう。
このラッキーな時代、
これを経験しないで、写真の神秘を知らなことは、は残念だ。
ライティングの教本を見ると、
基本は、メインライト、フィルライト、サイドライト、トップライト、バックライト、ホリゾントライト、などなどライトの配置のことばかりが書いてある。
先に書いたが、写真は1灯ライティングが基本だ。
その一灯の質や個性が、そのカメラマンのストロボワークを規定する。
やぼったい他灯ライティングではなく、
ミニマルな、一灯ライティング一灯。
さて、本題。
そんなストロボライティングの講座を、今後何度もやってみようと思う。



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【ストロボライティングレッスン募集】9月5,6日 
写真にとって、ストロボ1灯ライティングは魔法の光だ!
ストロボポートレイトを体験してみよう!
募集 
9月5日(土)6日(日)
A am10~pm1時 ¥6000/
B pm2時~pm5時   ¥6000/ 
A+B   am10-5時         ¥8000/  

●自分のカメラを持ってきてください。シンクロ接点か、ホットシューがついていれば、何でもOKです。参加者同士で撮りあいます。
横木も参加者全員のポートレイトを撮ります。

場所 東京都 大田区南馬込 AYスタジオ 
都営浅草線終点西馬込より徒歩8分

● 参加申し込みはこちらから

写真はこちらから見ることができます。 


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ALAO YOKOGI  横木安良夫
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