つまらない写真!02
前回も書いたがつまらない写真を撮るのが好きだ。
僕は、生まれてから、かれこれいちども写真コンテスト(カメラ雑誌の場合月例といっていた)に応募したことがないが、
40歳くらいからは経験もないくせ、えらそうに選評なんかするようになった。
どれが金賞、銀賞、銅賞だなんて。はじめるまで、写真に順位をつける意味がわからなかった。
かつてカメラ雑誌の月例には、多くのアマチュアカメラマンからプロになった人がいる。僕の時代は(といっても50年ぐらいまでだが、1960年代後半)コンテストからプロの写真家になる人はあまりいなかった。まあ、僕が知らないだけかもしれないが、10歳くらい上の世代までだろう。
聞くところによると高校生だった沢渡朔はコンテスト荒らしだったらしい。選者にそろそろ卒業しなさいとアドバイスされたようだ。
さて、今回の立石、青砥は0m地帯、背景の川は中川だ、現在護岸補強工事をしていてシートが張ってあり、川が見えない。堤防に登っているのに見えないのはいらいらする。工事の騒音を減らすため、防音シートで全面を塞いでいるのである。
写真を撮るには最悪だ。撮影会参加募集の写真がその現物、醜悪なカバーだ。でも写真になるとこれはこれで面白いが。
時々隙間をこじ開け、川を覗くことにない、GRみたいな小さなカメラならそこから手を突っこみ、撮影する。
さて、今回の「つまらない写真」は、続いていたシートが途切れやっと川が見えるようになったのと、なんかこの幼稚な絵が不思議ときれいだな、と思ってしまったことだ。本当にきれいだとかじゃなく、透けて見えた風景にほっとのしたのか、空のブルー半透明シートのブルーと、フェンスの薄緑色の感じが「きれい」と、だまされたので、シャッターを切ったのだろうか。それにしても、つまらない写真だ。何かが足りない。
月例や、コンテストだったら、ここに何かしらの偶然性が入り込んでくれるとか。
色調が好きだな、なんて理由は他人には伝わらない。
コンテストで四つ切りとか、A4サイズまでOKというのに、L版で応募してくる人がいる。この写真がL版で応募してきたら、01秒で除外してしまうだろう。でも四つ切できれいなプリントしてきたとすると、「う?」と思い、第一選考にはのこるかもしれない。
写真を選んでいて、できできの写真は一瞬目を引くが、それでおわり、が実に多い。
選ぶとき、当然という写真と、?なものを残してゆく。
ところが、この?のなかに、最後までひっかかる写真がある。
それが「つまらない」んだけれど、なんだろうと。何かが語り掛けてくる。もちろんコンテストでそれが最終選考まで残ることはないだろう。でも自分の作品となると、このわけわからない写真が、ずっと捨てきれず、そしてプリントされ、いつまでも残り、いつのまにかちゃっかり僕の作品になっていることだってある。
だから、僕はつまらない写真を、ただつまらないとは思ったりしない。
11月21日 青砥 立石撮影会 参加募集しています。↓