映像制作の際の出演依頼に必要な『映像作品出演契約書』のひな型(MS-Word版)
こんにちは。ネコテガシですです。
以前、同様の内容をGoogle ドキュメントにて公開しました。
その後、noteでファイル添付ができるようになったので、Word版リクエストがあったので、あらためて、MS-Word版を公開します。
ベンチャーや中堅企業でバックオフィス全般を担当していました。おもに得意分野は経理財務ですが、実際の仕事のボリュームは大量の契約書を作ったり、相手方文書のレビューをしたり、条件面の交渉をすることです。
趣味の分野では、自主制作映画を作っており、独学だけでなく、デジタルハリウッド大学大学院といった専門性の高いところから、(いま話題の)ENBUゼミナールの映像監督コースで学んだりしました。仕事でもデジタルコンテンツを販売している会社、スマホのネイティブゲームの会社、ゲームでないスマホアプリの会社で働いてきたので、企業の法務担当としては、エンタメ業界には詳しいと自負しています。
今回、使いでがあると思われる、映像作品をつくる際に、キャスト(役者)さんと結ぶ、『映像作品出演契約書』のひな型を作成しました。
自主制作映画など作る場合、現状、出演契約書を取り交わすのは非常に稀です。しかしながら、なにかの拍子に話題になったり、2次利用(パッケージ化やネット配信)できるチャンスがでてきた場合、出演者と取り決めがないと非常に困る可能性があります。
映像作品を映画祭に出展したり、ポートフォリオ作品をウェブ掲載した際に、出演者からクレームを受けることもあります。書面での契約が交わされていないと、出演者から事後で出演料や慰謝料を請求されたり、不本意な映像の改変や公開の取り下げを余儀なくされることがあります。
海外の映画祭では、作品のエントリー時に適切な契約や権利処理が行われているかを、詳しく問われます。コンテンツの買い取りに積極的なVOD放送やネットフリックス、アマゾンプライムなども、権利や契約の処理については、かなり厳格な規定があるようです。
将来的に作品を公開、売り込み、マネタイズしたいと考えている方は特に、書面での許諾しておく必要があります。
エンタメ・コンテンツに詳しいバックオフィス担当が、得られる情報を騒動員して約1日がかりでつくりましたが、何か不備があるかもしれません。
必ず、弁護士などの専門家にレビューを受けることをおすすめします。ゼロから作成をいらいするよりは、ある程度のひな型があるとタイムチャージが少なく済む可能性があります。
ネットにある各種契約書のサンプルに着想を得ましたが、ただ僕としてはその後、自らが加筆・修正・解説して作ったオリジナル作品だと思っています。
なお、契約書には著作権が無いというのが判例なので、どうぞご自由に使ってください。ひな型のリンク(googleドキュメント)では、そのまま使えるように成形していますので便利かと思います。
また、自身の権利を確保するためだけに条文を作成するのではなく、お互い、クリエーターとして尊重できるように交渉して合意することが大切だと思います。
今回は、フリーの役者さんとの契約を想定しています。事務所やエージェント所属の場合は、役者本人ではなく事務所・エージェントと契約する可能性が考えられますが、今回は考慮していません。
主な条文の逐条解説
何の作品に対する出演なのか、特定する必要があります。タイトルが決まっていればタイトルを。決まっていない場合は仮題の注釈をいれるなどする必要があると思われます。
出演に際しては、単に当日現場に行くだけでなく様々な事前準備が考えられます。(リハ、衣装合わせ等)。それらに対して、連絡など明確に協力を得られることを定める必要があります。
次に出演料ですが、出演料に何が含まれるかは明確にする必要があります。ここでは、リハや準備、打ち合わせの拘束料も出演料に含むことを明確にしています。
経費について誰が負担するのか、出演料に含まれるか明確にします。都内での撮影の場合、軽微な都内近郊の交通費などは精算の手間などもあり出演料に含めるとし、それ以外の旅費交通費、宿泊費は別途制作側が負担することが考えられます。また、衣装を出演者側が用意する場合などの衣装代の扱いを記載することなどが考えられます。
一般的な商習慣にしたがって、月末締めで請求書をだし、翌月末に振り込むことを記載しています。
このラインより上のエリアが無料で表示されます。
撮影の期間は、穴を開けないように健康に留意を促すことを記載しています。
出演者の肖像権等について、宣伝目的に使用できることを明記するものです。
出演者には実演家としての著作権が存在します。1項では、それらを制作者に譲渡する内容を記載しています。
2項は、パッケージの販売やネット配信ができることを記載しています。
3項では、2次利用の報酬について別途協議とすることを記載しています。事務処理の煩雑性の回避のため、2次利用報酬を第3条の報酬に含めることも考えられます。また、チャリティ目的での利用ができるようにしておくことも考えられます。
制作側に安全確保義務があることを明示するものです。事故などの保証について、保険に加入するなど措置を講ずることを求めるものです。
解説は以上です。ひな型は、全22条あります。
以下、有料のひな形ファイルになります。
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