舞台制作、戯曲の執筆と上演依頼に必要な契約書のひな型を公開します
演劇をやりたいと思い、舞台制作に必要な契約を整理しています。各所にお願いするにあたり、契約関係をキッチリしておく必要があると考え、戯曲の執筆や上演に関する契約書のひな型をつくろうとしています。
作成に際して、以下のサイトを参考にしました
作成したひながた、『執筆委嘱及び上演許諾等に関する契約書』について逐条解説します。
執筆の委託
第2項から第4項では、製作会社が、第1稿の内容を踏まえて、企画意図等製作会社の意向を反映させるため、脚本家に対して、第1稿の内容をリライト (修正) させる権利を規定しています。
また、執筆における創意工夫に関しては、脚本家個人の才能等が重要となると考えられるため、脚本家自身に対象業務を行わせる必要があること、及び再委託による権利関係の複雑化を防止する観点から、第5項では脚本家による対象業務の再委託を禁止しています。
提出の期限
脚本・戯曲の納入期限を定めています。締め切りを設定するのは重要です。プロット、第1稿(初稿)、完成稿の別に日付を設定してます。公演の時期が決まっている場合、戯曲・脚本の完成が読めないと準備がし辛いです。
戯曲の内容に関する協議
第2項は、劇団・上演側が制作における内容コントロールを行うための規定であり、企画意等の意向を反映させるため、実際の執筆及びリライトにおいて、脚本家が製作会社の指示に従う義務を定めています。
第3項は、上記を具体的に担保するために打ち合わせや取材を行う義務を課しています。
上演の許諾
上演を前提に執筆を依頼する建付けなので、上演を許諾する旨を予め記載することが考えられます。劇団からすると執筆料をしはらっているので、ある一定期間は、独占的に上演できる権利を確保したいところです。
委嘱料及び許諾料
委嘱料や上演の許諾料を、各フェーズ毎にしはらう取り決めとしています。
救済方法の制限
脚本家が著作者人格権に基づき差止請求を行い、実際に上演の使用収益行為の差止が認められてしまうと、サブライセンスをしている場合などには、債務不履行に直結して重大な影響を受ける可能性があるため、予め差止請求の不行使の合意を規定しています。
権利義務の譲渡
第1項では、劇団側が、資金調達のため、著作権を担保目的で譲渡したり信託しなければならない場合について、譲渡等について可能としています。(映画などではよくありますが、演劇ではあまり聞いたことありませんが)
他方で、第2項は、脚本執筆は脚本家の個人的な才能によるところが大きく、最終的な脚本の完成度に影響するため、脚本家による本契約から生ずる権利義務の譲渡を禁止しております。
ひながた(WORDファイル)
以上ですが、エンタメ・コンテンツに詳しいバックオフィス担当が、数日がかりでつくりましたが、何か不備があるかもしれません。
必ず、弁護士などの専門家にレビューを受けることをおすすめします。ゼロから作成をいらいするよりは、ある程度のひな型があるとタイムチャージが少なく済む可能性があります。
なお、契約書には著作権が無いというのが判例なので、どうぞご自由に使ってください。ひな型では、そのまま使えるように成形していますので便利かと思います。
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