インドネシア屋根置き太陽光の設置容量推移および今後の導入目標
本章では、インドネシアに於ける屋根置き太陽光発電設備の導入目標を整理し、これまでの設置容量推移を確認していきます。
インドネシア国エネルギー鉱物資源省(“エネ鉱省”)が2021年に屋根置き太陽光発電設備の導入目標を公開し、2025年までに3.61GW (ギガワット)以上の導入が目指されています。この目標に向けて、ロードマップもあわせて発表され、累計で2023年までに900MW、2024年までに1.8GWを導入すると、段階的な計画があります。
2018年から昨年までは設置容量が年平均103%で成長してきましたが、2023年末の導入実績は141MWを記録し、上述ロードマップに掲げた目標値を達成するには日暮れて道遠しです。
また、2024年3月28日に行われたSosialisasi Peraturan Menteri ESDM No 3 tahun 2024(エネ鉱省主催の説明会)により、2024年2月末時点の実績が公表されました。2月末時点ではインドネシア全国の設置顧客数は8,664、合計の設置容量は166.41MWpでした。前年末と比較して2ヶ月で約18%増加しましたが、2024年末に1.8GWという目標に到達するには導入を加速させる促進施策が必要と考えられます。
上記背景の中、2024年1月31日付で発令されたエネルギー鉱物資源大臣令(MEMR No.2/2024)にて、クオータ制度の導入が決定したことが、3月に入ってから公表されました。クオータ制度とは屋根置き太陽光発電設備の設置容量を地域ごとに設定するメカニズムであり、エネ鉱省がPLN等の電力供給事業者(IUPTLU保有者)からの提案を審査し、5年間のクオータを決定します。そして、顧客から電力供給事業者への設置許可申請は毎年2回(1月及び7月)に受け付けられます。エネ鉱省の説明によると、申請に対する許可認定は先着順で処理されるそうです。これまでPLNの運用により、屋根置き太陽光の導入可能設備容量は、顧客が電力会社と契約をしている契約容量の15%迄を上限に制限されていましたが、この制限が撤廃されることになりました。
このクオータ制度の導入により、屋根置き太陽光発電設備の導入促進、及び目標達成への貢献が期待されていますが、本制度適用開始は2024年7月からとなるため、実際の運用がどのように進むか、現段階では不透明な状況です。
<参考文献>
Asosiasi Energi Surya Indonesia. (March 5, 2024). Perspektif Masyarakat Terhadap Pengembangan Energi Surya Di Indonesia. Sosialisasi Peraturan Menteri ESDM No.2 Tahun 2024 Tentang PLTS ATAP.
Direktorat Retail dan Niaga, PT Perusahsaan Listrik Negara. (March 5, 2024). Kesiapan PLN Untuk Pelaksanaan Permen ESDM No.2 Tahun 2024 Tentang PLTS ATAP.
Direktur Aneka EBT, Kementerian Energi Dan Sumber Daya Mineral Republik Indonesia. (March 28 ,2024). Permen ESDM No. 2/2024: Tentang PLTS Atap yang Terhubung pada Jaringan Tenaga Listrik Pemegang IUPTLU.