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インドネシア再エネのポテンシャルについて

今回はインドネシアにおける再生可能エネルギー(”再エネ”)のポテンシャルについて、情報を整理しました。まず太陽光発電のポテンシャルについて説明すると、インドネシアは熱帯地域に位置し日射量が日本より多いです。以下、世界銀行が公表しているSolar Resource Mapを元に解説していきます。

© 2020 The World Bank, Source: Global Solar Atlas 2.0, Solar resource data: Solargis.

このマップには、東アジア・太平洋地域の全天日射量(1999年から2008年までの平均値)をカラースケールで表示してあります。日本は全国平均値が3.614kWh/㎡であり、緑・黄色塗り(日射量が比較的少ない)になっている一方、インドネシアは全天日射量の全国平均値が4.625kWh/㎡であり、赤・オレンジ色塗り(日射量が比較的多い)になっており、特に東インドネシアに行くほど日射量が多いことが分かります。参考として、近隣国のベトナムとマレーシアの全国平均値はそれぞれ4.252kW/㎡と4.625kWh/㎡であり、インドネシアとほぼ同等です。

ただし、地理的条件(地形、植生、土地用途)等を踏まえた上、各国の太陽光発電ポテンシャルを見るとインドネシアにおけるポテンシャルが多いことが分かります。要因の一つとして、前述4ヵ国(インドネシア、日本、ベトナム、マレーシア)の中、インドネシアの面積が一番広く、他3ヵ国の中で一番面積が広い日本と比較しても5倍以上の面積になりますので、全天日射量に国の面積を掛けると、インドネシアの年間発電量が他国の量を大幅に超えます。

以下、太陽光発電だけでなく水力発電や洋上風力発電も含めた各国(インドネシア、ベトナム、マレーシア、日本)における導入ポテンシャルおよび既存設置容量(2021年または2022年時点データ)を以下に表に整理しました。データは世界銀行、複数のエネルギー関連協会や政府機関からデータを収集しております。

これによると、ベトナムと違いインドネシアにおいては洋上風力発電のポテンシャルはあまりなく、その代わり水力発電に対する導入ポテンシャルがあることが確認出来ます。国際水力発電協会の推定(2023年時点)で80GW相当の水力発電の導入ポテンシャルがあり、ベトナム(40GW)の2倍、マレーシア(20GW)の4倍とポテンシャルが高い一方で、既存導入実績としてはベトナムよりも少ないことから今後成長が期待できる再エネ電源であることが分かります。

インドネシア、日本、ベトナム、マレーシアにおける再生可能エネルギーの設備導入ポテンシャル(アラムポート作成)

*SEDAマレーシアの報告の中には、洋上風力の導入ポテンシャルについて推計値の記載がなく、現時点では開発ポテンシャルが低いと判断されるものの、更なる調査が必要とのことです。
#環境省地球温暖化対策課の資料には既開発発電所分を控除しているため、当方にて設備容量を足して記載しました。
※1 Institute for Essential Service Reform (IESR), (Published 2021-03-18, Updated 2021-06-04), “Beyond 207 Gigawatts: Unleashing Indonesia's Solar Potential”.
※2 環境省地球温暖化対策課. (令和4年4月). 『我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャル: 概要資料導入編”, “太陽光・陸上風力導入ポテンシャルの推計結果(令和3年度調査)』(pp.6)
※3 McKinsey & Company. (2023, October 3). “Putting renewable energy within reach: Vietnam’s high-stakes pivot”.
※4 Sustainable Energy Development Authority (SEDA) Malaysia. (2021). “Malaysia Renewable Energy Roadmap (MyRER)”. 978-967-26643-0-7.
※5 International Hydropower Association. (2023). “2023 World Hydropower Outlook: Opportunities to advance net zero”.
※6 The World Bank (2021, February 5). “Global Offshore Wind Technical Potential: 1. Technical Potential at the country level”. 
※7 International Energy Agency. (2023). “Renewable 2022: Renewable electricity”. 

<参考文献>