心あたたまる時間。


”一日一日を、たっぷりと生きて行くより他ほかは無い。

明日のことを思い煩わずらうな。

明日は明日みずから思い煩わん。

きょう一日を、よろこび、努め、

人には優しくして暮したい。” 

太宰治「新郎」より


最近一番多く過ごすのは、家族との時間。

きょうは祖父母のことを書こうと思います。


私の祖母は老人ホームに入居しており、新型コロナウイルスの影響で会いに行けなかったのですが、ガラス越しであれば面会してもいいということで、先日2ヶ月ぶりに母と祖父と一緒に会いに行きました。祖母は天真爛漫でよく笑い、社交的で音楽とおしゃれとお菓子作りが大好きでした。今年で91歳。軽い認知症と診断され、お酒を飲み過ぎてしまったり家事ができなくなってしまったため老人ホームで暮らしています。老人ホームの居心地がとてもいいようで、会いに行った時もニコニコしていたので安心しました。祖父は私の自宅から歩いて3分ほどにある高齢者向けマンションで一人暮らしをしています。うっかり物忘れをすることはあるものの、認知症のような症状はなく、93歳になった今でも現役バリバリ囲碁を嗜み、特許の発明を考えたり、ユーモアあふれる川柳を詠んでみたり、料理をしてみたり、とっても元気でかっこいいおじいちゃんです。祖母曰く結婚前は真面目で表情が固かったという祖父ですが祖母と結婚してから明るくよく笑うようになったそうです。「おばあちゃんは元気かな、早く会いたいな」と前々から呟いていた祖父は久しぶりに会うことができて「おばあちゃんは笑顔がいいね、いつもニコニコして」とうれしそうでした。祖父の祖母に対する優しさは、こちらまで心があたたかくさせてくれます。幼くして両親が離婚し別居していた私にとって、一番近くで見てきた「夫婦像」とはまさに祖父母でした。