フィン・マックールの時代のアルスター
フィン・マックールが登場する時代でもアルスターは有力な北部の雄として描かれることが多い。しかし彼らの内情について解説されていることはほとんどないため、それらについて備忘録としてまとめて置く。クーフーリンの時代のコンホヴァル王の王統が途絶え、「アルスター」と銘打たれていても実際には複数の勢力が入り乱れている中で表舞台に立つものは入れ替わり立ち替わりするような状況なのである。なお、なるべくわかりやすく整理したが矛盾も多々ある。
①コナル・ケルナッハの血統~ダール・ナラディ(Dal nAradi)
人物1:マール・マクロフリー……百戦のコンの祖父トゥアサルを倒したアルスター王でありコナル・ケルナッハの血を引いている。最期は百戦のコンに討たれる。(コンの父フェリムに討たれる場合もある)
人物2:ブレサル・マクブリアン……マール・マクロフリーの甥(父ブリアンがマール・マクロフリーの兄弟)。百戦のコンの兄弟オヒー・ベルブイーが亡命してきた時に彼を保護していた。カハル・ブレサル・マクブリアンという名でマグ・レーナの戦いに登場しており、ダール・フィアタハのイムハズを追放していた。
人物3:カルブレ・グナーホール……マール・マクロフリーの息子。百戦のコンの兄弟オヒー・ベルブイーがアルスターに亡命した時に叔父のブレサル・マクブリアンとともに王だった。百戦のコンに対抗すべく、ムグ・ヌアザの強さに頼っていた。
人物4:ティブリディ・ティーレハ……マール・マクロフリーの息子。女装して百戦のコンを討ち取った。ティブリディの母は百戦のコンの姉妹である。彼の曾孫がフィアハ・アラディである。
人物5:イムハズ……ダール・ナラディの祖フィアハ・アラディの孫か曾孫。フィンの叔母トゥルネの結婚相手。トゥルネを保護しなかったことでルーイー・ラーウに殺害された。
人物6:オヒー・コヴァ……マグ・レーナの戦いでダール・フィアタハのイムハズと対立していた王の一人。イー・エハハ・コヴォの祖。
解説:史実アルスターの最有力勢力。祖先はコナル・ケルナッハだと主張している。西から勢力を伸ばしたイー・ネールによって領土が分断された時にできたらしい分派がイー・エハハ・コヴォとなる。
②ダール・フィアタハ(Dal Fiatach)
人物1:イムハズ……マグ・レーナの戦いに登場するコンの娘婿でアルスターの王子。物語ではフィンハズの子のブリアンの子のイムハズとあり、ダール・フィアタハの系図資料に見られるフィンハズの子イムハズに相当する。一族の祖フィアタハ・フィンの曾孫。
人物2:フェルグス・ドゥブデータハ……黒い歯のフェルグス、ルーイー・ラーウにクリナの戦いで討ち取られた。上記のイムハズと百戦のコンの娘であるミーンの息子。(女性の伝説バンヘンハスで確認できる)
人物3:オヒー・グンアト……コーマック・マクアートが退位した後にアイルランド上王となった人物。父親はイムハズ・マクフィアハといい、前述のイムハズとは別人である。一族の祖フィアタハ・フィンから数えて六世の子孫。
人物4?:ムレダハ・ムンダーグ……マグ・レーナの戦いで百戦のコンに討ち取られたアルスター王。フェルグス・ドゥブデータハから数えて八世の子孫に同名の人物(西暦489年没)がいるがさすがに別人か?
解説:史実アルスター二番手の勢力としてダール・ナラディに抵抗、アルスター地方ダウン州の沿岸部にしぶとく生き残っていた。
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