いかにしてフィンはソゼルブとグラングレサハの仲を取り持ったか
生きとし生けるものの中でで最も麗しきは、ドゥバン・マクドゥヴノナの妻であるゴダの姿。人の中で最も愛らしいのは、アレルブ・ルア。
ムグスメリーが彼女を連れて群衆へ突き進んだ時――その後のことはまた別の話。
これは既に述べていたように、コーマックの娘であるソゼルブの結婚についての話である。彼女がマクミレーの首席学士であるグラングレサハと共に就寝した時のこと、その乙女はウルカンの娘ベウァルの魔法によって彼に憎しみを抱いた。それでグラングレサハはフィン・マックールの保護下に入った。
ある時、フィンはフィアナ騎士団の戦士たちを従えて、グラングレサハの鍛冶場に行った。アレルブ・ルアは養父すなわち鍛冶場にいるフィンと一緒にいた。
その時にムグスメリー・マクスモルはその鍛冶場で働いていたのだが、顔を挙げると乙女、アレルブ・ルアを見かけ、一目ぼれしたのだった。フィンはそのことに気づいてこのように言った。
「その乙女に恋をしてしまったようだな、少年」
フィンがこのように言うとムグスメリーは答えた。
「ええ。もしも僕が彼女を連れてフィアナ騎士団の全ての者のところに駆けることができれば、彼女を僕に嫁がせてくれるでしょうか」
「彼女を嫁がせよう」
フィンは言った。彼は乙女の手首を握って、走り、フィアナ騎士団の全ての者のところに行った。そこで彼女は彼に嫁いだのだった。
その後、フィンは彼を連れて行き麾下に加えて、グラングレサハとコーマックの娘ソゼルブの仲を取り持ち、彼らはよりを戻したのだった。その後のことはまた別の話。
How Finn made peace between Sodelb and Glangressach
[ed.] Meyer, Kuno [ed.], “Mitteilungen aus irischen Handschriften: Ailelb und Glangrēssach”, Zeitschrift für celtische Philologie 12 (1918): 374–375.
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