SHIROの香水 スモークレザー
SHIROのフレグランスといえばサボンやホワイトリリーが有名だろう。SNSでよく見かけるので、気になった筆者は今年のはじめくらいに店舗に行ったことがある。
そこで思わぬ出会い方をしたのがパフュームシリーズだった。白い容器のお手頃価格なサボンなどのシリーズとは違って、透明な100mlのガラスボトルに入った、少し高級なシリーズのフレグランス。
思わず手にとって、香りを確かめてみた。
フリージアミスト、パリジェンヌのお気に入り、Take it easy…などなど興味をひかれる名前のついた12のボトルを片っ端から試した。その中で一番いい香りだと思ったのが「スモークレザー」だった。
レザー系の香水は好きではない。
別にベジタリアンではないけれど、動物性の香料とアクセサリーは身に着けないようにしている。なんとなくグロテスクに感じるから。その話も、いつか書こう。
とにかく、名前では全くひかれなかったスモークレザーだが、香りはとても好みだった。革製品を燻した(いぶした)香りをイメージして作られたという香水だが、自分には樹木の香りに思えた。それもヒノキや松などの針葉樹。甘さは一切なく、冷たくツンとした印象。若干の清涼感を感じるのはジンジャーが入っているからかもしれない。ジンジャーと言っても暖かさは感じない。ひんやりと薄暗い、針葉樹森の香り。樹木系の香水好き人間として見過ごせない。
手首につけて一時間ほど、デパートの売り場を歩きながら考えた。この香りは自分にとってどんな位置づけか?どういうイメージか?
筆者の生まれは田舎なので、針葉樹の香りには馴染みがある。この香りを嗅いでいると地元にいた時を思い出す…。
気がついたらSHIROの店舗に戻って「これをください」と言っていた。
とても雰囲気にお似合いですね、と店員さんは言ってくれた。その言葉にうれしくなった。
SHIROのフレグランスはすべてユニセックスであるが、スモークレザーに関してはかなり男性寄りの香りだと思う。甘さの一切ない、クールで力強い香り。しかし香り自体が強いわけではなく、日本人に合うほのかな香り方。
地元を思い出す香りというのもあるけれど、服装や雰囲気に合うことも香り選びでは重要な要素だ。だからこそ、セールストークでも雰囲気に合うと言われたのが嬉しかった。
100mlとたっぷりある香水なので、気分転換したいときに気軽に纏ったり枕に吹きかけたりしている。海外の香水のように何時間も香りが残る…ということはないので、リフレッシュに気軽に使えるのも良い点だと思う。
透明でシンプルなボトルも、インテリアに最適。
自分の持っている香水の中では高価な方だが、この香りを纏うたびに地元の森を思い出し、当時の思い出に浸る事ができる。我ながらノスタルジックだと思う。
普段は香水を纏うとき、どういう人に見られるか、自分がどういう雰囲気か、ということは全く考慮していない。夜間飛行の記事でも書いたけれど、似合うかどうかよりも「自分が好きかどうか」を重視して香水を選ぶことが多い。
だが、その人の雰囲気に合うかどうかというのも時と場合によっては考える必要がある。たとえば、オフィスで使う場合なんかには。
シャネルやジョーマローンでメンズ向けフレグランスを手にとって試香していると店員さんに全く声をかけられないのだが、レディース向けの香りを試しているときは全力で勧められる。これは、おそらく店員さんは筆者を女性と認識し(その認識は間違っていないのだが…)、一般的な女性に人気の香りを勧めるように教育されているからだろう。その対応に全く問題はないが、「こういうフローラルな香りが似合うと思われるのか」と思うとすこしがっかりする。
プロフィールに書いているように筆者はXジェンダーである。そうでなくとも個人的な好みにより、ジェンダーレスやメンズ向けの香りが好きだ。
しかしメンズ向け香水を試香するときは少し緊張する。「店員さんに似合ってないと思われたらどうしよう…」という気持ちは多少なりとも自分の中にある。
その点、SHIROのフレグランスはすべてユニセックスなので誰でも試しやすい環境にあった。さらに対応してくれた店員さんのセールストークが素晴らしかった。
そんなわけで、筆者はSHIROのスモークレザーを愛用している。
SHIROのパフュームシリーズは高価なためか、SHIROのターゲット層と違うのか、残念なことにあまり知名度がない。ぜひ近くに店舗がある人は試してほしい…と思うのだが、これまた残念なことに今の時期では店舗に行くのも難しい。
そんなわけで、せめて持っている物のレビューだけでもと思い、この記事を書いている。
いつか事態が落ち着いたら、この記事をSHIROの店舗を訪れたときに思い出してもらえたら、ぜひともパフュームシリーズのフレグランスを試していただきたい。