『悟ったキューピー』

パブロ・ピカソのせいさ
パブロ・ピカソのせいにしてしまおう
最近のぼくがこんなにも穏やかな気持ちを
見つけることができたのは

あの頃は自分がいびつなビー玉未満の存在だということに気づかずに
ラムネ瓶の中に閉じ込められているビー玉だと勘違いしていたんだよ
ぼくの薄浅葱色の「青の時代」の全ては　
パブロ・ピカソにとっては噴パンものだろう

パブロ・ピカソのせいさ
パブロ・ピカソのせいにしてしまおう
今晩のぼくがレモン色の真新しいパジャマを
着て眠ることができるのは

太陽が　月が　星が　青くって
虹が　青のグラデーションだとしても
偉大なお坊さんは苦悩の色彩で塗りつぶしたカンバスを
天色のバラの花園に変えたから

現実の『ゲルニカ』を両目に映したことが無いひよこ頭のこのぼくが
薄浅葱色の「青」の涙をぽたぽたと床へ落とし続けて
大きな水たまりを作る理由は無いだろう
世界中のゆで卵が人間の手のひらで弾み続けているならば
一日単位の幸福をありがたく　そしゃくするとしよう

「賢治ミルクチョコレート」と「星印アイスクリーム」のベンチが置いてある　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うるとら・すぴしゃる・プリン・あら！モード公園のブランコの近くで　　　　　　　　雨ニモマケズ　風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケズに
いつだって可愛らしく笑っているパンダちゃんの背中にまたがって
ぼくは　ぼくだけのうたを　うたっていよう

パブロ・ピカソのせいさ
パブロ・ピカソのせいにしてしまおう
最近のぼくがこんなにも穏やかな気持ちを
見つけることができたのは

ぁ！一羽の白い鳩が足元に飛んできた
と思ったら　飛び去った

・薄浅葱色　　うすあさぎいろ（ラムネ瓶の色のつもりです。）
📝 噴飯物　　ふんぱんもの
食べかけのご飯をこらえきれずに噴（ふ）き出してしまうほどに、おかしくてたまらない出来事。
・天色　　あまいろ
・そしゃく　　口の中で食べ物をよくかみ砕き、味わうこと。
📝『雨ニモマケズ』（あめニモマケズ）宮沢賢治
・穏やか　　おだやか　　安らか（やすらか）