閉鎖病棟

今はどうなっているのかわからない。
けれど、15年余前、学生実習中にみた閉鎖病棟の病室はまさに、想像通りの牢屋だった。

実習先の法人は一生懸命精神障がい者の社会復帰に力を入れている。それは強く感じた。地域でどうやったら暮らせるのか、他法人とも連携しながらシステムをつくっていた。

しかし病院のある一角にそれは、そうした想いとは別のように「やむを得ず」存在していた。
内部は扉の小窓からしか見せてもらえなかった。中には布団が敷かれており、傍に便所らしき床穴が開いていた。

ほんの数秒みただけであるが、この中に入る人、入れる判断をする人、共に大変な苦労があるだろうことは感じた。この狭い部屋の中で病と闘い苦しんでる人がいる。部屋の外には医師やスタッフの苦渋の決断を強いた思いがある。

今日もあの空間は存在し続け、誰かが入っているかも知れない。

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