「デートする楽しさ」について
体調を崩して、2日間家にこもっていた。
外の空気には一切触れず、誰と話すわけでもなく、楽しみにしていた予定はすべてキャンセルして(ごめんなさい)、ただひとり家にこもってふつふつと作業をしていると、何があったでもなく、ふと「ああデートがしたいなあ」と思った。
私はデエトが好きである。何ものにも換え難いほど、好きである。燃えたぎるような恋愛感情なんてどうだってよろしい。楽しいデエトがしたい。
(中略)
デエトの根本は、恋愛の序章でもなく、一発かましてやろうでもなく、人を知ることだと私は断言する。そのうえで、恋愛が始まったり友情が芽生えたり一発やったりするんであって、それらは付加的な意味に過ぎない。
角田光代さんの『愛してるなんていうわけないだろ』というエッセイの中にある、この一節を思い出す。そして朦朧とした意識の中、「ほんとそうだよなあ、別にデエトは恋愛の序章なんかじゃないんだよ」と、あらためて強く、共感した。
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そういう意味で、先週末に参加したWIRED合宿では、すばらしい「デート」がプログラムとして組み込まれていた。
「WIRED合宿」とは、CAFE COMPANYのあやかちゃんとEVERY DENIMの山脇くんが主催している、“人とヒト、人とモノ、人とコトがつながる” 合宿のこと(くわしくはハッシュタグ #WIRED合宿 で)。
ほとんど初対面の男女6人が浅草の街に集まり、ペアを組んで「デート」をした。
出会って1日足らずの人と、浅草の街を歩き、おたがいの写真を撮り、おたがいの仕事や趣味の話をして、おいしいごはんを食べ、昼からお酒を飲んだ。
とても心地がいい時間だった。そしてこの「心地よさ」は、角田さんの言うところの、「恋愛の序章でもなく、一発かましてやろうでもなく、人を知ること」に特化していたことからくるものなんだろうな、と、思った。
人を知ることは楽しい。ただ言葉を交わすだけじゃなく、その人がどんな目線で世界を見て、どんな街の歩きかたをして、どんなものに惹かれ、どんなものをおいしいと感じるのかを知ることは楽しい。その感覚がもし自分と相性が合わなかったとしても、その人を知ることでしか知りえない世界がこの日本には1.3億も存在するということは、なんと魅力的な事実なんだろう、と思う。
「恋愛がゴールにない」デートを、たくさんの人としたいな。それは、女の子でも、男の子でも、お父さんでも、お母さんでも。もっと、デートという言葉がフランクになればいい。そんなことをふと思う、木曜日の夜なのでした。
ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。