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悔しい思いをしたときは
悔しいことがあって、昨日は朝から気分がすぐれなかった。
自分でもビックリするくらい元気になれなくて、これは梅雨のせいかなあ低気圧だしそういえば最近寝不足だし体調のせいもあるんだろうなあとかいろいろ考えてみたけれど、いつもなら原因を何か外部要因(体とか天気とか)に押し付けてしまえばケロっと直るはずの気分が、落ち込んだまま全然直ってくれなかった。
あ、これはどうやら本気で落ち込んでいるようだ、と気づいたのは昼すぎくらい(鈍感)。
けれどその日は関西から遊びに来ている友人と会う予定や楽しみにしていた飲み会もあったので、一日中家で引きこもることもできず、「今日はがんばる!」と無理に自分の気持ちをあげようとすることにした。がんばるというか、好きな人たちに会って楽しい会話をしたら、がんばらずとも気分なんてものはすぐにあがるだろう、と思っていた。
ともだちと行ったほぼ日さんの「生活のたのしみ展」は無事に(?)楽しむことができた。かわいい雑貨も買えて、バチェラーの話やそのともだちのドラマのような恋愛話で盛り上がって、なんてことない、このまま行けば大丈夫、と思っていた。
そのともだちとバイバイをして、「あと3時間飲み会を楽しんで、そのあとでだれにも迷惑をかけずに家でひっそり落ちこむんや」と気合いをいれる。
だから飲み会では、極力自分の話をするのではなく、聞き役に徹そうとした。聞き役に徹そうとせずともみなさんの話が本当におもしろく、聞くのに夢中になっていて、途中まで自分が落ち込んでいることなんて事実すっかり忘れていた。
忘れていたのだけれど、ふとした拍子に「あかしさんは最近どう?」みたいな話題を振られた。ポツリポツリと自分の話をはじめた瞬間に「あ、これはヤバいかも」と思ったのだけれど思ったのもつかの間、涙があふれてきた。自分でもみるみるうちに顔がグシャってなっていくのがわかってびっくりして、すぐにおしぼりで顔を隠した。
ああ、楽しい飲み会でいきなり泣くなんて心底迷惑で申し訳ない、とか、初対面で号泣するとかヤバいやつだと思われる違うんです普段は違うんです、とか、なんであと1時間半がまんできなかったんだろうとか、人前で泣いたのっていつぶりだっけ?とか、でもやっぱり悔しいことを思い出せば思い出すだけめっちゃ悔しいなにくそ、とか、でもちょっとだけ人に話せて安心している、とか、なんというかもういろんな感情がぐああとあふれだし、そしたら余計に涙が止まらなくてびっくりした。
そこには私がもう8年も前からお世話になっている方もいて、その人の前でも弱い部分は見せたことがなかった(たぶん)から、きっと驚いてたと思う。
本当に昨日の飲み会にいたみなさんには申し訳ないことをしたと反省をしつつ、優しく話を聞いてくださって本当に感謝をしています。私は本当に世間知らずなガキだ。
きっと、さいきん周囲でがんばっている本当にすごい人たちを見てかなわないと思ったりとか、自分はこれからどうしていこうとか、いろいろ揺らいでいるときにドカンと来た一発だったので、今回の「悔しいこと」がそれらの感情がぐちゃぐちゃにあふれでてくるトリガーになったんだろうな、と少し冷静になって考えた今はそう思う。
そしてこの「悔しい」という感情は、その言葉が図星だったことに対しての、自分に対しての「悔しい」もきっと入っていたんだ、とも。
飲み会が終わって家に帰っている途中、その飲み会にいた尊敬している人から「(泣いている姿を見て)逆になんだか安心しました」とメッセージが届く。
その言葉は、わたし自身も「心から悔しいと思えるほど、自分が思い入れできるものが見つかったんだ」と安心していることに、ふと気づかせてもらえるものだった。
お風呂あがりに、自分の本棚にある好きな作家さんたちの「悔しい思いをしたページ」を自分の記憶を頼りに探して読む。
過去を振り返ると、なめくじが這った跡のように、恥を引きずって生きてきた。羞恥心で自分の過去から駆け出して逃げたいほど、恥にまみれて生きて来た。しかし、その恥が、私を衝き動かして生きてこさせたのだ。
醜態をさらし、恥をかくのは青年の特権である。どんどん恥をかくといい。精神的劣等感のためにかく恥は、青年という車を動かす原動力である。
『ぼくふう人生ノート』吉行淳之介
私が好きだと思う人はみんな、悔しい思いをしている。私が好きだと思う人はみんな、悔しさを原動力にしている。やりきれない感情を内に溜めて悶々とするのではなく、むしろそれをバネにがんばっている。そういう生き方はかっこいいし、私もそうやって生きたいなと思う(辛いだろうけれど)。
次に悔しい思いをしたときは、一度だけ腹の底から悔しいと叫び、1日だけ思いっきり泣いてやろうと思う。そして、「なにくそ精神」で力に変え突き進もうと思う。
ウルフルズを聞きながら雨の中帰り道を歩く。いつだってウルフルズは悔しさをバネに人生を肯定する超イケてるロックバンドですわ。
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