ステキな料理人になりたい
インタビューが、苦手だ。
あがり症なのもあって、インタビューの前日くらいから胃がキリキリしてきて、ああ、話が続かなかったらどうしよう、大事なセリフを聞き逃したらどうしよう、私の理解力が追いつかなかったらどうしよう、と、緊張して悪い方向ばっかりに考えてしまうクセがある。
このことについて、あまりにも悩んでいたので、編集長に相談してみた。「取材(インタビュー)が、苦手なんです」、と。
すると、こんな答えが返ってきた。
「取材は、漢字のとおり、"材料を取る"ことなんです。ほしい材料さえ分かっていれば、あとは、その材料を、妥協せず、しっかりと、最後まで取りきるだけで、良い取材になります。」
ああ、そうか。
この編集長のことばを聞いて、直感的に、おもしろいコンテンツって、おいしい料理なんだ、と思った。取材は、料理をつくるための「材料の買い出し」の作業なんだ。
お味噌がなかったら、お味噌汁なんて作れるはずがない。卵がなかったら、オムライスなんて作れるはずがない。自分が何をつくりたいか分からないのに、材料を買うことなんて、できない。
まずは、ちゃんと、つくりたい料理を考えること。そして、それをおいしく作れる「レシピ」を用意すること。その上で、材料を集めること。集めたあとは、最後までていねいに、時には大胆に、調理をすること。
生身のインタビューの良さは、「隠し味」を見つけられることにあるんだ、と思う。ほしい材料がきっちり決まっていて、それさえあればいい、というんだったら、メールなどの文面でインタビューしてしまえばいい。
けれど、生身でインタビューすることで、レシピを作る時に思いつかなかったような、「あ、これ入れたらもっとおいしくなるやん!」という、隠し味を見つけることができる。
そこが、インタビューの醍醐味なんだろうな、と思う。なんだかちょっと、すっきりした。まあ、次のインタビューでも、きっと緊張するんだろうけど。
すばらしい編集者は、きっと、料理も上手なんだろうな。私も、ステキな料理人を目指そう。
ありがとうございます。ちょっと疲れた日にちょっといいビールを買おうと思います。