「業務委託」からの「正社員採用」でエンジニアチームが4ヶ月で2倍になりました
DROBEというスタートアップでひとり人事をしている阿久澤です。
わたし、エンジニア採用には正直苦手意識を持っていました。「私自身がエンジニアとして働いたことがない(からよくわからない)」「エンジニア採用市場がレッドオーシャン化していて、採用難易度が高そう」というのがその理由です。
そんな私でも、入社直後に「エンジニア採用が急務」というお題を出されてやばいやばいと焦りながらも、4ヶ月後にはエンジニアチームの人数を2倍にできました。
といっても3人→6人なので、大量採用という文脈ではないです。一方で、少人数のチームだからこそ、同じ船に乗せる1人のインパクトは大きく、採用要件は高い。
そんな与件の中で、私たちが実際にやったこと、その中でよかったことや気づいたことなどをお伝えできればと思います。
サクッと前提共有:エンジニアチームのbefore→after
before
・CTO(1)
・AIエンジニア(1)
・バックエンドエンジニア(1)
・(業務委託)フロントエンドエンジニア(1)
・(業務委託)インフラエンジニア(1)
after
・CTO(1)
・AIエンジニア(2)
・バックエンドエンジニア(2)
・フロントエンドエンジニア(1)
・(業務委託)バックエンドエンジニア(1)
・(業務委託)フロントエンドエンジニア(1)
・(業務委託)インフラエンジニア(1)
※太字が差分
スキルフルな業務委託の方々に力を借りつつ、正社員エンジニアはCTO含めて3人でした。サービスが成長していくにつれ、開発の物量も質もスピードも、より求められるようになり、「正社員エンジニアを増やす」が経営課題に位置付けられました。
CTOが譲れなかったもの:正社員採用には必ず業務委託期間を挟む
CTOがこだわったのは、正社員採用には必ず業務委託期間を設ける、というものでした。
下記の図は、私が入社後整理した、DROBEの採用フローです。
担当統括(CxO)が自信を持って推薦できる状態=一次面接通過、とおいた際に、エンジニアに関しては必ず業務委託期間を設けるようになっています。
私もこのフローには非常に納得しています。
スタートアップには、決まった業務フローなど存在しておらず、日々状況が変わりうる。そのようなカオスな状況下でお互いが気持ちよく働けるためには、スキルとは別の要件が存在しているからです。例えば「方針変更や仕様変更への柔軟性」「社内の情報をプロアクティブにキャッチアップする力」「何をこだわり、何を捨ててスピードを担保するかへの勘所」などです。
これらは一つの物差しで「高い」「低い」と判断できるものではなく、バランスであり、既存のチームや会社の動き方との相性です。相性を判断するには、やはり一緒に働いてみるのが一番手っ取り早いし確実である。
要は、スタートアップの採用はわがままなんです。
組織が大きくなっていけば、多様な人がそれぞれ気持ちよく働けるためのグランドデザインが必要ですが、今はそれよりも機動性やスピード感を重視したい。それを担保するために、乱暴な言い方をすると「俺たちのノリ」と合うかどうかが非常に重要。
よかったこと1:バンドで例えるCTO
「俺たちのノリ」ってなんやねん、ですよね。
エンジニアの技術やスキルもまだまだわからない私。100歩譲ってそれらは勉強してキャッチアップできるかもしれないけれど、「ノリ」なんて非言語的なものまで理解できるのか...不安でいっぱいでした。
そんな私の救いは「全てバンドで例えるCTO」の存在でした。(ふざけてないです。)
いいバンドとは、悪いバンドとは。伸びるバンドとは、伸び悩むバンドとは。ギターの役割とは。ドラムの役割とは。
感覚的に「なるほど〜〜〜!」と思う例えで、どんな人物像がこのバンド(エンジニアチーム)には合っているのか、そうでないのか、語ってくれました。
ちなみにCTOも私も、かつてバンドでドラムを担当していましたw
採用担当がトップと同じ感覚を持つことは非常に大切です。まだまだですが、バンドという共通のチーム像を持つことで、致命的にズレることなく、協働できた気がします。(もちろん、技術的なことやレベル感の定義についても日々教えてもらってました!あくまで感覚的なことに関しては、です)
よかったこと2:何のための業務委託なのかを明確化し、業務委託期間でのCTOと人事の役割分担を明確化する
業務委託としてJOINしてもらう際に、必ず「何のための業務委託なのか」を最初にご本人と話しました。
バターン1「転職先を探していて、業務委託自体も転職活動の一貫」
パターン2「スキルアップのための業務委託だが、よければもちろん転職も視野に入れる」
パターン3「すでに自身でやりたいことが明確で、あくまでもスキルアップや報酬のための業務委託である」
一口で業務委託と言っても、その位置付けは様々です。まずはお互い、この期間をどう過ごしたいか、どうなるのがベストなのか、目的とゴールの認識を合わせました。
その中で、パターン1「転職先を探していて、業務委託自体も転職活動の一貫」の方に関しては、CTOと人事である私の役割を明確に分けました。
転職活動の一部として業務委託を過ごす方は、「この職場は果たして自分が働きやすいか」という観点を見極めるために来ています。
それはレポートラインのあり方だったり、プランニングのあり方だったり、ビジネスサイドとの連携の仕方だったり、CTOの人柄だったり...。それらをフラットに見極めてもらうためには、CTOが人事的な観点を持ちすぎるのはよくないと思っています。
「本来は指摘したいことも、入社してほしいと思うと我慢してしまう」「通常以上に丁寧な対応(おもてなし)をしてしまう」「業務委託の方からしても、業務を超えた気遣いを強いられる」などです。
なので、入社検討文脈でのコミュニケーションは全て人事の私がとり、CTOはあくまでも業務上のコミュニケーションに専念してもらいました。
この結果、業務委託を経て入社していただいたメンバーに入社後1on1した際にも「入社前と入社後のギャップはほとんどなかった」と言っていただき、精度の高いマッチングができたと思っています。
よかったこと3:ラブコールはちゃんと伝える!
パターン2「スキルアップのための業務委託だが、よければもちろん転職も視野に入れる」という方には、しかるべき時に、きちんとラブコールを惜しみなく伝えることが大事だと思っています。
一定期間一緒に働き、ぜひこの人にJOINして欲しい!と思っても、すでに一緒に働いている期間や関係性が邪魔をして(要はリスペクトがあるからこそ遠慮して)、気持ちを無邪気に伝えられなくなる、、ということが起こりえます。
「こんなこと言っても迷惑かな」
「気持ちを押し付けても困らせるかな」
「うざいと思われたらどうしよう」
まるで恋愛のようですが...。でも、私は「気持ちは言葉にしないと伝わらない!!」信者なので、タイミングを見て、ラブコールを伝える場をセットしました。しっかりと準備をして、真摯な気持ちが伝えれば、嫌な気持ちをする方はいないはず、嫌な気持ちになるのであればいよいよご縁はないはずだ。
結果的に、真正面から気持ちを伝えることで、転職前提ではない副業での業務委託の方にも、正社員としてJOINしていただくことができました。
よかったこと4:経営陣面接はフラットにシビアに
これが最後のポイントです。いくら担当統括(CTO)がその方を高く評価していても、全く別の角度から、その方が会社に合わないということがあれば、入社に至ったとしてもお互い不幸になる未来が待っています。
なので、正社員の入社面接は、CxO全員による1on1での個別面接を実施することにしています。この過程で不合格になった方もいらっしゃいます。
もちろん時間もかかりますし、面接フローが長いことで機会損失を生み出している可能性はあります。でも、そのデメリットを補ってあまりあるメリットが、2つの側面であると思っています。
メリット 1:冷静な判断ができる
常に人手不足のスタートアップ。特に自チームに関しては、目の前の優秀な人材に飛びつきたくなるものです。だからこそ、他ファンクションの担当統括にフラットな指摘をもらえるのは、結果的に採用のミスマッチをなくすことに寄与します。
(例)確かに3年後の自社には確実に必要で活躍人材だと思うけど、今この人を採用しても持て余してしまうのではないか?
メリット2:採用した人を全員で引き上げるマインド醸成
いくら優秀な方でも、そのパフォーマンスを最大限発揮するためには一定のリード期間が必要です。「自分たちの総意で採用したんだから、彼/彼女は確実に活躍できる人材だ!活躍できてないとしたら自社に何らかの問題があるからみんなで解決し、全力でサポートしよう!」経営陣が足並み揃えてこう考えてくれることは、人事としては非常に心強いです。
また、採用プロセスに関わったことで、その人個人に対しても皆思い入れを持っています。「●●さん、最近元気がなさそうじゃない?」など、全員でお節介をやくようになり、入社後放置...みたいなことは起こりえません。
ここまで書いて
改めて自分で振り返ってみて、自分一人の力で成し遂げたことなんて一つもないなと気づきました。
「エンジニアチームの拡大」をきちんと経営課題の俎上にあげたからこそ、全社チーム一丸となってできたことだと思います。
突飛なことは何一つしていませんが、みんなで採用に真摯に向き合い、手も気も緩めず取り組めたことで、(一定の)成果を出せた。それだけです。ありがたすぎる!
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