悪役令嬢漫画ヒロインの髪型の流行と変遷

さて、今やなんとも多様な姿を見せている悪役令嬢漫画界隈だが、最近筆者は「ヒロインの髪型」の流行が確かに存在すると思い、今回筆を取らせていただいた。


悪役令嬢漫画黎明期の髪型といえば、言わずもがな金髪巻き髪ロングだ


「悪女は砂時計をひっくり返す」
アリア

「ある日、お姫様になってしまった件について」
アナスタシア

「優しいあなたを守る方法」
レティシャ

「再婚承認を要求します」
ナビエ

「悪女はマリオネット」
カエナ

瞳は青、緑、薄い色が主流であるように思える。

どれも金髪ロングであり、黎明期を代表する作品のヒロインだが、彼女たちの性格は多種多様にわたる。

もし分類するなら、「無邪気で心優しいヒロイン」か、「強気で戦略的に戦うヒロイン」の2パターンであると思う。誰がどちらに分類されるかは、一目でわかると思われる。

「悪役令嬢漫画のヒロインと言えば…!!」
のイメージでまず最初にくるものであり、後世にもその文化は確実に伝えられている。

皆、悪役令嬢漫画を描くなら?と考えた時まず1番最初に金髪ロングのお姫様を描くのではないだろうか。


ストーリーの特徴としては、王道展開がかなり多い。





次に流行したのが、「赤、ピンク髪」だ。


「接近不可レディー」
ヒリス

「義家族に執着されています」
ペレシャティ

「悪党のお父様、私と結婚してください♡」
エレニカ

「悪役のエンディングは死のみ」
ペネロペ

「アデライト」
アデライト

「男主人公を誘惑するつもりはありませんでした」
エレノア


「捨てられた王女の秘密の寝室」
ルウェイン


赤、ピンク髪のヒロインは黎明期終了後に一気に増加したイメージがある。

どの作品も悪役令嬢漫画として確固たる地位を持っているが、特筆すべきなのは


ストーリー展開の幅が大きく広がったこと

だろう。

黎明期までの多くは、そのほとんどが「王族」がメインに繰り広げられるものばかりだった。

しかし、赤ピンク髪世代では、

公爵、伯爵家などの名家ものが流行し始め、たとえヒロインが王女でも相手が王族とは限らなくなっていく。

加えて独特の世界観を持つ作品が多くなり、その設定もさらに細やかな密度に仕上がっている。


ピンク髪のヒロイン達は、その愛らしい見た目からは想像がつかない芯の通った性格の子達が多く、そのギャップに多くの読者がやられただろう。

そういえば、赤髪のヒロインの作品はすこしエロティックな展開が多いのはなぜなのだろう…



次に、第一次黒髪ブーム。

これは、悪役令嬢漫画としてとても優秀な作品が多く残っている。

「ベアトリーチェ」
ベアトリーチェ


「悪女は今日も楽しい」
レイリン


「実は私が本物だった」
キイラ


「皇后の座を捨てます」
アデライト


黒髪の彼女達全員に言えることが、悪役令嬢漫画のヒロインとして非常に「優等生」であるということだ。

彼女達は皆信念を貫く気高きヒロインで、悪や不正を嫌い、己の正義を貫く傾向にある。

それは悪役令嬢漫画のヒロインとしてあるべき姿とも言えよう。
現に、今あげた彼女達は時を超えて熱狂的支持者を持つ作品のヒロインばかりなのだ。


身辺的特徴としては、紫や青、紺色のイメージカラーを持つことが多い。


次にあげられるのは、「茶髪」だ
これは少々特殊とも言える例である。

先に言うと、「悪役令嬢漫画の派生ではあるが、厳密には悪役令嬢漫画ではないパターン」が非常に多い。


「今世は当主になります」
フレンティア

「できるメイド様」
マリ

「かりそめの侯爵夫人」
イヴォナ


これは流行というよりかは、前々から確実に存在していた作品が悪役令嬢漫画ブームの火付けにより再注目された、という言い方が正しいだろう。

かりそめの侯爵夫人のように、王道なストーリー展開のものもあるが、上記二つの「今世は当主になります」や「できるメイド様」のように、悪役令嬢かと言われるとなんとも言えないが形式が悪役令嬢漫画と同じものが多い。



そして最後に、私が確実に今の時代を風靡していると考えている

第二次黒髪ブーム。

まだ歴史に残る超ヒット作とは言えないものの、これから確実に名を刻むであろう名作に、黒髪のヒロインが多いのである。


「真の当主は私だった」
リアルテ

「誰かが私に憑依した」
イザベル


「愛され悪女が消えた世界」
シエナ


どの作品にも共通して言えるのが、「家族から虐待された過去を持っている」ことである。


いや、悪役令嬢漫画のほとんどは元から家族関係が悪いのだが、今の第二次黒髪ブームにおいてはそれが他の作品たちよりもより顕著に出ていると思う。


特にリアルテやイザベルのような、家族に強い憎しみを抱きながら愛よりも復讐に囚われるヒロインも多い。


キラキラ眩く輝く悪役令嬢漫画において、闇深く復讐に燃える黒髪のヒロインがこんなにも活躍しているのはなかなか珍しいと思う。


今後の第二次黒髪ブームを引き起こしたヒロイン達の活躍に大いに期待だ。




〜番外編〜

1世代に1〜2人必ずいる、美しすぎる銀髪、白髪のヒロイン


黎明期
「お父さん、私この結婚イヤです!」
ジュベリアン


「ラスボスの私が主人公の妻になりました」
フィオナ

赤、ピンク髪期

「もう一度、光の中へ」
アイシャ

「悪女が恋に落ちた時」
ルペルシャ

第一次黒髪ブーム期

「家族ごっこはもうやめます」
ナビア

茶髪期

「継母だけど娘が可愛すぎる」
アビゲール


第二次黒髪ブーム期

「お求めいただいた暴君陛下の悪女です」
ラース


「セイレン〜悪党と契約家族になった〜」
アリア

若干ピンク味がかかっているが…それにしても美しすぎる



なぜなのか、どの世代にも美しすぎる銀髪のヒロインは存在し、そのどれもが歴史に名を残す名作になっている。


今筆者が最も注目しているのは、

最近の新作でありながら目を見張る美しい作画ですでに名作の予感しかしない「セイレン〜悪党と契約家族になった〜」のアリアだ。


時代と共に変遷を辿るヒロインの髪型だが、あくまでこれは代表作の流行の例を挙げたまでにすぎない。

もちろん、最近のヒット作にも未だ金髪ロングのヒロインは存在するし、はたまた黄緑や薄茶など他とは一見違った髪色を持つヒロインもいる。

ピンク髪、茶髪、金髪、黒髪、赤髪、白髪、銀髪…
王道といえばここらだが、ストーリー展開の限られたこの世界でどれだけ彼女らの個性を出せるか、がヒットの鍵になっているのだ。

果たしてどんな作品がヒットするか侮れない界隈なのである。


今後の流行も目を光らせながら楽しみにしている。

いいなと思ったら応援しよう!