物流の現場における荷待ちの根本的な原因
「荷主事業者の物流情報の把握状況等に関する実態調査結果
令和5年4月27日 経済産業省・国土交通省・農林水産省」
の資料によると、
荷主事業者の荷待ち時間・荷役時間の把握状況は、
発着荷主ともに10~20%の事業者が把握。
輸送重量・輸送回数は、
発着荷主ともに半数前後の事業者が把握している一方で、
輸送距離・輸送トンキロ・輸送時間を把握している事業者は、
発荷主は20%前後、着荷主は10%前後に留まり。
また、自社の輸送業務の委託において、
実際に輸送を行っている事業者を把握している
荷主事業者は約85%であり、
自社が輸送委託をしていない輸送事業者の入出荷に関し、
取引先と輸送事業者との間の契約内容を把握している
荷主事業者は約55%との事です。
ここで、疑問が出てきます。
自社が委託していない
輸送業務の取引先と輸送会社の契約内容については、
約55%の荷主事業者が理解しているのに、
荷主事業者の荷待ち時間・荷役時間の把握状況は、
発着荷主ともに10~20%の事業者しか把握していない事。
そこで、疑問をchatGPTに質問した答えが、
「確かに、荷主事業者が自社が委託していない
輸送業務の取引先と輸送会社の契約内容を
約55%把握しているのに対し、
荷待ち時間・荷役時間の把握状況が発着荷主ともに
10~20%の事業者に限られていることは、
一見矛盾しているように見えます。
ただし、契約内容を把握しているということは、
取引先や輸送会社との間での責任や業務範囲を
理解しているという意味です。
一方で、荷待ち時間や荷役時間は、
実際の運送現場で発生する具体的な状況や
時間帯に関する情報を示しています。
これらは異なる情報であり、
契約内容を把握している荷主事業者が
必ずしも荷待ち時間や荷役時間を
把握できるわけではありません。
荷待ち時間や荷役時間の把握が難しい理由の一つは、
これらの情報が運送業務の現場で直接管理されるため、
荷主事業者が把握することが困難であることが挙げられます。
また、荷待ち時間と荷役時間を
区別することが難しい場合もあります。
状況や業界の慣行によっては、
荷主事業者が荷待ち時間や荷役時間を把握することが
難しいことがあるため、
このような結果が出ていると考えられます。」
との回答。
この回答内容、
現場で荷物の積み下ろしを行っている作業者なら、
分かっているとは思います。
なので、行政が荷主に対して、
荷待ちに対する対策の呼びかけは、
あまり意味ない、効果がない事ではないかと考えます。
なぜなら、荷主の8割近くが、
荷待ちの状況を把握していないのですから。
では、荷主は、行政からの荷待ち是正の呼びかけに対して、
何が出来るかと言えば、物流業務を委託している請負業者へ
荷待ち対策の要請となります。
では、荷待ち対策を要請された請負業者は、対応出来るでしょうか?
一部の大型物流センターなどに導入されている
予約バースシステムの導入をすればよいと、考える人もいるでしょう。
ところが、9割以上は、導入していない状況があります。
導入していない理由は、様々でしょうが、
最大の理由は、
倉庫内の業務に支障をきたす可能性があるからと考えます。
なぜ、倉庫内の業務に支障をきたすかと言えば、
トラックが入ってくる時間が決まっていると言う事は、
その時間は、必ず、積み下ろし対応をする必要があります。
そうでなくては、予約している意味がありません。
そうなってくると、
トラックの積み下ろしを優先した
作業の段取りを考える必要があります。
では、倉庫内の作業の優先順は、
どのようになっているでしょうか?
倉庫の規模や作業者数、入荷、格納、出庫、出荷、梱包など、
色々な要素があるので、一概に言えませんが、
基本的に入荷、格納、出庫、出荷、梱包作業が優先されます。
現場においては、積み込み作業は、
一番最後と言う感じでしょうか。
ただし、出発時間が決まっている貸し切りトラックや
集荷時間が決まっている路線業者は別です。
なぜ、積み込み作業が一番最後かと言えば、
答えは、簡単です。
倉庫内の作業において、積み込み作業も出荷の一つであり、
作業工程の流れとしては、一番最後だからです。
ただ、トラックドライバーが、
フォークリフトを使って、自ら積み込み作業を行う場合は別です。
その場合は、積み込む荷物だけ準備されていれば、
積み込み作業が出来るので、荷待ち時間も軽減されるでしょう。
とっころが、積み込み作業が契約に入っていない事により、
ドライバーが積み込み作業を行わないと言う事になれば、
積み込み作業は、倉庫内の作業状況に左右されるので、
確実に荷待ちは起きます。
これからは、こういった荷役の関する
契約も厳しく見直される可能性もあるので、
今まで以上に荷待ちが増える可能性を秘めています。
それが、嫌だというドライバーは、
今まで通り、契約にはないけど、
率先して、自ら積み込み作業を行うかもしれません。
さらに、荷待ちの原因を作っている要因として、
積み下ろしの時間が決まっていない事も上げられます。
予約バースシステムを導入していれば、
当然、時間は、決まっていますが、
そうでない場合は、現場の到着順になります。
例えば、
10パレットを積んだ10トントラックが着いた3分後に、
4トントラックが着いたとします。
4トントラックは、3パレットしか積んでいませんでした。
荷下ろしは、先着順と言う場合が多いので、
この場合、4トントラックは、
確実に10パレットを下ろすまでの待ち時間が生じます。
これも、荷待ちを起こす原因の一つと言ってもいいでしょう。
荷待ちと言っても、様々な状況があります。
一概に荷待ちと言っても、現場でちょっとした気づかいで、
少なくすることも出来れば、増やす事も出来ます。
例えば、先着順ではあっても、荷物の量により、
ちょっとした柔軟な対応をする事で荷待ちの時間を短縮できます。
ただ、どのドライバーも、時間に追われています。
そう考えた場合、
そうそう、順番を譲り合うのはないかもしれません。
ただ、定期便で、
毎日、入っているドライバー同士なら、譲り合う事もするでしょう。
予約バースシステムを導入していなくても、
到着時間を倉庫側が指定すると言う事も出来るでしょうが、
それを行うとドライバーが困る可能性も出てきます。
なぜなら、
積み合わせてしていた場合、他の場所で荷待ちをしたら、
予定の到着時間に来れなくなる可能性があるからです。
また、荷待ちを生み出す別の要因として、
積み下ろしが到着順だった場合、
ドライバーは、早く着いて、早く下ろしたいという心理で、
早めに現場に到着をするという可能性もあります。
もちろん、
それで、一番乗りが出来て、
直ぐに下ろしても貰えれば良いですが、
既に2~3台、待っていた場合は、
結果的に荷待ち時間が長くなります。
このように荷待ちの原因は、様々ありますが、
根本原因として、
現場がどの様に対応してくれるにかかっているのです。
そこで、chatGPTに荷待ちを解消する為に
組織内の役職の方々が、
どの様に連携する必要があるかを質問してみました。
chatGPTの回答は、
「荷待ち問題の解消に取り組む際に
役職の方々の連携が非常に重要です。
それぞれの役職が以下のような役割を果たすことで、
荷待ち問題の解決に効果的に取り組むことができます。
トップマネジメント(経営層):
荷待ち問題解消の方針を決定し、必要なリソースや予算を確保する役割があります。
また、荷待ち問題が物流全体の効率に与える影響を理解し、組織全体で解決に向けた取り組みを推進するリーダーシップが求められます。ミドルマネジメント(部門長・課長レベル):
荷待ち問題に関連する部門(物流部門、倉庫部門など)の連携を強化し、部門ごとの改善計画を策定し実行する役割があります。
また、現場からのフィードバックを受け取り、改善施策の見直しや調整を行うことが重要です。プロジェクトリーダー(現場の責任者):
荷待ち問題解消に向けた具体的な計画立案や実行を担当し、チームのマネジメントを行います。
また、現場の実情に基づいた施策を提案し、問題解決に取り組む役割が求められます。現場スタッフ(作業員):
荷待ち問題に関連する改善活動に積極的に参加し、意見やフィードバックを提供する役割があります。
また、実際の作業改善を行い、効果検証に協力することが求められます。
これらの役職が連携して取り組むことで、荷待ち問題の解消に向けて効果的な改善が実現できるでしょう。
組織全体が一丸となって問題解決に取り組むことが、荷待ち問題の解決に繋がります。」
との事です。
以上の各役職の役割を考えると、
現場からフォードバックがあってこそ、
現場の改善策を考える事が出来るのではないかと考えます。
そこで、chatGPTからは、
「おっしゃる通り、現場からのフィードバックが物流改善において非常に重要です。
現場スタッフは、日々の作業を通じて実際の問題や課題に直面しています。
彼らの意見やフィードバックを取り入れることで、
現場の実情に即した効果的な改善策を策定することが可能になります。
プロジェクトリーダーやミドルマネジメントは、
現場からのフィードバックを受け取り、
改善計画の立案や実行、評価を行います。
その過程で、
現場スタッフとのコミュニケーションを密に行い、
彼らの意見や提案を積極的に取り入れることが求められます。
また、トップマネジメントも、現場の声を理解し、
組織全体で改善に取り組むための方針やリソースを提供する役割があります。
経営層が現場のフィードバックを重視することで、
組織全体の改善意識が高まり、効果的な改善が実現できるでしょう。
結論として、
現場からのフィードバックが物流改善において重要であり、
各役職が連携してこれを活用することで、
現場の実情に即した効果的な改善策を実現できます。
結局のところ、
現場レベルで荷待ちに問題に取り組まないと何も変わらない事が分かります。」
以上の事から、
現場が忙しくフィードバックを行う余裕が無かったり、
行う気がなかった場合は、
有効な改善策を考える事ができない可能性が高いのではないかと考えます。
そして、chatGPTからは、
「その通りです。
現場が非常に忙しく、フィードバックを行う余裕がなかったり、
現場スタッフがフィードバックを行う意欲がない場合、
適切な改善策が策定されず、
物流の効率化や問題解決が困難になる可能性が高まります。
このような状況を改善するためには、
以下のようなアプローチが考えられます。
経営層やミドルマネジメントが現場の負担軽減を図る:
忙しい現場の状況を理解し、適切なリソースや人員の確保、業務の見直しなどを通じて現場の負担を軽減し、フィードバックが行いやすい環境を整える。フィードバックの機会を定期的に設ける:
定期的に現場スタッフとのミーティングや意見交換の機会を設け、フィードバックが行いやすい文化を醸成する。フィードバックを促す仕組みの導入:
無記名の意見箱や専用の意見提案フォームなど、フィードバックを行いやすい仕組みを導入し、現場スタッフが気軽に意見や提案を出せる環境を作る。フィードバックに対する評価や報奨制度:
良いフィードバックや改善提案を行ったスタッフに対して、評価や報奨制度を設けることで、積極的なフィードバックが促される環境を作る。
これらのアプローチを実施することで、
現場スタッフがフィードバックを行いやすい状況を整え、
適切な改善策が策定される可能性が高まります。」
との事です。
現場からのフィードバックがあってこそ、
有効な改善策を考える事が出来るのは、今も昔も変わりません。
だからこそ、
現場作業者のやる気やモチベーションが重要となってきます。
もちろん、別の解決策もあります。
荷主が出発時間を指定して、それを請け負い業者に厳守させる事です。
荷主が出発時間を指定すれば、
現場は、それを守る必要に迫られます。
ただ、これをやると現場は確実に破綻します。
各トラックの出発時間を指定すると言う事は、
かなり、正確な時間管理とタスク管理が必要となってきます。
例えば、当日の出荷量が決まるのが、
12時とした場合、午後からの仕事量は、
休憩を入れた場合、13時に決まると言う事になります。
そのような状況において、
積み込みトラックの出発時間が決まっていると言う事は、
作業者の数に余裕がない限り、難しくもあります。
ただ、荷主が現場の状況を理解していない場合、
現場としては、最悪の出発時間指定をする
可能性もあるのではないかと考えます。
昔、働いてた倉庫では、18時出発指定の
大手メーカーの貸し切り10トントラック2台の
積み込みサポートを行っていました。
そのトラックは、16時30分にぐらいに現場に来て、
基本的には、ドライバーが積み込みを行うのですが、
積み込む荷物が積み込み開始時間に間に合って場合がほとんどでした。
なので、
積み込む荷物を集荷してきたトラックから、荷下ろしをして、
そのまま貸し切りトラックへ積み込むという流れが多く、
そのサポートを行っていました。
しかも、2台同時に積み込むので、
フォークリフトが足らず、結果的に
私が2台の内、1台は積み込む形になっていました。
このように出発時間が決まっていると言う事は、
他の作業より優先させる必要がありますが、
その作業だけをやっていては、他の作業が滞ってしまいます。
なので、バランスがすごく大切になってきます。
とはいえ、荷量や状況は、色々と変わっていきます。
その都度、合わせていく必要があります。
なので、そう簡単に上手く出来るはずもありません。
その事を現場の作業者は分かってはいても、
荷主は、そこまで知らないし、見る事もないでしょう。
言い換えれば、荷主は、積み下ろし現場作業には興味関心が無いのです。
だから、
荷主事業者の荷待ち時間・荷役時間の把握状況は、
発着荷主ともに10~20%と言う結果になるのです。
物流の現場における荷待ちの根本的な原因
倉庫現場における積み下ろし対応及び作業優先度
荷主の荷待ちに関する関心度の低さ
の二つが根本原因ではないかと考えます。