見出し画像

荷待ちを無くす為には

2024年物流危機問題で、ドライバー不足に関連して、
荷待ち問題が、色々取りざたされています。

そして、貨物自動車運送事業輸送安全規則の改正により、
平成29年7月から荷主の都合により
30分以上の荷待ち時間が生じた場合に、
荷待ち時間を乗務記録に記録することが義務づけられました。

これで、本当に荷待ちを無くす為の抑制に繋がるのでしょうか?

私は、それほど、効果はないと考えます。

なぜなら、乗務記録に記録をしたとしても、
荷待ち時間を無くす解決策は見いだせない。

行政などからの改善勧告は出来るかもしれませんが、
それでは、何も変わりません。

問題なのは、倉庫の現場作業者の仕事に対する取り組み方。

荷主側から、
荷待ち時間を無くすように指示されたとしても、
現場の作業者の意識が変わらなければ、
何も変わり様がありません。

なぜ、変わらないのでしょうか?

答えは、簡単です。

荷待ちを無くす=残業時間の減少を意味します。

それは、作業者の給料が減る事を意味します。

もちろん、長時間労働は、現場作業者も望んではいませんが、
ある程度の残業時間が欲しいのが本音。

これが物流業界で、
作業効率を悪くしている一番の問題ではないかと思います。

話を戻して、急に荷待ち時間を無くす為に
作業効率を上げろと言われても、
そう簡単には出来ません。

では、なぜ、荷待ち時間が発生するのか。

まずは、その要因として考えられるのが、
1:現場の段取りが悪い
2:作業者の人数、フォークリフトが不足している
3:当日積み込みの追加商品が多い
4:積み込み場所のキャパ以上の積み込み台数がある
5:ドライバーが積み込みのサポートに慣れていない
6:積み込み時間が集中している
7:積み込み場所が、天候に左右される環境
8:積み込み作業の優先順位が低い
9:積み込み方を考える必要がある
10:積み込む商品が揃っていない
とこんな感じでしょうか。

私も積み込み作業をやっていたので分かりますが、
荷姿の悪い荷物ほど、
積み方を考えて、考えて積み込む必要があります。

そうでなくては、途中で荷崩れでもしたら大変な事になります。

また、荷物によっては、
ラッシングをきつく締める事が出来ない場合もあります。

そうなると、余計に積み方には気を遣います。

その為、
一台一台に積み込む時間がかかってしまいます。

その結果、積み込み作業が長くなり、
荷待ちが発生します。

ただ、私が考える荷待ちの最大の原因は、
積み込み作業の優先順が低いのだと考えます。

積み込み作業の優先度が高ければ、
一日の仕事の段取りがすべて変わってきます。

例えば、
路線業者(西濃運輸、福山通運など)の
出荷準備の優先順が高ければ、
自然と作業者の人数の配分も変わってきます。

特に作業者の人数が少なれば少ないほど、
作業の優先度に影響を与えます。

路線業者は、集荷時間が決まっているので、
自然と優先度が高くなっていきますが、
貸し切りトラックの場合は、
出発時間が厳密に決まっていない限り、
積み込みの優先度が下がっていきます。

昔、積み込みをしていた貸し切りトラックは、
18時出発厳守を荷主から言われていましたので、
他の作業より優先度が高くなっていました。

この場合は、積み込む場合ですが、
下ろす場合は、すぐに荷物を下ろす必要性を
現場作業者が感じているかが問題になってきます。

例えば、
直ぐに必要な荷物が載っているトラックの場合、
直ぐに荷物を下ろすでしょうが、
それほど必要でない荷物が載ってた場合、
直ぐに下ろす必要性を感じないのが現場作業者です。

その為、他の作業を優先してしまいます。
この段階で荷待ちを生み出してしまいます。

言うなれば、
荷待ちを起こすも、無くすも、
現場作業者の作業の優先順位次第なのです。

では、
現場作業者が荷物の積み下ろしの優先順位をどう考えているのか?

現場にもよるので、一概には言えませんが、
欲しい荷物であれば、直ぐに下ろすけど、
そうでない限りは、他に優先する作業があれば、
そちらを優先すると言った感じでしょうか。

積み込みの場合も、
出発時間が、荷主から厳守するように言われていれば、
優先的に行うけど、そうでない限りは、
優先順位が下がっていきます。

言葉が悪いですが、
現場の作業者にとっては、その程度のものなのです。

別の言い方をすれば、
現場作業者にとっては、積み下ろしは、
早かろうが、遅かろうが、関係ないのです。

荷待ち、荷待ちと騒いでいても、
言葉は悪いですが、早く積み下ろししようが、
現場作業者にとっては他人事なのです。

どんなに、上から言われようが、
トラックの積み下ろしの優先順位を
作業者自身が変えなくては、
現状は変わる事はないでしょう。

その意識を変える為には、
現場作業者が自分事と捉えてもらえなくては、
荷待ちは無くなりません。

自分事と捉えてもらう為には、
相手の立場になって考えると言う事を
習慣化させる必要があります。

トラックドライバーは、
荷物の積み下ろしをして仕事が終わりではありません。

荷物を積んだトラックは、そこからが仕事です。

ところが、現場の作業者は、
積み込んだらトラックに関する仕事は終わりです。

なので、後の事は分かりませんし、気にしません。

その為、自分事に捉える事が出来ません。

自分事に捉えてもらうには、
積み込んだ後の事をしっかりと教えて、
自分がドライバーとして荷物を積んで、
荷物を下ろす事をイメージさせる事が重要です。

私の場合は、ドライバーから、
色々と聞かされたので、
指定の出発時間に出発が出来ないと
大変だと言う事を実感させられていました。

ただ、現場の作業者、みんなが皆、
ドライバーと親しく話す訳ではありません。

私の場合は、定期便だったので、
毎回、顔を合わせるドライバーだったから、
色々な話を聞かされたにすぎません。

単発のトラックだったり、
定期便のトラックでなかったりした場合は、
ドライバーから話を聞くキッカケはないでしょう。

そうなると、
親しみが湧かず、他人事と捉えてしまいます。

では、どうするか?

一つの方法として、
積み込んだ後の事を作業者にしっかりと伝え、
自分がドライバーとイメージしてもらい、
長時間荷待ちをした挙句、
出発時間が予定より遅れて出発をしたら、
どう感じるか考えてもらうのです。

言葉で書くと簡単ですが、
なかなか自分事には捉えるのは難しいです。

なので、
トラックに同乗して、配達を経験するのが1番です。

私も、定期で入ってきていた
トラックに同乗して配達に行ったり、
自分で2トントラックを運転して配達に行っていました。

そうする事で、
配達先での大変さを実感する事で、
自分事と捉えるキッカケとなります。

とは言え、
倉庫の作業者がトラックの配達に同乗する機会が、
ほとんど無い状況です。

いいなと思ったら応援しよう!