見出し画像

倉庫現場作業者の存在をどう考えているか?

物流会社は、倉庫現場作業者の存在をどう考えているのでしょうか?

私は、いろいろな倉庫現場(物流会社)で働いてきました。

そんな経験から言えば、正規雇用者の作業者は会社の指示通りに動かせる駒という存在でしかないという結論に達しています。

その結論に達した経験では、勤務先の倉庫現場で、ある工程の作業者が辞めることになり、その工程へ入って一ヶ月で異動になったと思ったら、別の倉庫現場(車で1時間以上かかる場所)で人手が足りないということで、週3日、そちらで働き、残りの2日は元の勤務先で働くことになりました。

その時の勤務時間は、応援先は8時~17時まで。

そして、元の勤務先では時差出勤が適用されていて、9時~17時(残業2~3時間あり)と10時~18時(残業2~3時間あり)を1週間ごとに行っていました。

それだけでなく、人手不足の倉庫現場へ2か所ほど、定期的に行かされ、場所によっては、劣悪な職場環境もありました。

給料は同じなのに、仕事内容・職場環境が激変、劣悪になるのです。

初めから、その仕事内容・職場環境に納得して働くのなら問題はないですが、ただ単に人手不足による応援で行かされるのです。

また、その都度、勤務場所や勤務時間が変わるのです。

いってみれば、会社の言いなりになって、右から左へ職場を転々とする状況です。

そんな状況に一ヶ月以上置かれて、ふと思ったんです、自分の存在ってなんだろうと。

あとから振り返ると、精神的にも危ない状況だったのではないかと思うのです。

自分の存在に疑問符がついた時点で、すぐにその会社を辞めました。

そのことがきっかけで、倉庫作業者は、会社にとって都合の良い駒だという結論に達しました。

もちろん、すべてがすべて、そんな会社ではないとは分かっていますが、スポットワークがここまで普及すると倉庫においては、都合の良い駒扱いができる作業者が求められているのではないかと疑問を持ってしまいます。

一般的に、現場作業者に求められることといえば、指示された作業を黙々と行い、労働対価以上の働きをしてくれたらラッキーという存在なのかとふと思ってしまうのです。

もしそうなら、現場作業者に対して、人材育成という投資をしないのも頷けるのです。

現場改善の知識やスキルを身につけるために、会社として、何のサポートも行わないことを考えると、やっぱり、指示された作業を黙々と行う単なる労働力としか見ていない可能性を捨てきれないのです。

それが顕著に表れているのは、スポットワーカーの大量活用です。

欲しい時に欲しいだけ、安価な労働力を得られるスポットワーカー。

もちろん、スポットワーカーとして、働いている人が悪いとか、そんな意図はまったくありません。

スポットワーカーとして、働いている人たちの事情は様々です。

副業、お小遣い稼ぎで働いている人も多くいますので、企業側がどう考えているかなんて関係ないと思っているかもしれません。

では、無意識とはいえ、現場作業者を指示通りに作業を行えばいいという単なる労働力という存在と捉えている物流会社は、成長するのでしょうか?

これから労働人口が減少していく時代に、欲しい時に安価な労働力が欲しいからと近視眼的な考えで、スポットワーカー頼りでいいのでしょうか?

もちろん、閑散期、繁忙期がある物流現場において、スポットワーカーの労働力は必要です。

とはいえ、現場改善を行い、時代の変化に合わせ現場作業を変化させていくためのコア人材の育成が必要です。

今は、作業が順調に回っている、滞っていないから、将来も大丈夫だろうと考えている管理職、経営者が多いはずです。

ところが、現場は綱渡り状態という場合があるのです。

一番分かりやすいのは、荷受けから格納、倉庫内の整理整頓を1人でやっているフォークリフトオペレーターがいたとします。

そのフォークリフトオペレーターが、急病や突然、辞めてしまったら、どうなるでしょうか?

想像をしてみてください。

1人で三役を行っていたのです。

簡単に言ってしまえば、1.5人から2人分の作業を行っていたのです。

いなくなったことで、他の人に負担がかかります。

負担がかかるだけでなく、同じような作業ができるとは限らないのです。

いなくなった人は、個人的に様々なことを学び、スキル・知識が高かった場合、残った人とのスキル・知識の差は歴然です。

現場は、確実に作業が滞ります。

それもこれも、現場作業者を単なる労働力とみなした結果です。

こういったリスクを今の物流現場は抱えているのです。

逆に、こういったリスクを抱えている物流会社に、物流業務をすべて委託している荷主企業は、どう考えているのでしょうか?

物を売る企業にとって、物流は生命線とも言えます。

物流が止まれば、利益が得られず、運転資金が枯渇します。

そんなリスクを抱えて、物流業務をすべて委託していることを自覚するべきではないでしょうか?

2024年物流問題における荷物が運べる、運べない以前の問題です。

倉庫の機能が止まれば、物が動かないのです。

なぜ、そんな簡単なことに気づかず、荷物が運べれば問題解決的な風潮が蔓延しているのが、今の状況ともいえます。

そして、倉庫の機能を正常に保っているのは、現場の一部の作業者の可能性があります。

その一部の作業者とは、もちろん、スポットワーカーではありません。

その一部の作業者とは、現場を状況に応じて、スムーズに流れるようにコントロールしている作業者です。

その作業者は、必ずしも、現場リーダーとは限りません。

その作業者こそ、現場の重要なキーパーソンなのです。

また、そのキーパーソンとなる現場作業者を管理職は知らない場合が多いのです。

「見ている人は見ている」なんて言葉は、物流現場では当てはまらないのです。

いいなと思ったら応援しよう!