【雑日記】勘違いされすぎている期待値の考え方
雑記みたいな日記。雑日記。
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期待値というものをご存知でしょうか。
辞書で調べてみると、以下のように定義されているようです。
2の意味はぼんやりしているからこそ分かりやすいとして、1の意味は数式の明確な定義があるせいで頭がこんがらがった人も多いかもしれません。
この1の意味の期待値は、昔も今も高校数学で学ぶ領域です。簡単に勉強してみましょう。
問. 赤色の箱と白色の箱に、賞金のクジがそれぞれ10枚ずつ入っている。赤色の箱に入っているクジは、100円が5枚、500円が5枚である。白色の箱に入っているクジは、50円が8枚、1000円が2枚である。賞金額の期待値が高いのは、赤色の箱と白色の箱、どちらか答えよ。
ここでいう期待値とは、言い換えると一回のクジで得られる賞金額の平均値のことです。つまり、期待値の高い方がお得ということです。
問題に書かれている情報をパッと見ただけでは、どちらの箱からクジを引く方がお得なのかイメージしにくいと思います。最大値は白色の箱の1000円だけど2枚しか入っていないし、外すと最低値の50円になってしまう。
しかし、一回のクジの平均額が計算で求まれば、それを基にどちらがお得か判断できますよね。
実際に辞書に書いてある定義通りに計算すると……。
赤色の箱の期待値は
100×(1/2)+500×(1/2)=300
よって300円
白色の箱の期待値は
50×(4/5)+1000×(1/5)=240
よって240円
期待値が高いのは、赤色の箱
このようになります。赤色の方が期待値が高いので、お得なようですね。
期待値は非常に便利な考え方なので、私も日常でよく用います。
しかし、この期待値の使い方を勘違いしている方が非常に多く、どうしてもそのことを書きたいと思っていました。
どういう勘違いかというと「ある数値の期待値が大きい方を絶対に選ぶべき」というものです。
この誤解をわかりやすく説明するために、より極端なクジの例を取り上げます。
問. 赤色の箱と白色の箱に、賞金のクジがそれぞれ10枚ずつ入っている。赤色の箱に入っているクジは、5000億円が10枚である。白色の箱に入っているクジは、1兆1万円が5枚、0円が5枚である。どちらかの箱から1回だけクジを引ける場合、あなたはどちらを引きますか?
赤色の箱は確定で5000億円がもらえます。一方、白色の箱は50%の確率で1兆1万円をもらうことができますが、50%の確率で1円ももらえません……。
1円ももらえない可能性があっても1兆円の夢を追いたいと白を選ぶ人もいれば、安定して大金を得たいと赤を選ぶ人もいるでしょう。
実際に金額の期待値を計算すると……
赤色の箱の期待値は5000億円
白色の箱の期待値は5000億5000円
金額の期待値が高いのは、白色の箱
金額の期待値で判断すると、お得なのは白色の箱ということになりました。
しかし、この結果を見ても、赤色の箱を選びたいという人は多いでしょう。
こういうときに期待値の考え方を勘違いをしている人は「いやいや、期待値は白色の箱の方が高いんだから、白色の箱を選ばないと損だよ!」と言い張ります。しかし、なかなかそうだとは思えません。
一体なぜなのか。
ここで考えるべきは、各金額の有用度です。つまり、その金額の大きさを単純に比較するのではなく、自分にとってどれだけ有用かを比較するのです。
確かに金額の期待値を計算すれば白色の箱の方がお得でしたが、有用度の期待値を計算すればどうなるでしょうか。
もちろん有用度は人の価値観によって異なりますが、今回は一例として庶民代表である私の有用度で計算してみます。
私にとって1兆1万円の有用度を100、0円の有用度を0とすると、ほぼ中間の金額にあたる5000億円の有用度は約50とはならず、99.999999999くらいになります。それほど私にとって1兆1万円と5000億円の差はほとんどないし、逆に5000億円と0円の差は凄まじいのです。恐らく、多くの方が似たような感覚を抱くのではないでしょうか。
この有用度の期待値を計算するとどうなるでしょう。
赤色の箱の有用度の期待値は
99.999999999
白色の箱の有用度の期待値は
50
有用度の期待値が高いのは、赤色の箱
金額の期待値では微差で白色の箱がお得でしたが、有用度の期待値ではほぼダブルスコアで赤色の箱が優勢となりました。
金額上は(1兆1万円と5000億円の差)と(5000億円と0円の差)がどちらも約5000億円であるために、ほとんど同じ意味を持つ差として計算されますが、実際にこの世界でお金を使うことを考えると、その差がもつ効果は全く異なるものなのです。私と同じような感覚を抱いている人は、赤色の箱を選ぶ方が良い、ということになります。
という話をすると一部の方は「そんな選択をしているから総合的に見ると損をするんだよ。この選択が一回しかできないならまだしも、何回もできるとすれば、結局確率は収束して白色の箱の方が得になるんだから!」と言います。
おっしゃる通り、もしこの選択を何十回も何百回も繰り返すことができる場合、繰り返す数が多くなるほど、白色の箱を選び続けた方が得られる総額が大きくなる可能性が高くなります。分かりやすく言い換えると、白色の箱から0円のクジばかり引き続けてしまう可能性はどんどん小さくなっていきます。
しかし、今回の問はあくまで「どちらかの箱から1回だけクジを引ける場合、あなたはどちらを引きますか?」というものでした。1回であれば、有用度の期待値を元に考える方が無難でしょう。
こういう考え方をどこかで紹介していないかな、と調べてみると、似たようなことを林修先生がテレビで解説されていました。
雨に濡れることと、荷物が増えることの不快感を数値化し、降水確率と掛け合わせることで不快感の期待値を算出しています。
※林先生の例では降水確率40%なら傘は持たない方がいいという結論に至っていますが、当然この結論は、雨に濡れることと荷物が増えることに対してどう不快感を覚えるかによって変わります。例えば雨に濡れることがものすごく嫌で、荷物が増えることは全然嫌じゃないなら、降水確率が低くても傘を持っている方がいいわけです。
実際、上記のクジの例も、有用度を幸福度のような感情に置き換えることができます。ただ、感情で置き換えるとただの感情論のように捉えられる可能性があると判断し、今回は有用度としてみました。
今回は期待値の勘違いについて紹介してみました。学校の数学で習う考え方を応用することで、生活に役立てることができる例の一つです。ぜひ試してみてください。
伝わってる????