NHKまいにちフランス語の展望(2024年度上半期)

今回はまいにちフランス語を取り上げる。先日公開したまいにちドイツ語の記事はこちら。

大事なことを書き忘れていたが、残念なことに今年度からテキストの価格が580円→680円と大幅に値上がりしてしまった。それでも半年の受講料が4080円と考えれば安い。依然として、取り組み方次第ではその何倍もの値打ちがあるコンテンツと言えるだろう。

まいにちフランス語初級編(新作)
「Zoé au Japon ~ゾエと学ぶフランス語」
期待度:☆☆☆☆☆

姫田麻利子先生は10年近く前の「テレビでフランス語」に出演されていて、しっかり教える先生という印象があったので期待していたが、想像以上に素晴らしかった。

まず、私が普段NHK語学講座に抱いている不満を見事に払拭してくれた。例えば、よくある実質入門編レベルの「なんちゃって初級編」ではなく、しっかり入門編に続くレベルの内容になっていること。テキスト紙面と放送時間を目一杯に活用できていること。ある程度まとまった仏文が聞けるコーナー(この講座では「メメントダルベリック」)が復活したこと。

他にも日本人学習者が間違えがちな点が的確に言及されていたり、「つづり字の読み方」などで発音記号が採用されているなど、良い点を上げればきりがない。ただし放送は情報量が多く、テキストには書かれていない解説もよく出てくるので、聞き漏らさないためには集中力が試される。

まいにちフランス語応用編(再放送)
「フランコフォニーとは何か」
期待度:☆☆☆

本放送時にテキストなしで聴取済み。シンプルな講読の形式が良い。練習問題はあるがディクテはなく、「フランコフォニー」について、またフランス語の歴史や地理について書かれた文章を精読する時間が大半を占める。

西山先生の明瞭な話し方と解説のテンポの良さを始めとして全体的に聞き心地がよく、個人的に興味を惹かれる話題が専門的に論じられているため、読み物としても優秀である。

ただ、この講座を聴けば劇的にフランス語が上達するかと言われればよくわからない。本文自体は量もあるし易しすぎるとまでは言えないが、解説で扱われている表現や文法事項の多くは初級や中級レベルに留まっており、快適に理解でき過ぎてしまうところがある。この講座に限らず、まいにちフランス語応用編にはもっと発展的な内容を扱ってほしいと思っている。

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