バッドガイズ観てきた
初めてnote使います。
公開から二週間経つのでこちらでも解禁しちゃおう。
展開とかネタバレありです。
冒頭、いきなりパルプフィクションのオマージュから始まるバッドガイズ。
因みに私はパルプフィクション未視聴ですが、軽妙な会話で洋画の雰囲気満載なのはわかりますのでパルプフィクション知らなくても全然わくわくできますので大丈夫です。笑
そう、洋画が始まった雰囲気なんですよね。
のちに重要ポイントになる巨大隕石の新聞記事から視線が動いていき、小気味良いウルフとスネークの小気味良い会話劇からの銀行強盗への転換まで、長回し映像のようにワンカットで進むのが観る側の視線を画面から離さない上手い演出!
気が付くとずーっと画面を追っているので自然とバッドガイズの世界へすっかり吸い込まれているというわけです。
そこから一気にマックスへギアチェンジしてアップテンポかつハイテンションなカーチェイスが始まり、そのテンポに乗ったままウルフによるバッドガイズの紹介シーン。
これは原作の要素も落としてありつつ、ルパンが始まった!
バッドガイズたちに余裕ありつつも起きた現象に自分達で驚いて大騒ぎするのとか面白いし、その中でも緩急をうまく散りばめたシーン展開。
最後のガイズが虚無顔でシートベルトするシュールさも可愛らしい。(今かよ!みたいな)
基本5体のリアクションを揃えてあってそこもとても画面が締まってみえるポイントなんだろうなぁ。
あと合わせて息を呑むリアクションが多いのも上手いなと。
わあ!って言うより空気がひゅっ!と締まるからすごく緩急が付いてみえるんだよね。
それまでのスピーディな映像からアジトに戻った途端、悪いヤツらなのに楽しそうにお誕生日パーティっていうのも意外で親近感が湧くし、その中でもやっぱり全力で喧嘩してるのがバッドガイズな雰囲気満載。
ウルフの一声でTVに駆け寄り自分達へのコメントに一喜一憂したりして彼らの関係性や日常感を見せながらもうまく状況説明も絡めていくテンポの良さ。
ウェブスの投票しちゃった!のくだりとか、何気なくちゃんと世間体持って生きている彼らが垣間見れてよかったな。
今回の事の発端からの授賞式潜入という流れがモタつかず、説明過多にもならないので観ていてとても展開のスピードが気持ち良い。
潜入作戦、ここでバッドガイズの面白いところなんだけど、どうやら変装すると他の人間と同じように見える、という法則で成り立っているらしく、その法則のお陰で細かいことに変に突っ込むことをしないで済み、かつ、その強引さに笑えるというのがまたうまいな、と。
そもそもスネークは人型でないのに誰も気づかないとか、ピラニアのウェイターだって人間から服を強奪してるのにピラニアサイズになるの可笑しいじゃない。笑
署長さんだってあんなにウルフを追いかけているのにかなり至近距離でも気が付かないし。
まぁ、そういうのを面白がって観られる人じゃないとこの映画は楽しめないんだろうな〜とも思ったり。
その後、グッドガイズへの道を経て、善の祝祭へ参加して華やかなバンド&ダンスナンバーなわけです。
マーマレード教授の館のシーンのただのオモシロシーンかと思った尻のランプがこんな大事な役目を果たすとはこの時思いもせず。笑
てか、尻ネタって万国でネタとして成立するんだー、と変な感心をしてしまいました。
子供はやっぱり笑っていたw
個人的には「おしり」とか「ケツ」でなく、「シリ」を連呼することを選んだ翻訳さん秀逸だなと思っておりました。
真面目なところで、今回パーティのシーンが早い段階で続けて出てくるんだけど、最初のゴールデンドルフィン強奪の授賞式は彼らの手法とチームワークをメインにテンポ重視で進めて、善の祝祭のシーンは世間に受け入れられて困惑しながらだんだん嬉しくなっていくガイズを魅力的にとても丁寧に表現していて、本当観たいものを全部小気味良く大盤振る舞いしてくれるかんじ。
さらに知事ダイアンに導かれていくウルフとそんなウルフを信頼していくダイアンのシーンも上手くその流れの中にうまく組み込んでいるから兎に角テンポが良い。
そんな誰もが円満な着地を思い描いたところで隕石泥棒の濡れ衣への急展開もまた見事。
さっきまで楽しく歌に合わせて踊ってくれていた人間達に一斉に疑われた時のガイズの顔がせつなかった…。
この手のひら返しな演出も一般市民の集団心理を皮肉っていてうまいなぁ、と。
結局二度目の逮捕劇となったがために判明する全ての真相と真相が判明したことでスネークが信じていたウルフの言葉から進んでいく亀裂。
キャラクターの表情が本当に上手くて、監獄で大喧嘩始めるウルフとスネークを心配そうに見つめるシャークピラニアウェブスが、思わず出たウルフの一言に傷付く表情がこれまたせつない。
どうなるの?!というところでほんのりただの良い知事じゃなさそうな雰囲気を醸し出していたダイアンがクリムゾン・パウとしてド派手に登場してまたもや急展開。
本当に緩急が上手い。
彼女のおかげで脱獄成功となるものの仲違いした事実は変わることなく。
ここでウェブスとシャークはウルフにちょっと申し訳なさそうにするんだけどピラニアだけはムスッとしたままスネークに着いていくんだよね。
何気にウルフとピラニアは“アミーゴ”とお互い呼び合っていたので、もしかしたらウェブスとシャークとはまたちょっと違う関係性もあるのかなぁ。
基本的になんにでもMAXの反応をするピラニアらしいなと。
アジトに戻るエレベーターでもピラニアの落ち込み方なかなかだったし。笑
この後の善い事、のくだりは、まぁちょっと強引感は否めないけれど、そもそも彼らは根っからの悪人というより、悪人扱いされるなら悪人らしくしてやるよ!と、悪人をしていたので、やっぱり根っこには自分達は悪人なだけじゃないという可能性が嬉しかったということなのかな、と。
スネークだけがどうしてもその事実になかなか素直になれなかったのは元々の性質もあるけど、ウルフにそんな可能性はない!と断言してしまったし、だからこそただ肯定するだけではダメだと思って裏切りの芝居を始めたんだろうなぁ、と後になって思ったり。
また、ウルフは落ち込んでいたところからダイアンに諭されて兎に角今やるべきことへと意識を向けちゃうのも他のガイズ達との対比でが出ていたな。
2人のシーンなんてよくあるパターンだったらとても良い雰囲気になっちゃうのにそこに落とさないのもバッドガイズの良さだったかも。
あくまでも「仲間との絆」がメインだからね。
特に、隕石を返しに行った時に全員がほくほくしちゃっている中でウェブスの「パーティしてくれるかな?!」は、あの祝宴の皆んなで歌い踊ったのが楽しかったんだな…ってなってきゅうぅっとなるし、それに乗ったピラニアの楽しそうな「ピニャータ!ケーキ!!」でハッとして助手席に落ちているパーティハットを見つめる流れが最高に切なくて素晴らしかった。
ケーキという単語で瞬時に思い出すだけでもグッとくるのに、まさかあの序盤で何気なく被らされたパーティハットがこんなところで…たしかにアジトでの誕生日会のシーンでは被ってないんだもん…なんて小道具の使い方が上手いんだ!
ちょっと面白かったところ。
スネークと隕石を引き換えろ!という時に「ハンドル頼む!」って運転席離れるんだけど、あの残りの3名の誰が運転できる?と思い浮かべたよね…笑。
ミニマムなウェブスピラニアとたぶん運転席に入れないシャーク…と思ったらウルフが戻るカットでピラニアが動いていた!確かに「ハンドル」には手が届くからなんとかなるのか!と妙に納得してしまった。
いや、足届かないの怖いし!笑
見ていて終始感じたのはバッドガイズは軸が膨らみそうなものをとことん削ぎ落としているのがすごいなということ。
特に世界観を細かく説明しない、ってすごいことだと思うのよ。
絶対、制作者というのは設定というものに穴がないように作るはずなので、その設定をどうしたって説明したくなる。
だって自分がコレだ!と思って作った世界を皆に理解してほしいじゃない?
でも今回の作品は映像や展開のテンポ感を考えると敢えて説明的な部分を入れ込む隙間を作ることを極力控えたような気がするんだよね。
人間に定説的に恐れられている、が最重要ポイントであって、人間と動物の共存がどうという話ではないわけで。
例えば、最初のほうでシャークが変装の達人!と紹介され、バッドガイズの中ではあれが変装なんだと言い切っていて、その後の表彰式潜入作戦で細かいことを気にせず見ることができるわけです。
なんで彼らだけしか二足歩行の動物がいないのか、とか考えてしまうだろうけど、他にも動物を配置したらそこに付随する設定を盛り込まないとならないのと、たぶんガイズ達を悪のイメージのデフォルメという部分をとことんフューチャーしようとしたのではないかなと。
これだけ作り込んだ作品を作るチームがそんなところを適当に仕事するとは思えないし、私は作りが甘い、とは感じなかったな。
意図として描いていないんだろうな、としか感じなかった。
あと、初日吹替で見て、すぐに元も知りたい!と字幕も見たくなったわけですが、原語版はめちゃくちゃオシャレな感じでした。
しかし個人的にはメリハリのある映像に流暢な科白、というのに馴染みがなくて…元々、日本語以外でアニメーションを見るという感覚があまりないからかも。
ここアタック強いといいな、とか感じる部分が違うんですよね、たぶん。
日本人が原語版と同じ芝居をしたらよいかというとそれは絶対違うんですよ。
摩擦音や巻音が多いからあの独特の雰囲気になるのだと思うんだよね。
なので吹替版でこのキャストでこの芝居に仕上げてくださったディレクターさんは凄いと思います!マジで!!
さてさて、最後に、やっぱり楽しみにしていたピラニアです。
いや、吹替メンバー見たとき、だいぶ不安はあったのよ…他の吹替メンバーの器用さは目に見えて明確だったので。
申し訳ないが大丈夫かなぁ〜ジャニーズ忖度じゃないかな〜〜という不安しかなかった。
最初に大丈夫かも、と思ったのは最速の試写会で原語版観ている人が歌が似ていた!ととても好意的なコメントをしてくれていた時。
そこからはもう、公開日を待つしかないな、と。
ピラニアの第一声からの一連は事前に公開されていたのだけど、それでもしっくりきているのかよくわからなかったのよ。
公開初日、全員が喋っているのを聞いてようやく理解できた感じ。
シャークの声もキャラクターらしい声だったからバランスが良かったのかも。
5人のメリハリのバランスがとても良かった。
この声はこんなにミニマムさと落ち着きのなさを体現できるんだ!と発見。
普段は思わないのに声だけになるとこんなに特徴ある声なんだ、と改めて驚く。
字幕を観てみたら吹替の方が幼い感じに仕上がっているんだけど、個人的にはこのサイズとデザインのキャラクターの声って感じがしてとてもよかった。
皆さんが仰ってくれていた「河合くんのままでピラニアに合っていた」というのはこういうところかも。
かと言って好きにやっていた感じは全然ないし、どちらかというと本国キャストのニュアンスはかなり残していたと思う。
特に、間とか緩急とか。
もちろんディレクターさんと作り上げたんだろうけど、やっぱり外的要因からの構築力が高いのはここなんだろうな。
ちゃんとした取捨選択をする。
リンク出来るところはしっかり押さえて、どうしても自分の成分では賄えないところもどうすれば成立するか擦り合わせをしてくれる感じ。
無理に演じないところがやっぱり構築型の表現者なんだなぁ。
すごく好きだった、ダイアンにお宝を回収されたアジトの「ないないないない!!」からの「これでぬすまれたひとの気持ちがわかったよ!むかつく!まじでむかつく!!」も、字幕で見たら声質も全然違うんだけど、ニュアンスがちゃんと一緒だったんだよね。
いやしかし、この科白可愛かったなぁ。
全部ひらがなか!くらいのかわいらしさが憎めない感じで。
お歌に関しては、あの最初のロングトーンが、私が歌に全信頼を置いた声と発声なのです。
だからすごい上手い!とは思わなかったのよ…そう、この声の人なの!!って感じでむしろようやく聴けて満足というか。
原語版のアンソニー・ラモスさんは低音の鳴りが良かったのでついでにここまで参考にしていたら…とちょっと欲張ったことを思ったり。
対して河合くんは高音の音の抜けが良いのが特徴だったな。
良さが違うのに別物になっていないのは本当にキャスティングスタッフさん凄い発掘能力です…。
(すっかりこの声を無駄にしかできない所属レーベルまじ意味わかんない、となってます…もう最近CD聴いてないもん)
まぁ、河合くんが演じたのも、そのキャラクターが私の好みなキャラクターだったのも御縁だろうなぁ。
シンには居ないけど横で色々なことを受け止めて色々な表情するキャラクターって好きなんだよね。
…思えば応援屋の犀川くんもそうだったな。
ピラニアは最初の「ごめぇえん…」あたりから可愛いなぁとは思っていたんだけど、その後もどんどんポイント付いてきて多分決定打は"ずらかれ"なかったウルフの小脇でニカッと笑ったところかも。
あそこでニカってできるキャラクター最高!となりました。
あと河合くん連呼する科白うまかったな。
「やばいやばいやばいやばい…」とか「ないないないないない!」とか開口の良さだし、「ごめーん」とか「尻知らねーの?」とか「天国?」とかは、割とポイント押さえるのが上手い彼独特のテンポ感が活かされていたと思いました。
とてもポップコーン🍿が似合う映画だった!
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