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教育研修レポート【Learn by Creation~「創る」から「学ぶ」世界は無限大の可能性を切り開く~新しい学びを知り、共に考える祭典】 第1回

2019年8月3日~4日に東京麻布の広尾学園と聖心女子大学のキャンパスを使って開催された教育系のイベント「Learn X Creation」に参加してきました。

このイベントのテーマは「創る」から「学ぶ」。詰め込み型の「教える」学習から、プロジェクト型の「創る」学習へと世界の潮流が移行しはじめている中、先生、教育関係者、保護者、クリエイターが集まって、ともに新しい教育を考え、創り上げていくことを目的として開かれたイベントです。

国内外問わず、学校や社会で創造的な学びやプロジェクトを実践されている方々による講演会や、ワークショップなどが行われ、まさに、「新しい学び」を知り、体験することができた2日間でした。「良い学びとは?」、「学校とは?」、「先生の役割とは?」また、「社会での学びとは?」、「子どもたちが持っている力を最大限伸ばすにはどうしたら良いのだろうか?」そして、「私たち大人(社会)の役割とは?」ということを終始考えさせられる貴重な時間となりました。

今回第1回目のレポートでは、2日間の中でも特に強烈に印象に残ったメッセージをいくつかご紹介させていただきます。お子さんのいらっしゃる方には、普段の子育てのヒントになることが、そして教育関係の方には、どこか響くメッセージがあるのではないかなぁと思います。

わが子に一言だけ遺せるなら、何を伝えますか?→「世界は自ら変えられる」 byMistLetoe株式会社ファウンダー孫泰蔵氏     

「世界は自分のものだ」と思えること byハイ・テック・ハイ高校教諭ジョン・サントス氏

高校の経験は大学への準備ではなく、社会に出る準備、人生に向けて準備させたい。コラボレーション力、コミュニケーション力、深く考える力。High Tech Highの卒業生は問題解決能力を身に着けて卒業する。 byジョン・サントス氏

先生がファシリテーター、コーチ役として大事にしていることは?→生徒を常にpersonal化して、学習体験を設計し、調整している。「こうしなさい」と言わない。質問を受けた時は「わからない!」と答え、質問に質問で答える。Ex.生徒「ヒトデのことを知りたい!」先生「どうやって調べる?」など。計画は一週間単位、一か月単位で設定させる。プランがあると安心して、学生に任せられる。 byハイ・テック・ハイ小学校教諭ジャメル・ジョーンズ氏

先生が自ら意味ある学習カリキュラムをデザインし決められる by ジャメル・ジョーンズ 氏


学生が自分の意見を言うのは怖いと思っている時は?→High Tech Highには創りあげた文化がある。お互いにプレゼンし合い、作品を見せる。教えるのではなくチャンス(機会)を与える。自分の声を上げる機会を与える。円陣になってサークル活動を毎日行う。入学したばかりのはじめの頃は、簡単な質問から。Ex.「どんなことが好き?」など安全なテーマから始める。徐々に内容の濃いテーマに移っていく。 byジャメル・ジョーンズ氏

High Tech Highが他と一番違うことは?→エキシビジョン、展示すること。先生に作文や作品を提出するだけだと、生徒らは「いずれ捨てられてしまう」という無力感を感じ、熱意を削がれ、「やっても無駄だ」と思う。だけど先生、保護者、コミュニティ、世界に向けて展示をする機会を持つと、「学生のやることは大事だ!ずっと保存されてほしい!」とコミュニティから評価されることで、やる気につながっていく。  byジャメル・ジョーンズ氏

保護者に教室に入ってもらう。生徒がやっていることを見せる。ここで苦労して、チャレンジして、乗りこえたということを保護者に見せる。保護者にそうやって、「大人になったら成績が良い人と仕事したいと思うのでなく、こんな人と仕事がしたいと思うんですよ。High Tech Highでやっていることは子供のためになるんですよ」と見せて、巻き込む。説得するのではない。学生から保護者に学校の説明をしてもらうのも一つの案。バスがないなら、保護者に運転をお願いしている。コミュニティの美術館、図書館にも、「助けてください!」と声を上げる良い学校とは、コミュニティに対して開放している。コミュニティと一緒に共同する機会がある学校。  byジャメル・ジョーンズ氏

個人間のスキルはどう補う?→失敗&過ちを祝福し、やり方を内省する。 byジョン・サントス氏

自分は世界と競争するためでなく、補完する役割があると知る。内省のサークル、振り返りを大切にしている。メディテーション(沈黙)によって自分自身と向き合う時間も大切。  byリバーサイトスクール校長/デザイン・フォー・チェンジ創始者キラン・ビア・セシ氏

先生が子どもの話を聞く能力。「やってもいいよ」と言ってあげる。そして「あなたの一番気になることは何?」と聞いてあげる。サイバー上、学校、公園、トイレ、見えないところでのいじめに対してみんな不安を抱えている。声を聴いてあげてください。 byキラン・ビア・セシ氏

先生は、生徒に自分自身が大きく影響していることを自覚する。関係は教室の中でつくりあげる。40分間の授業は40分の魔法。最初の5分で「どうしてこれが大事か」語る。教科の授業を30分。最後にもう一度「どうしてこれが大事だと思う!?」と問いかける。自身の評価、生徒の学力、入試制度、時間を計ることが教育ではなく、もっと、もっと正しいことをする!スタミナが必要、1年、2年かかる。無知でもいい。厳しい歩みで、ダメだと言われることもあるけど、ユーモアを忘れない。ユーモアのセンスがあればチャンスが生まれる。 byキラン・ビア・セシ氏

みんな保護者は不安。テストで良い点をとることに執着するし、すぐに結果を求めがち。だが、PBLがうまくいくと、テストの点も上がっていく。親の目を見るのではなく、やるべきことにフォーカスする。自己改善と自己研鑽、信念を持つこと! byキラン・ビア・セシ氏

感情も身体も劇的に変わる13歳~15歳(中学生期、思春期)の子どもらは①自分は何者か知りたい、②学習のことより、他の人々と関係をどうやって結ぼうか?(恋心、友人関係、紛争が起こったら)ということに関心が向きポテンシャルが無駄になってしまう、③自分は世界にどう貢献できるのか知りたい。それら①②③に応えるのが学校だとういう信念でミレニアム・スクールを創設した。 byミレニアム・スクール校長兼共同創設者クリス・バーム氏

6週間のプロジェクト学習は、学際的・横断的学習で、個人とグループ学習がミックスされている。自分を知るための瞑想もある。親、先生以外のプロからの評価がある。先生はメンター的な役割で、心理学やカウンセリングを学んで、自分自身、人生を反芻できる人であることが望まれる。 byクリス・バーム氏

Teenagerたちの個人とチームワークのバランスはどうするか?→彼らは、場を乱したくない、仲間から外れたくない。そんな子どもたちにどう自分を発揮してもらうのかというと、SNSの依存から解放する。SNSは比べたくなる。これによって不幸せになる。幸せになりたいのであれば、他人と比べない、と語りかける。大人(先生)も比べる。瞑想(マインドフルネス)で意識する。6週間のプログラムで、EQ(emotional intelligence:幸福度)も学習できる。「これが知りたい!」と言えるグループ、自分の内面の世界を見せられるグループづくり。思春期は権威に脅威を持っているので、できる限り校則を狭めたい。EQ(幸福度)によって、IQも高まると考える。EQとIQの成績をミックスしている。 byクリス・バーム氏

ハワイで12年共学、小中高一貫校、21世紀型の学校であるミッド・パシフィック・インスティテュート。学生中心。正しい問いを立てることが大切。学校、先生にとって正しい問いとは「学生にとって何がベストか?」ということ。夢をサポートする存在、邪魔をしてはいけない。生徒が中心。正しい解が良い学校。 byミッド・パシフィック・インスティテュートCEOポール・ターンブル氏

正解がないことを教える学びの場で大切にしていることは?→全ての生徒は個人。個々の自由を尊重する。ルール通りではなく、自分で質問を考えさせる。それに大人がいかに耳を傾けるか。 byポール・ターンブル氏

正解がないことを教える学びの場で大切にしていることは?→一緒に考える。「どうやったらいいんだ?」と良い問いを立てることを深める。頭の中にある常識の枠組みを外したところOut Of Boxにどうやって飛べるか?を大切にする  by孫泰蔵氏

2009年~文科省大臣として教育政策を作り、2014年~東大とSFCで教鞭をとり、1995年~24年間スズカンゼミを開いている。現在OECD教育スキルEducation2030「 ①Creativity ②Taking Responsibility ③Reconsulting(ジレンマ・緊張と付き合っていく力)」を策定。 by東京大学・慶應義塾大学教授鈴木寛氏(元・文部科学副大臣)

経産省「①創ると知るが循環する学び、②学びをSTEAM化、③個別最適化、④Alternativeな学校」を掲げ、一人残らず才能を傷付けず育っていく環境を整えようとしている。 by経済産業省商務・サービスグループサービス政策課長(兼)教育産業室長浅野大介氏

2020年から日本の教育課程に導入されるコーディングやプログラミングの成功のカギは?→楽しみながらやっていくこと。PDCAを破壊する。プログラミングの良いところはデバックを知ること。まず、描いて→作って→バグって→除去して→やってみる というサイクル。 by鈴木寛氏

2020年から日本の教育課程に導入されるコーディングやプログラミングの成功のカギは?→宿題は禁止!宿題はコーディングやプログラミングの逆の思考である。宿題はやりたいときにやればよい。 by孫泰蔵氏

学校の在り方とは?→社会で自分を自治する力。コミュニティを作っていく、ルールを作っていく、Citizenshipを身に着けること by浅野大介氏

学校の在り方とは?→社会を先取りしていないといけない場所。100年後の2120年を見据えて、その芽を体験するところが学校。 by鈴木寛氏

学校の在り方とは?→学校は技術や知識の最先端を学ぶところ。 by孫泰蔵氏

学校の在り方とは?→学校は情熱を見つける場所。45分間の授業だけ、科目の中だけではダメ。生徒に外の仕事、ネットワーク、コミュニティで社会的な影響を与える。大人の様に関与する。7歳でも14歳でも自分の色を持つこと。3歳から。今リーダーが変わらなければいけない。 byポール・ターンブル氏

大人は、子どもを引っ張ていくのではなく、並走する。どの子も違う。先回りしない。待つ。子供の学ぶ機会を奪わない。どんな小さい子でリスペクトする。自分のことは自分でする。できることは少ないけれど、限定的に手伝ってあげる。 byモンテッソーリ原宿子供の家、モンテッソーリすみれが丘子供の家教員/保育士堀田はるな氏

PBL後は、「あなたは自分の何を誇りに思う?」という自己内省、リフレクションが大切。未来教育会議の『一生の育ちレポート』の中で、子どもは発達過程で、・多様性の前提・自立と共生・自分の感情を知る・社会を知る・世界を知るという段階を踏む。子どもと接する時、大人が子どもから学ぶという姿勢。子どもは、興味を持ったらすぐ試してみたい。子どもは、良い社会が良いと思っている。好きなこと、自分が大事だと思うことに貢献していけばよい。家庭でできることは?→失敗したら、やったじゃない!と言う。自分で決め、責任を取り、振り返る。 by一般社団法人21世紀学び研究所熊平美香氏

学校は大学や専門学校へ行くための教育ではない。学校だけで終わらせない。アウトプットを社会で、評価も社会で。新渡戸文化学園では、ソーシャルへのナチュラルな意識付けを大切にしている。SDGsとPBLの融合。教員は自分の立ち位置に気を付ける。「一緒に考えよう!」のスタンス。批判できる気概の大人が介入する。すると、子どもらの反応が変わってくる。社会課題、時流のことに対して強い関心がある。誰かの為に自分のアイデアを出していきたいと思う。SDGsもSTEAMも、教科も手段。教育とは、「何のために学ぶのか」、「何のために生きるのか」、「どう幸せに生きていくのか」ということだと思う。 by新渡戸文化学園小中学校・高等学校教諭・学校デザイナー山藤旅聞氏

9歳、10歳の4年生は失敗を知っている。うまくいかなかった時、それは結果ではなく、学びはすべてプロセスである。「なんでうまくいかなかったんだろう」、「じゃぁ次は何をしよう」、投げやりになっても「また次の好きなことを見つければよい」と思えるようになること。でも、“好き”が何か分からないという子には?→いろんなものと出会う。“好き”を見つけた時に、突き詰められるやり方・スキル(学び方の方法論)を学んでいる。 by聖ヨゼフ学園小学校教諭秋吉梨恵子氏

「失敗を楽しもう!」失敗に慣れる。結果ではなく、学びのプロセスなんだよ。体験学習と基礎学習。例えば、秘密基地を作ろう!という体験学習。基地の大きさ、それには基礎学習が生きてくる。歴史:歴史についての見方を学ぶ、ものの見方、方法論を学ぶ。国語:文字は気持ちを伝えるツール。手紙書いてきてなど。算数:数や量はツール。カレー作り。材料を与えるのではなく、チラシ渡して、予算伝えて買ってくるところから。つまり、必要性って大事。必要性とは、心の揺れ動き。多様な種を撒いてつなげる。保護者に求めることは?→待ってあげてください。できることろまで引き上げてしまうのではなく、自分の力でスモールステップで積み上げていくことが大事。声掛けは「どういう風にやってみる?」「どうしてそう思うの?」「なんでうまくいかなかったんだろうね」とお子さんの決定を待ってあげる。怒る前に「わーお!!」な子育て。なにかやらかしたとき、しょうもないもん買ってきたとき、「わーお!!」と言うと、笑いになる。そして、家ではのんびりする時間、暇な時間、何もしない時間を大切に。次への行動力につながる。大人も失敗した時は「間違えちゃった!」てへっと。 by HandiHouse project/kopro建築士須藤直紀氏

Future edu Tokyo さんの公式Facebookページには、当日の様々な講演、ワークショップのレポート、オンラインでの研修会の様子が随時更新&掲載されております。ご興味ある方はぜひご覧になってみてください。 (飯貝真美子)

参考:Future Edu Tokyo 公式FB
https://www.facebook.com/futureedutokyo/

参考:朝日新聞「GLOBE」 課題解決学習、世界はこの学校に注目する 「ハイテク・ハイ」が日本にやってきた より
https://globe.asahi.com/article/12076800  

参考: 孫泰蔵講演レポート:日経ビジネスより
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00131/00001/?P=2

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