『天国と地獄』は何故?…「W主演」に思うこと
演劇・映画・ドラマなどで、中心となる人物の役を演じることを主演といいます。多くの場合、ストーリーが追いやすいように一人であることが多いですが、たまにW主演、稀にそれ以上ということもあります。
ドラマの場合、主演には人気や知名度と共に、ある程度の演技力が求められますが、無名からの大抜擢ということもありますし、大人の事情で演技が未熟な新人が主演とされることもあります。
近年、ドラマでのW主演が増えているように感じます。いくつか理由はあると思われますが、一つ目には単純に主役級が2人いるという豪華さ、二つ目には低視聴率だった場合のリスク分散、三つ目には“主演”という肩書が欲しい、若手俳優の事務所の意向があるのでしょう。
2021年春ドラマの場合、『恋はDeepに』(石原さとみ、綾野剛)、『DIVE‼』(井上瑞稀、髙橋優斗、作間龍斗)、『カラフラブル』(吉川愛、板垣李光人) 、『生きるとか死ぬとか父親とか』(吉田羊、國村隼)、『ネメシス』(櫻井翔、広瀬すず)がW主演作品(敬称略、地上波)。
まず注目したいのが『恋はDeepに』。石原さんは『地味スゴ』(2016年)以降、単独主演を続けてきましたが、ここに来てW主演を選択。ラブコメの相手役となる綾野さんが、主演級俳優ということもありますが、リスク分散という見方もできます。
『ネメシス』も面白いW主演。櫻井さんが主演した映画『ラプラスの魔女』(2018年)では、広瀬さんはヒロインでしたが、朝ドラ『なつぞら(2019年)の主演を経て、女優としての格が上がったといえるかも知れません。
今期『知ってるワイフ』で、櫻井さんと同じジャニーズの大倉忠義さんと、実質W主演だった姉アリスさんが、ヒロイン扱いだったのとは対照的で興味深いところです。
『生きるとか死ぬとか父親とか』も意外にもW主演でした。國村さんも国際派俳優の大物ですが、吉田羊さんの知名度や人気なら単独主演でもおかしくなく。ストーリー上、W主演という方がすっきり来るのかも知れませんね。
というわけで、新ドラマでW主演を見かけたら、どういう意図があるのか、想像してみるのも楽しいものです。また逆に、どう見てもW主演なのに(例:『天国と地獄』の綾瀬はるかさんと高橋一生さん)、公式で単独主演になっているのは何故?みたいなことを推測するのも面白い。