ほんの少しだけ

母が暴れ叫んだ翌朝、私は泣き腫らした目を冷やしながら母と少し話をしてみようと思った。
前夜は大声で叫んで暴れていたのに翌朝ケロッとしていたのは安心するというか、拍子抜けした。まあいつもの事だけど

「昨日は辛そうだったね、今はもう大丈夫なの？」

なるべく攻撃しないように、言葉を柔らかく、小さな子供に話すようにを心がけて声をかける。

これも学生の頃は気にかけられなかった
心の余裕が無いと喧嘩腰で話してしまったり、無視するようにしたり、この歳でやっと身につけられた

この時母と話して分かったことは

引越してきて家族の他に誰かがいると勘違いしていたらしく、上で物音がする度に気になって寝れなかったと

母は統合失調症の他に目の障害を持っていてほぼ見えない状態で
たまにそんな事ないよと思うことも、確かに目が見えなかったら不安なことが統合失調症の症状以外でもありそこのケアが足りていなかった。

他にも病院の事や今後のしたいことの話、私を産んだ時の話なんかも出てきて
初めて聞いた事もあったり
私はずっとこの人とコミュニケーションすら出来ていなかったんだなと、反省しながら聞いた。

家族と他愛もないことを喋る。
前はあまり得意ではなかった
父は全部肯定してくれるけど、叱ってはくれないし
母は妄想の話も混ざりながらで、たまに聞いていないこともあるし自分の話はできなかった。
コミュニケーションを取らないことで気持ちがずっとすれ違っていた

この日から私の心構えというか、これからの母との向き合い方というか、
少しずつ変えていこうと思えてきた。

行動力は無さすぎる方だけど、今また文字にしてほんの少しだけ努力したいと思えるようになったと 思う。

頑張らなきゃ。じゃなくていい

少しだけ頑張ったら、休もう、話でもしながら