ルーザーヴィルの感想
初めに
この舞台は決してハズレ舞台ではない。人によっては大当たり舞台だと思う。予算がかかってるだけあってセットも豪華だし、生バンだから音も良いし、実際に売れた曲を採用してるから曲もキャッチーで楽しい。井上本髙のセリフ回しもテンポよく、歌もかなり歌えていたと思う。なによりちゃんとそれぞれの役として舞台の上で生きていた。
だがしかしこの舞台、ひたすらノットフォーミーだった。
そのノットフォーミーポイントについて、私は今からグチグチ言い始める訳であり、あくまで“私は”ここが好きじゃなかったというだけである。
※完全な記憶で書いてるのでセリフ等々に間違いがある可能性が多分にあります。ネタバレあります。ご了承くださいm(_ _)m
※便宜上日本人、観客等バカデカ主語が頻出しますが、全ては主観です。
↓ほんへ↓
ライブ感覚
告知をする際、井上本髙がよく口にしていた言葉“ライブ感覚”。私はてっきり外部舞台にあまり馴染みのないジャニオタの観劇ハードルを下げる為の言葉であり、アップテンポの曲が多くて明るい舞台だよ!くらいの意味でとっていた。
まさか、ハンドマイクの多用及び頻繁な手拍子のことを指していたとは夢にも思わなかった。時にはポケットから、時にはアンサンブルから、また時にはポップコーンの中から…様々な場所から現れるハンドマイクたち。
え、それいる????
私はもとより歌と芝居を分ける演出や演技が好きでは無いため、最初に見た際は歌はあくまで演技の延長線上にあるんだろーーー!!流れを一旦切って歌い始めるなーー!と心の中で叫んでいた。百歩譲って盛り上がっている場面は分かる。比喩表現として歌っちゃうほど盛り上がっていマース!という事なのかなと納得出来る(わざわざハンドマイクに持ち替えるとその前の動作のまま心理描写を行っているのではなく、“歌う”という行動をとっているように私には見えてしまう)。
が、しかし、しんみりした場面でもハンドマイクはやってくる。マイケル告白の場面なんてハンドマイクだけでは飽き足らず蛍光イエローに光るマイクスタンドが上下1台ずつ浮遊してくる。マジで。大爆笑←
機材的な問題でマイクを切り替えているのならしょうがないが、多分あのハンドマイク入ってない…。何か意図があってこの演出を行っているのかもしれないが、私には伝わらないし、ただひたすら演技の流れを切る存在として気が散った。
手拍子も舞台上の世界の傍観者でありたい人間としては、どうぞ我々は見えないものとして続けて下さい…( . .)"ヘェとなってしまった。
オタクってそこまで悪なの(笑)??
古今東西、様々な物語でオタクはオタクであるからという理由でいじめられる。なのでエディ達いじめっ子がそんざーい価値のない!ゴミも同然の!オタクたち!と歌うのは全然いいのだが、この舞台、エディ達と同レベルでマイケル達もオタクのネガキャンを行う。俺らに近寄るとオタク病が伝染るぞ〜!と仲間内でふざけたり、俺たち社会不適合で気持ち悪いオタク!と4人で口を揃えて言ってゲラゲラ笑ったり、至る所でオタクなんか〜、オタクだから〜ともうエディ達と合わせてコイツらは、一公演で一体何十回オタクという単語を言うつもりなんだよとツッコミたくなるほどオタクのネガキャンを続ける。
でもまぁ、ここまではいいよ!いじめにより自己肯定感が下がって自虐し始めちゃうのはありがち展開だし!!9割オタクが埋めているであろう客席で自担の口からオタクのネガキャンを聞かされるのはちとツライが!全然大丈夫!!
きっと物語が進むにつれてオタクであることは悪いことじゃない!胸を張っていいんだ!みたいな展開になるんだろうな〜と思ったよ…(´・ω・`)ウン
えー、結論。
オタク全否定のまま終了(?!)
オタクキモイ!といじめられていたのに対して、オタクなのにこんな凄いこと出来ちゃうんだぞ!と行動で証明してスカッと!皆恋人もできてめでたしめでたしで幕は閉じる。
オタク“なのに”こんな凄いこと出来ちゃう!オタク“なのに”ちゃんと恋人もできちゃう!ってあくまでもオタクであることはマイナス要素として扱われたままなんだけど、これは脚本家的には狙い通りの終わり方なの??
それとも私の受け取り方がひねくれてる?でもそう取れるよね?
私は全然モヤッと終了(・~・)💭
あとマイケル達のアイデンティティを十把一絡げにオタクで括ってるように見えたのもモヤッと(・~・)💭
ホリーのことが死ぬ程嫌い
私ルーカス担。
好きな人の好きな人が死ぬ程嫌いな女でめちゃくちゃ地獄()
好きな人が嫌いな女に舐めた態度とられてそれでも好きなんて言うからさらに地獄()
舞台を楽しもうと感情移入すればするほど、ルーカスを好きになればなるほどホリーの事が許せなくなり観劇中ブチブチにキレてた。
ありえなくないですか?!遊びに行く約束すっぽかしてまともに謝んないんですよ?!マイケルも同じことしてるけどある程度ちゃんと謝ってるので、まぁ…って感じですけど、あの女私はプログラム開発で忙しいんだからしょうがないでしょ( ・´ ᗜ・`)フッみたいな顔して、私悪くないでーすってしてるんだよ??そんなもん約束する前から分かってたことなんだからそもそも遊びに行く約束すんなよ!!!約束も守れない、自分の非を認めることも出来ないなんて化学の授業はナンバーワンでも道徳の授業は最下位だったんじゃないの(笑)?あ、もしかしてだから奨学金落とされたんじゃないんでぇすかぁぁぁぁ〜〜〜〜〜???(ここまで息継ぎなし)
とか特大煽りかましてた次の場面で、自担に僕と付き合ってよホリー…僕なら幸せにできるのに…(´இ﹏இ`)とか歌われるんですよ?思わず天を仰いだね。なんでだよーーーー!!!!しかもそのあとしれっとメッセンジャーとして都合よく使われてるし!!むり!!
(日によっては怒りではなく、ルーカス可哀想過ぎる…ポップコーンそんな無理して食べなくていいのに…(՞. .՞)シクシクと悲しくなってた)
そもそもあの女、初登場の段階で私はこんなにも頭脳明晰なのにこの美貌のせいで秘書なんかになれと言われる…なんて可哀想な私…と若干の職業差別をカマしつつ堂々と歌いながら出てきて、なんだコイツと思ってたら、ずっと上から目線で他人のことを見下した態度とるもんだから(ホリーってマイケル以外オタク仲間も含めて自分と同等の学力持ってる人間以外全員下に見てるふしあるよね?)あっという間に大嫌いになった。
マイケルとルーカスはエディ達に言い返したホリーを見て好きになったみたいだけど、私は悪口に悪口で返しただけで別にそんなにウィットに富んだ返しをした訳でもないし、どこがいいの?わかんなーい!と甚だ疑問。
そもそもこの手の才色兼備で自分に自信があって周りを見下してるのにオタサーの姫だからチヤホヤされる人間が個人的にコンプレックスも相まって大嫌いなので。一挙一動全てが地雷。
ルーカスへ
裏切る時に悪いのはお前だってマイケルのこと指して言ってると思うんだけど、ホリーも同罪だからせめてお前“ら”って歌ってくれないかな?そうじゃないと納得できなーいヽ(・∀・)ノ
とずっと憤っていたが、ふと思った。
これもし原作通りの思いっきり欧米人らしい容姿の人間がしてたらどう感じただろう。ここまでホリーにお怒りを表明しているだろうか。
否、多分怒らない。
何故か、欧米はとにかく自己主張の国で自信なんてなんぼあってもいいしそれを誇示することこそが美徳とされており、欧米人はみな高慢で攻撃的で自信過剰な生き物でそれがいいことであるというステレオタイプな特大偏見が私の中にあるからである。
そのような文化圏での話であると考えるとホリーの自己主張の強さも、元々押しの強い地域な上に今とは比にならないくらい女の社会進出に厳しい時代だしまぁこれくらい強気で使えるもん使っていかないとやってけないよな…と納得出来てしまう。
冒頭の歌も、原作通りの金髪美女がこの見た目のせいで〜と歌っていたら、金髪美女は綺麗だけどバカな女の象徴という欧米の文化的背景からすっと受け入れられたように思える。
最後に
この舞台の問題(私にとって)は欧米の価値観で作られた物語を日本人の価値観で観客が捉えるように見せてしまった事である。
セットも衣装もポップでリアリティーは薄く、かつ1つ目の項で述べたように芝居の没入感を欠く演出であったため観客は元々持っている価値観(多分殆どが日本人なので日本的価値観)そのままで舞台を見ることになり、上記の様な感想を抱いたのだと考える。
舞台は目の前に生身の人間(演者)が存在するため、その演者本人が持っている人種を含む性質の影響を多分に受けるものである。勿論それらから離れる為に演技や演出があるのでもし海外チックなセットに囲まれ、仰々しい身振り手振りとイントネーション、時にエスニックジョークなんか挟みながら演じていたら少しは外国らしさが出て観客の価値観を置き換えて観せることができたかもしれない。
しかし今回のように演者にアイドルを起用する場合、通常の舞台以上に観客は演者自身を見ているという意識が強いため、演者の性質から離れた役を演じるハードルはとても高いように思う。(外国人役のような文化的背景まで背負い込まねばならない役なら特に)
そのため原作の価値観に演者を寄せるのではなく、演者の性質及び客層(日本人の価値観)に脚本演出をもう少し寄せて欲しかったな(つまるところホリーのトゲのある言葉と性格をもうちょいまろやかにしてくれ)というのが私のこの舞台を見た総括である。
※逆に原作から日本版に持ってくる際日本人に分かりやすくするつもりで改変した部分があのオタク連呼だったりするのかなとふと思ったり…。日本の定義ではどう考えても引きこもりじゃないだろと思うマイケルたちが引きこもりオタク!と罵られていたり、原作ではなんて言ってるのか気になる部分がそこそこあった。