謎のポケモン食玩
思い入れがあるわけではないが、何故かよく覚えているポケモンの食玩がある。
筒状のパッケージで、上部に半球のカプセルがついている。その中にポケモンのマスコットが入っていて、選んで買えるようになっている。
筒は黄色かピンクで、ピカチュウと中に入っているお菓子の断面図が描かれていた。それがカラフルなピーナッツ入りのチョコボールで、だから森永あたりから出ていた食玩じゃないかと思う。
当時の私は小学生だったのだが、同じクラスのゼニガメが好きな女の子が、このキーホルダーをつけていたように思う。
曖昧な記憶から掘り出したワードで検索をかけると、意外と簡単にそれは見つかった。
何なら、全種類コンプリートしている方のブログも見つかった。
そちらの記事と薄れた記憶をもとに、以降は書き進めていく。
そのブログによると、1998年に明治製菓から発売されていた商品らしい。
全25種類で、その内10種類をピカチュウが占めているという当時らしい(?)ラインナップ。ポーズ違いが5種とそのクリアカラーだそうだ。
残る15種類は、ヒトカゲとリザードン、ゼニガメとカメックス、ピッピにプリンにイーブイ、とメジャーなポケモンのオンパレードだ。
パートナーポケモンの中でフシギダネの系統がいないが、これは恐らく第2弾向けに残したのだろう。伝説の鳥ポケモンもフリーザーのみだし。
しかし、その考えも空しく単発で終わってしまった。
そういえば、私が幼いころ住んでいた近所にはスーパーマーケットが4軒ほどあったのだが、この商品を取り扱っていたのは1軒だけだったように思う。販路が限られていたのかもしれない。
写真のゲンガー、ニョロモの他にもライチュウ、カビゴン、ミュウツー、ミュウがラインナップされていたようだ。
ところで、全25種(実質16種)と書いたが、ここまで15種しか挙げていないことにお気づきだろうか。
実はこの商品、手堅いラインナップの中で、1匹だけ冒険と言っていいチョイスをしているのだ。
大人気のピカチュウ10種、その進化系、最初のポケモン、かわいらしいアイドルポケモン、ゲームのオープニングで登場するポケモン、ゲームの生みの親が一番好きなポケモン、ゲームで一匹しか手に入らないポケモン、そして幻のポケモン……。
そんなメンバーと肩を並べると、98年の明治製菓が自信を持ってお届けしたそのポケモンとは……
なんと、スリーパーである。
スリーパー。
変なポケモン、ではない。というか選ばれて変なポケモンなんて一匹もいない。そう強くは思う。
確かに立体化の例は少ない。
全ポケモン出す系のシリーズ、つまりは「ポケモンキッズ」とか「フルカラーコレクション」、あるいは懐かしの「ポケモンふりかけ」のおまけとか、そういうものでないと、スリーパーの立体物にはお目にかかれない。
赤緑最強のエスパータイプで、フーディンに次いで旅パに入ることが多かったであろうポケモンだ。40匹しかいなかったニンテンドー64の『ポケモンスタジアム』に堂々参戦している点にも、それは表れている。
だが、スリーパー。
食玩第一弾で、「キーホルダーやアクセサリーにアレンジして使おう」とパッケージに書かれている商品で、スリーパー。
ピンク系のパッケージで、商品戦略として恐らく女児への訴求も狙っているであろう商品で、スリーパー。
尖りすぎである。
正直言おう。
誰が欲しがるんだ?
よっぽどのひねくれものか変人の子どもしか、きっと手に取らない。
あるいは、間違いだ。
「ピカチュウ買ってきて! 黄色いやつ!」と親に頼んで、「買ってきたよ」とスリーパーを手渡されて子供ギャン泣き、みたいな悲劇。
それ以外で、スリーパーが売れることがあるか?
ある。
自らスリーパーを選ぶ子供は、いる。
私だ。
ええ、選びましたとも。「スリーパー、あるんだ!」って。
カメックスよりスリーパーだ、って。
リザードン、ゲンガー、スリーパーを並べて「いいパーティだな」なんて思っていた。そういう子供だった。
そういうわけで、スリーパーファンは必携……かもしれない『明治チョコボール ポケットモンスター』のお話でした。
【参考サイト】
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私も発表の場をいただいたYoutubeチャンネル『リモートポケモン学会』上で、毎週末配信されている『リモポケラジオ』。
その2024年5月18日配信回「リモポケラジオ#50 リモポケ同窓会 GAMEBOY世代編」に出演します。
共演は、
『96~’99 ポケモンホビーを共に振り返ろう』等、多岐にわたる発表をされている上楠木ノ子さん
『今日から使える撮影知識~New ポケモンスナップやりこみのススメ~』等の発表者でRTA走者としても活動する粷屋さん
『ポケモンコロシアム色違い厳選の世界』を発表し、色違い厳選の配信をされているミナキ・コラリテさん
『SV フランス語版の会話テキストから見る翻訳の工夫』等を発表し、ポケモンのローカライズに詳しいtats.tさん
AUTOMATONで記事にもなった、増田学の第一人者・プルナレフさん
以上のメンバーで「20世紀のポケットモンスター」を語ります。
ぜひ、ご視聴ください。