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死産から学んだこと。子供が欲しいか分からない人にも読んで欲しい話し。
こんにちは!
前回は妊活と転職についてノートを書きました。
自分の気持ちを決めてからも、育休手当てないのは勿体無いかな、やりたいことがあるけど、妊娠のことを考えると、始めることが出来ない。などと、子供を自分の人生に落とし込む方法が分からず、ずーっっともやもやと悩み続けていました。しかし、最近死産を経験したお母さんに関わる事がありまして。この経験がきっかけで、自分の気持ちに変化があったのでまたノートに残したいと思います。
染色体異常児の新生児死亡
わかりやすく死産と書きましたが、正確には新生児死亡です。説明しますと、死産はお腹の中にいる状態での死亡、新生児死亡は、出生後の死亡。
先日関わったのは、染色体異常があり、産まれても長くは生きていけないと妊娠初期から宣告されていたお母さん。染色体異常を見つける方法はNIPTなどの方法がありますが、私の経験上、妊婦健診のエコーで分かることが多いです。
妊婦健診の超音波(エコー)検査では、胎児の首の後ろのむくみ(NT:Nuchal Translucency)を測定することで、染色体異常の可能性を早期に察知することができます。NTが通常よりも厚い場合、胎児に染色体異常が存在する可能性があるとされています。 
ただし、NTの測定は正確さが求められ、熟練した技術が必要です。また、NTが厚いからといって必ずしも染色体異常があるとは限らず、逆に正常なNTでも異常が存在する場合もあります。そのため、超音波検査だけで確定診断を行うことは難しく、必要に応じて非侵襲的出生前検査(NIPT)や羊水検査などの追加検査が推奨されます。 
https://cem-clinic.com/genesis/column/3161/?utm_source=chatgpt.com
つまり、エコーで赤ちゃんの首の後ろに浮腫みが見られると染色体異常を疑い、確定診断として羊水検査をします。
確定診断したらどうなる?
赤ちゃんは妊娠22週まで堕胎出来るので、母体の負担を考えた上で中絶を選ぶ人もいれば、わずかな希望を信じて妊娠を継続する人、無理なことを受け入れた上で妊娠を希望するひと。
あなたなら、どうする?
本当にたくさんの選択肢があります。
それぞれの選択をわたしは今までに何十人と見て来ていますが、どの選択をしたとしても私は患者さんと関わると目がうるうるとしてしまいます。
それぞれの選択にはそれぞれが深く悲しんで、深く考えた結果であるので、どの選択であろうと、辛いものは辛い。ただ、この経験を「痛い」「怖い」「辛い」といったネガティブな思いだけでなく、ほんの少しでも、思い出した時に暖かい気持ちになるように関わりたいなといつも思いながら関わっています。
今回関わったお母さん
今回関わった方は、私にとってはとてもとても強い方。
40代で結婚し、不妊治療でやっと授かった子供。妊娠15週の時点で胎児の
異常を指摘されましたが、中絶や確定診断のための検査は希望せず、「何があるか分からないけど、このまま普通にお腹の中で育てる」と夫婦で決心した方でした。
私が担当したのは妊娠34週になり破水で入院となった時。
(胎児異常があると胎児の腎機能が未熟なため児の尿量が極端に多く、羊水が増えるので破水がしやすくなります。ちなみに、羊水は胎児の尿からできています)
普段なら、「赤ちゃんに会うために頑張りましょう」「会えるの楽しみですね」と声をかけますが、今回はお腹の中では生きられても外の世界に出たら生きていける確率が低い状況です。なんと声をかけたらいいか戸惑いました。
<結果>
最初から最後まで、陣痛で痛い時も、生まれた後も、静かに、穏やかに過ごされていたお母さん。経験上、感情が乱れ大きな声を出したり流涙されたりと負の感情を表出する方が多いこと、むしろ感情を表出した方が次へ進めるという人間の心理があることから、この方は表出ができていないと考え、産後少し時間を置いてから時間と場所を用意して今の気持ちを聞きました。すると、色々と話してくださりました。
まとめると、10年以上までに仕事を頑張りたかったという理由で中絶をしたことで、その後長らく自分を責め続けていた。不妊症とわかった時、胎児の異常がわかった時は中絶した子が怒ってるからだと思った。だから、今度はちゃんと産んであげられて、よかったと思っています。と。
このかたの決断であり、この方の考え方であり、この方の乗り越え方がこのように思うことなのだなと思ったので、私は肯定的に話を聞くことしかできませんでした。
今でも、なんと言ったらよかったのか、ふと思います。
・中絶は悪いことではないです
・赤ちゃんは怒っていないです
そういえばよかったかな?でも、この方は、この方なりの解釈をしたことで、穏やかに受け入れることができていることを考えたら、上記を伝えても、、、、。でも、助産師として、子供の気持ちを想像して代弁したり、お母さんのせいではないことを伝えた方がよかったのかな、、、。それはそれで無責任なのかな。いまだにわかりません。
ただ、私は常にお母さんの味方なので、どんな選択をしても、丸ごと受け入れたいですし、どんな選択をしてきていたとしても、したとしても、味方であるということは伝えました。
難しいと思うこと
1人の助産師として、1人の女性として、思います。
こどもはこどもで1人の、個体の人間だけど、少なからず両親に、特に女性に大きな影響を与える。ただ、あくまでこどもはこども。母は母。
この境界線って、本当に難しいですね。
子離れ、親離れ、
愛着障害
モンスターペアレント
いろんな母子関係に関する問題は、この曖昧な境界線によって生まれるものなのだなぁと。なんとなく知識として理解はしていたけど、自分が当事者になろうとしている今、頭の中で関連付いてしっかり理解できた気がします。
自分の気持ちの変化とは?
「経験してみたい」
この気持ちが大きくなりました。
やはり、自分が経験しないと、当事者になってみないと分からない視点は多いと実感。
まずは母親になって、母親としてのいろんな経験を積んで、いろいろなことを丁寧に、一つずつ考えて、皆さんに少しでもためになる情報やマインドをお伝えしていきたいな。
最後に
死産を経験したことのある方は本当辛い経験だったと思います。でも、その経験をすることによって、失うものだけではありません。必ず今までにはなかった感情が得られて、世間を見る視点が変わって。あなたの思考に、行動に、救われる人は思っている以上に多いと思います。少なからず、私は心動かされます。
これから妊娠を考えている方々も、同じです。
妊娠にリスクはつきものですし、母と子の境界線が難しく、
「なんで母親の私ばかり!」って
思うことは何度もあるかと思います。(私は妊娠後の生活を考えるだけでもすでに何度も感じています。とほほ。)でも、そこから学ぶことは少なくなくて、人として成長できることを、私はいろんな母親たちをみていて知っているので、妊娠が、子育てが、不安でありつ楽しみです。
きっと、みんな、リスクを考えてしまうと思うけど、
もっと、妊娠出産、育児が少しでも楽しみに、楽に、思えるような投稿をしていきたいと改めて感じています。
ここまでの長文を読んでいただきありがとうございました。
同じような悩みがある方に少しでも多くの人に、届きますように。