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流れる文と、噛み締める字 20230326

リハビリ病院からお届けする、本日の日記。


正しい走り方を教えてもらう

私がダメージを受けたのは高次脳機能で、麻痺や体を動かす機能はなんともない。

手術後3週間くらいは歩けなかったけれど、現時点で、フィジカルはむしろ入院前より健康になっている。
単純に体力面だけでいうと、今まで通り通勤ができる、買い物に行ける、などができればいいのだけど、せっかくだったら入院前より健康になってやろうと、生きることへの執着が出てきた。
ということで、今は退院後にマラソンを始めることを目標に据えて体力作りに励んでいる。
急性期の病院にいる期間が長かったから、リハビリ病院最初に外をで走ったとき、嬉しくて少し涙が出ちゃったのだ。
リハビリは出来ないことばっかりで、部屋でそっそりメソメソするときもあるのし、春だというのにずっと部屋から出られないので、体という自由に使えるものが少なくとも一つはあるってこともうれしい。

今後長くマラソンをするならばと、わたしの走り方を見たランニングのプロ、理学療法士からアドバイザーをもらった。
・準備運動ではアキレス腱を少しバウンドさせるようにする
・関節をやわらかくするストレスを欠かさない
・ペンギンみたいに擦って走らず、かかとを前に押す感じで走ること
などなど。

記憶が短くしか保てないから、言われたことを一生懸命メモする。
運動嫌いの私が、走るために頑張るというのはすごいことだなぁ、と他人事のように思う。


急に世界仕組みがわかったような気持ちになる

考えるってことが好きだったな、ってことを思い出した。
出来ないことに対して、出来ないから嫌だ、ではなく、どうしてこれが難しい感じるのか?ってことを、日々考えている。そして、うまく表せる表現が見つかるととてもうれしい。

今日は4色のラダーを使ったリハビリの中で、ルールを何回聞いても覚えられず。

考える中で、「言葉としての青」と「色としての青」は私の中で分解されて二つのものに分かれているんだって気づいてから、急に理解ができるようになった。
本を読むときの違和感にも納得できた。文字として一文字、もしくは1単語ずつ読もうとすると意味が理解できないけれど、文章全体を見ると意味は頭に流れ込むように理解できるのだ。おそらく今、一つ一つ噛み締めながら読む小説は理解するのに時間がかかって、ざっと意味が理解できればOKなビジネス書はさっと読めちゃうんだろう。

小さなことだけど、自分の中では小さなエウレーカ体験だ。
高次脳機能障害は、ものすごい速さで小さい子と同じ世界の見え方を追体験できるような感じ。


これを書くのにも2時間以上かかってしまうので、私から見える世界のことは少しずつ書いていく。

おしまい。


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