【実録!脳卒中】 免許を失効して得られた学びは◯◯ 【参考にならない】
わたしは29歳で脳卒中になり、半年間入院生活を送っていた。
復職した今は、ほのぼのと"普通の毎日"を噛みしめている。
リハビリのおかげで、高次脳機能障害はほとんど回復!
「両目右側の視野が1/4くらい見えない」という"ちょっとした誤差"くらいの後遺症が残っている。
先日、その後遺症が原因で免許を失効した。
悲しい。普段車に乗らないくせに。
せっかくの珍しい経験なので、noteで昇華させることにする。
読んでも誰の参考にもならない。
身も蓋もない結論から書くと、免許失効で得られるものなんか無い。
入院中に免許更新期限をむかえたら
わたしは記念すべき30歳の誕生日、1週間前に緊急搬送された。
しかも記憶障害で、この辺の記憶が全然ない。
入院中は、北海道から母がわたしの家に滞在してくれていた。
母が免許更新のハガキが受け取ってくれたんだそうな。
調べると、長期入院の場合、3年以内なら更新可能とのこと。
今となっては、ほっと胸を撫で下ろしたのが懐かしい。
免許センターの警察官は優しい
半年経って無事に退院したわたしは、いそいそと免許センターへ向かった。
余談だけれども、東京には3つの免許センターがある。
私が当時住んでいた駅は、その全てが1時間以上かかる。遠いよ。
退院してほやほやの私は、今よりも濃く高次脳機能障害が残っていた。
免許センターに到着して受付でそのことを伝えると、めちゃ優に優しくて丁寧な対応をしてくれる。
これは本当にありがたかったなぁ。
入院していた期間・病気名がわかるものを持っていくと、
「脳卒中の方はこちらに進んでください」という案内があった。
言われた場所に進むと、奥の方に”大きめの交番”くらいの大きさのスペースがあって、にこやかな警察官が待機している。
イレギュラーケースの方は、こちらで追加の手続きが必要になるようだ。
通常の免許更新(写真を撮ったり、講習を受けたり)以外の特別な対応は、こんなかんじ。
事情の説明
シュミレーターで、判断力などのテスト
主治医に書いてもらう、免許センター提出用の用紙をもらう
シュミレーターの結果には問題がなく、ひと安心。
(リハビリ病院で、シュミレーターを使った治療を何度か経験しているので、なんとなく懐かしい気持ちになった。)
その日に無事に新しい免許証をゲットした。
主治医に署名をもらう書類は、1ヶ月以内に免許センターまで直接提出が必要とのこと。
病院も遠いし、免許センターも遠いし、どちらも休みを取らないとだし、めちゃくちゃ面倒くさい。
免許証の住所変更に3時間
免許を更新して4ヶ月後、東京都→神奈川県 に引っ越した。
県を超える引越しは、上京して以来はじめてだ。
電話で確認したところ、免許センターへの書類提出は、神奈川でも対応可能という。
それも近所の警察署で対応できますよ、と!
小躍りしながら近所の警察署に向かった。
警察署の受付で「住所変更」「免許センターへの書類」を合わせて提出する。
小さい警察署の受付は、対応している警察官の動きが全て見える。
その日は3人の警察官が窓口にいたのだけれど、私の書類を手に、あっちこっちに確認の電話を入れているようだ。
「管轄が違うので、複数の担当に確認しないといけなくて、時間がかかっています」とのこと。
(だと思ったから、事前に電話したんですよ・・・)
3時間くらいかかって(間で病院に行ったり、買い物したり)、住所変更はいったん受理される。
「確認の連絡が入るかもしれません」という言葉を、話半分で聞く。
これで、長きに渡った免許証の対応が無事終結した!!
と、思っていた。
行政書類が届くと結構ビビる
ある日家に帰ると、明らかにただ事ではない行政書類が私宛に届いていた。
わたしは警察に出頭を命じられている。
意見の聴取について、詳しくはこちらのサイトから。
決定した行政処分について、本人が意見を述べることができる。
弁明を聞いて、処分の内容を修正する可能性がある。
要するに、
「お医者さんのお手紙みたよ💖
これだと免許あげられないから、一回話そ!
日にちも時間も場所も決めちゃった!
来れないと取消します!」
ということだ。
人生で”出頭”する日が来ると思わなかった
神奈川県の免許センターは1つしかない。
「二俣川駅」は、「神奈川県民が免許センターに用があるときだけ降りる」ことで有名な駅である。
わたしは東京寄りの神奈川県民なので、まぁ遠い。
指定された時間(朝8:30)に到着し、説明を受ける。
「出頭してください、って紙が届いてびっくりしたと思いますが、この書類を受け取ったひとは”病気や特別な事情”がある人なので、落ち込まないでください」というメンタルケアを受ける。
手厚い。
待つこと30分。
病院の診察室くらいの大きさの部屋に呼ばれ、後遺症について説明する。
わたしの場合は視野の問題なので、実際にどのくらいまで見えるの?みたいな話を身振り手振りで伝える。
「結果が出るのが13時なので、それまで自由に過ごしてくださいね」と言われたのが10時。
ここまで長いとは思わなかった。
建物内のカフェドクリエで本を読んで過ごす。
だめだった
タイトルから既に伝わっていると思うけれど、判定は変わらず、私はその足で免許を失って、とぼとぼ家に帰ったのだった。
(むしゃくしゃしたので、帰りに二俣川のドンキホーテで爆買いした。)
「病状が1年以内に回復すれば、免許の再交付が可能」とのこと。
わたしの視野が戻る確率は10%。
免許が再交付される確率はかなり低い。
結果が出てからわかりやすく落ち込むわたしに、担当の警察官が「技術の発展で自動運転ができるようになるかもですよ…!」と慰めてくれた。
優しい。好きになりそう。
結論:そんなに困らない
免許証を身分証明書として使っていたので、まるっと置き換える必要がある。
「マイナンバーカード」の発行が面倒で、未だ作れていない。
どうしても必要な場面ではパスポートを使えば問題ない。
逆に言うと、免許証を失って困ったことは、それだけだった。
とはいえ、”元々あったものが無くなった喪失感”はしっかりと手の中に残った。
何回も地域を超えて免許センターに行ったけど、結局何にもならず、むなしく免許が無くなった話を長々と書いた。
改めて結論を書くと、時間が免許失効で得られるものなんか無い。
みなさんに一番おすすめしたいのは、脳卒中にならないことだ。
くれぐれも健康にはお気をつけて。