外大生は外国語が好きだからやっている
ポーランド語を勉強しているという方がこんな記事を書いておられる。
すでに多くのハートマークが付いていて目にした方もいるかもしれない。自分の考えをすっと伝えた、いい意味で気取らない力の抜けた文章だ。
彼はポーランド語を勉強する理由を、自分にとって価値のあることだからだと言っている。大学とは本来そういうところだとも言っている。
素晴らしい。
「この先がない」ということを彼は言っている。今そこに立ち止まって、自分が没頭できるものに集中すると。「この先がない」というのは僕の言い方です。先を見ずに、いまここで与えられていることに全力を注ぐ。
彼の詳しいことは知らない。けどまあ、日本の大学でポーランド語ができる大学もそうそう多くはないだろう。
外国語学部という、まあpracticalな学部がある。外国語を勉強する学部だ。大学の設置の趣旨は大方、国際感覚を持って、外国語を操り、世のために活躍できる人材を育成するみたいなところだろうか。
僕の出身も外国語学部だ。てか、外大だ。某旧帝大に吸収されてもうないけれど、そこでポルトガル語を勉強した。
僕はこの彼のように、入学前から何が何でもポルトガル語と思っていなかったし、ポルトガル語を本当に好きになったか、それが話されている国々を好きになったかと言われると、まあ、そうでもない。というのが正直なところ。
けれど、ポルトガル語を勉強したことを後悔しているかとか、無駄だと思うかと聞かれると、そんなことは断固としてない。
アホな大学生だった堤は、英語がすべてだと思っていた。
ポルトガル語を勉強すると、英語はone of languagesであることがよ~~~く分かる。
「いろいろ知る」というのが大学生の仕事なのだ。
そして、人。
ポルトガル語というか、外大には外国語フェチが集まってくる。
音大に音楽好きが集まると同じだ。
外国が好き、外国の文化が好き、外国語が好き。
僕は「外国語が好き」チームでした。
外国語に反応する。今でも、外国語を聞くとテンションが上がる。
特異体質。
そういう人間は、おもしろい。とにかく、何かがすごい好きという人間は魅力的である。そして、あんまり後先を考える人間はいなかった。
おもしろいし、好きやからここに来た。それだけ。
「需要」? などということを考えて自分の勉強するものを選ぶのは、おもしろくなくね?
「外的動機」と「内的動機」という考え方がありまして、「外的動機」というのは、要するに、それをすると得をするとか、有利になるとかいってそれをする。中国語を勉強すると、ビジネスに役立ちそう、お金持ちになれそう。
「内的動機」というのは、単に好き。だからやる。
どちらの方が伸びるか? 答えは言わずもがなですね。
だから、需要とか考えない方が、僕は好き。彼の言いたいことは、外大生だったということもそうですが、とってもよく分かるのです。
がんばれ! 若者。
いまもそうですね。言語が好きだから言語学をやっている。
でも、上には上がいます。
好き、が上の人。
はたまた、なんやろう? 有名になりたい! が上の人。
勝てないなぁと思います。
張り合おうとしたことがありましたが、精神的、体力的に無理だと分かったので、自分のペースで、自分ができる限りのパフォーマンスをするように心がけています。
僕の研究を、おもしろいと思ってくれる人がいたらうれしいな。
S先生に、ある研究会に誘われたときに、
「この研究会は、おもしろい研究をしている人、おもしろそうに研究をしている人に声をかけています」
といわれて、間違いなく後者やなと思った記憶があります。
蓋開けて集まってみたら、きゃ~という有名人ばかりでびびっておりますが。
それでも、好きなことができているのはとっても幸せなことです。
【本日のイラスト】
hndさんから。ブラジルはリオの写真なんですって。
リオ、行ったことない。サンパウロとクリチバに行きました。
なんというか、またお知らせしますが、ワイルドな国です。よく言えば、生命力に溢れている。悪く言えば、治安がいまいち。