JR回数券廃止に伴って被ること
この文章を読む前に、次のようなルールがJR西日本には存在することを説明しよう。
どういうルールかと言うと、「大阪から、姫路より西へJRで移動する場合には、新大阪と大阪の料金は同じにします」というものである。
なぜこんなルールがあるのかというと、例えば大阪駅から岡山駅に移動するとする。この場合、多くの人が新幹線を利用するが、新幹線に乗るには新大阪まで行って乗り換える必要がある。ところが、新大阪駅は、大阪駅よりも京都寄り、つまり、一度、岡山から遠ざかって、東に進むことになる。すると、上のルールがない場合には、大阪~岡山の間に新大阪駅がないので、大阪~新大阪の料金が余計に発生することになる。ので、大阪から姫路より西に行く場合には、新幹線に乗って行くことが多いだろうから、新大阪まで移動する料金は余計にかかりませんよ、というルールなのである。
さて。今月末で、JR西日本は回数券の販売をやめる。乗客が低迷して、お得な切符で安く乗られると経営がつらいということなのだろう。
この場合に、お得なサービスを切るという判断は、一般的には、競争相手に客を奪われるリスクを孕むのだが、JRの場合、移動手段として独占企業のような側面があるので(=岡山へ、1時間弱で運んでくれる移動手段が他にないので)、ある種やりたい放題のような側面がある。
去年の改悪で、いったんほとんどの回数券は廃止されている。そのときに書いた記事がこちら。「利便性」の名の下に(つまり、ICOCAなどの電子決済を利用する人が増えたから)、回数券を廃止したと言っているが、実質的な値上げである。
というわけで、10月からは回数券を使わずに大阪~岡山間を移動するということになる。これは、通勤に新幹線を利用しているサラリーマンにとって、かなりの負担になる。
新幹線を多用する人は、ほとんどの場合、エクスプレス予約という、スマホで予約ができる機能を使うだろう。スマホで予約の上、EX-ICカードという、新幹線専用のICOCAのようなカードをぴっとすれば、改札を通ることができる。
そして、この方法を使うと、一般の切符を買うよりも、特急券が安く購入できる。
しかし。
このカードを使って、岡山~新大阪間を移動すると、そこで料金がいったん精算される。つまり、上記「姫路以西ルール」が適用されなくなってしまうのだ。新大阪から大阪に移動するには、余計に160円かかることになる。
乗車券を回数券で購入して、新幹線に乗った場合、
30800/11=2800(交通費)
2530(特急券)で、合計5350円で移動できていたものが、
3080+2530+160=5770円となり、差額はなんと420円。
梅田~河原町間を阪急で移動してお釣りが出るほどの値上げとなる。
この大阪~新大阪間の160円をカットする方法は、紙で切符を購入することである。が、これをいちいちやらなければならないのは面倒くさい。値引きの回数券を廃止するのはもう仕方がないと思うが、11枚綴りでも10枚綴りでもいいから、割引きなしだけれど、いちいち買わなくてもいいような方法で切符を出してもらえないだろうか。
あるいは、これは技術的に可能だと思うのだが、EX-ICカードで新幹線を利用したときに、自動的に姫路以西北ルールが適用されるように設定してほしい。
新大阪駅をあの場所に作ったのはJRなのだから。