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ペトレンコの悲愴



二日連続、チャイコフスキーを、キリル・ペトレンコ指揮のベルリンフィルで聴いた。

「悲愴」の方は、2015年にキリル・ペトレンコがサイモン・ラトルの後任としてベルリンフィルの首席指揮者に決定して初めての演奏会で、首席に就任するまでに一度しか訪れない演奏会だったそう。

この日の集中力はすさまじい。

独創的な悲愴。この曲はややもすると中だるみする。第二楽章と第三楽章が、第一楽章と第四楽章に比べると、素人受けしないというか。第二楽章は4分の5拍子で書かれた、ワルツのような作りになっており、第三楽章はマーチになっている。この2つの楽章をこれほどまでに効果的に聴かせて、全体の統一感をもたせた演奏をあまり知らない。


行進曲を交響曲に取り入れるというのもあまりない。しかも、第三楽章は、これで終わりちゃうん? みたいなクライマックスで、しばしば会場からこのタイミングでブラボーが出たりする。


さすがは耳の肥えまくったベルリンの聴衆。3楽章終わりでは微動だにせず。4楽章は怒濤のクライマックスで、チャイコフスキーはこの曲の初演から一週間くらいで亡くなっているのですが、なんとなく死に急ぐ作曲家の悲哀と希望とが、執拗に繰り返されるテーマによって表現されているように思います。

ペトレンコは美しいだけでなく、あえて醜悪とも言えるような表現を見せながら、曲はフェイドアウトしていきます。コントラバスがリズムを奏でながら徐々に消えていき、長い長いフェルマータ。


ずーっとパソコンの画面に見入りすぎたせいで、家事が遅くなって、寝る時間が遅れました。いかんいかん。


それくらいのめり込む演奏です。

現在、無料で視聴できるようですので、この機会に是非。

ただ、録音のレベルが低いのか、結構音量を上げないと聞き取りにくい。


次にチャイ5。

この曲って、すごく難しいのね。なかなか「これだ!」という演奏には出会わない。単に僕がこの曲にイマイチ入れないだけなのかもしれません。


ということで、今回のこちらの演奏も、そんな感じだったかも。「悲愴」とテンションが違いすぎてすみません。


中学生から高校生の頃に聴いた、フェドセーエフのチャイ5がすごすぎたというのが原因かもしれません。当時から、おそらく今でも、あれ以上の演奏はないと思ってしまっているかもしれません。オケもむちゃくちゃ粗かったし、音色もそりゃ、ベルリンフィルには及ばないけれど、やっぱり迫ってくるものがあった。NHKのクラシックコンサートかなんかを録音したカセットテープ、どこにいったかなぁ。ライブ音源がすごかったけど。途中から別のオケの話になりました。


評論家だともっといい事かけるのでしょうね。もうちょっとなんか書きたいな。


【本日のイラスト】

seiko55さんから。ありがとうございます。


【本日の一曲】

小山実稚恵のピアノが昔から好きでして。こちらはフェドせーエフとモスクワ放送響との共演。後半はピアノソナタ第2番。めちゃめちゃ音色いい。


久しぶりにCD聴きました。最近YouTubeとベルリンフィルのデジタルコンサートでごまかしてたわ。本日はこの前に、フェドセーエフのショス8というのも。


日本人のピアニストですと、彼女と、内田光子(いまはイギリス国籍)が好きです。チョソンジンも美しいね~~。ジャンイブティボーテとマリアジョアンピリスもお気に入り。要するに、ピアノが好きね。トリフォノフ、子供の頃めちゃめちゃ美少年過ぎて、おじさんちょっと弾いてたけど、大人になってから、聴けるようになってきました。





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