五味太郎『大人問題』
先週、岡山駅の廣榮堂本店のきびだんご売り場で、「五味太郎のマスキングテープ売ってませんか?」と聞くと、「ありますよ~」と、裏から出てきました。ところで店員さん、五味太郎の発音が、「ゴミ太郎」みたいでした……。
五味太郎マスキングテープあるんです。めちゃかわいいですよ。
岡山に来られたときには是非お土産にどうぞ。
で、この本。大人としていろいろ考えるべきことがあるなと思いました。
基本的には、「常識をいかに疑ってかかれるか」ということを書いていると理解していいと思います。
特に僕が印象に残ったのは、「大人は子供をとにかく評価したがっている」ということ。なぜ評価したがっているかというと、要は自分の思い通りに動いてほしいから。自分が「良し」とする「成長」を見せてほしいから。
いや違う。社会のためなんだ。社会に役立つ大人にするために評価してるんだ。という反論が聞こえてきそうですが、それとて結局は社会の思惑通りに動いてほしいということに変わりない。
「服装の乱れは心の乱れ」とか言っているのは論外としても、自分でも心当たりはたくさんあって、たとえば試験する、レポートを提出させる、感想文を書かせるあたりは、やっている。感想文を書かせることについては、本文でも否定的に登場します。書きたい人が書けばいいのです。本来は。
画一的に、全員を試験で成績付けてしまう、レポートのテーマを決めて、本人たちのやりたいことをさせない、なんてのも、いけないなぁと思います。ただ、大学では評価をしなければならないので、そこが悩ましいところではあります。というわけで、今学期は4つくらいの課題の中から好きなのやってね、ということにしました。4つめは「ことばに関してなら何をしてもいい」というもので、ま、ことばの授業を受けて単位を取得しようというのだから、それくらいの縛りはあってもいいわね。この4つめが一番自由にできるけど、その分一番難しいと思います。さて、学生さんはどの課題をやってくるでしょうか。
もっと基本的なところでも評価している。たとえば遅刻。
遅刻ってどれくらい悪いことなんだろう。よく分かりませんが、こちらが遅刻を厳しく取り締まったり、欠席に目くじら立てたりすればするほど、代返したり、仮病を使ったりする学生が増えるということが、本の中で紹介されています。それってなんか本末転倒で、遅刻をしない学生に「仕立て上げる」ことはできているかもしれないけど、要領よくごまかしたり嘘をついたりすることをうまくさせていたりもする。(授業アンケートなんていうのは、気に入らないことがあったら匿名で攻撃してもいいんだよと言ってるようなもんです。クレーマーが大量生産されるのを、大学は推奨しているみたいなもんです)
遅刻をうるさく言わなくなって、もう10年以上経ってますが、そんなに目立って悪いことが起こったことはない。遅刻魔みたいな学生もいますが、それは本人の判断でそうしているのだから、そんなもんかなと思います。
社会で躓かないように、そういうことは教育しておくべきだ。
そうでしょうかね。
自分が必要だと思ったら、遅刻しないのではないかしら。
僕の授業には遅刻してきても。
何が言いたいかというと、遅刻してくる、ということでその学生を評価するのは、なんか違うと思うということです。時間通りに来なければならない必要性を、僕の授業には感じない、あるいは僕の授業が提供していないということです。精進します。
レポートの提出が遅れる学生というのもいますが、これは減点しています。なぜ減点するかというと、遅刻したからではなくて、こちらが余計な一手間をかけて特別にその学生のために作業をしなければならないからです。間に合った学生のレポートを全部印刷したあとで、特別にその学生のものだけもう一度印刷しなければならない。とかね。
手数料ですな。手数料として、減点する。というのが理にかなっていると思う。
なんせ、こちらが「こういうように振る舞いなさい」というのは押しつけであるということを、この本を通じて強く感じたのです。
もちろん、それでは社会の秩序が崩れてしまう。それはたしかにあると思う。けど、その秩序の維持のために、遅刻に目くじら立てるのは違うと思う。
時間通りに来て、勤務時間はずっとそこにいるけど、あまり捗らない人と、遅刻してくるけど要領よくやって勤務時間前に終わる人と、いろいろいていいじゃない。厳密に言えば、たばこ吸ってる時間とか、トイレ行く時間とか、勤務時間だって人それぞれなんだし。
たばこ吸うのはいいのですが、たばこの煙、めちゃめちゃ広がりますね。さっき交差点でたばこ吸ってるお兄さんのたばこの匂いが、交差点渡ってもまだしていました。彼の肺から出てきたものを吸い込んでいると思ったら、気持ちが悪くなりました。
先日なんとなくベランダから下を覗いたら、近所の専門学校から出てきたとおぼしき学生の集団の中の、ちょんまげのお兄さんが歩きたばこをしていて、あろうことか、僕のマンションの前の植え込みでたばこを消し、そこに吸い殻を捨てて、そのあとチュッパチャプスくわえました。上からどなったろかと思ったけど、こわいのでやめました。とにかく、口に何かくわえていないと気が済まないんですかね。赤ちゃんみたいですね。
話がそれましたが、社会の秩序とは、たばこの煙をもわんもわんさせたり、ポイ捨てしたりする人間が増えれば、そら乱れるとは思います。どうなんでしょう。そういう人がゼロになることはないだろうし、何を言ってもやる人はやるでしょう。
ということで、何も言わないようになるのかな。
この先生は遅刻についてうるさくない人だ。
ということを、学生は知っているので、遅刻してくる人が徐々に増えてきたりしているような気もします。
それもまあ、そういうもんでしょ。
どこかのタイミングで「遅刻すんなおら~~~~」と言って、次の週から時間通りに来る学生を見るのも、なんか気持ち悪いし。
最近は試験をしないので知りませんが、遅刻してた学生が、試験の日だけばっちり早く来ていたりすると、その学生の何かが見えた気になりますね。
そのときに、「ああ、この人はそういう人なんだな」と、そこで初めて「評価」することになるのかな。
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さて、Lorde
あまりにかっこよすぎて、アルバムを買ってしまいました。
最近bandcampなどでもいくつか別の人のアルバムを買いました。また紹介したいと思います。