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研究者に必要な資質
昨日の投稿に登場したHさんは、これから大学院生になる。
マスター(修士課程)の間に、自分の研究者としてのポテンシャルを知るのだという。
話しを聞いている限り、Hさんにはそのポテンシャルはとてもあると思う。
たくさんの興味あるテーマを持っているし、たくさん勉強しているのもよく分かる。
研究者に必要なポテンシャルとは何か?
その昔、僕が修士課程に入ったばかりの頃、自分が何をしているのか分からなくなって、他人の論文を読めばそこに書かれていることが全て正しく思えて、「あ、自分にはこの業界は向いていないのかも」と思って、指導教員に退学届を持っていったことがある(アホ)。
指導教員は、次のようなことを言って、僕の退学を止めた。
「研究者に必要な資質は、頭の良さではない。しつこさである。自分のテーマに対して、朝から晩まで考え続けることができる、その資質こそ、研究者に求められるものなのだ」
当時の自分にはそれがなかった。正直、今でもそれが自分にあるのかは分からない。
世の中には、本当に研究が好きな人というのがいる。昨日講演をしてくださったまつーらさんもその一人だろうし、Hさんもきっとそう。そういう意味ではHさんには十分すぎるくらいに研究者としての資質は備わっていると思う。
研究者になるということと、研究者として職を得るということとはまた別の問題ではある。いまは研究者として就職することは、必ずしもやさしいことではない。それでも、チャレンジしなければ可能性はゼロであるけれど、チャレンジすれば、少なくとも可能性をゼロから引き上げることはできる。
島田紳助が、「あるものを目指していれば、そのものズバリになれなくても、それに近いような何者かにはなれる」と言っていた。そのとおりだと思う。ということは、しばしば僕の文章に出てきていると思う。
だから
若い人にはがんばってほしいなと思う。
がんばるというのは、無理をすることとは違う。
自分ができる範囲で、楽しんでできる限り、最善を尽くしてほしいと思う。
若い人が夢に向かって努力をする姿には、有無を言わさぬ美しさがあると思う。おじいちゃんは、その姿を見るのが楽しみなのです。
追記
島田紳助氏の名前を出すのは、別に僕が彼を好きだからとかいうことでは、あまりない。
ただ、こと、このことに関しては、その通りだと思うので出しているだけです。