新潟大学世界史過去問 #001
問題
五胡十六国の時期の中国の政治状況について80字以内で説明せよ。
(新潟大学2017)
考え方
五胡十六国時代は、304年の漢(前趙)の成立から、439年の北魏による華北統一までです。
統一国家であった西晋が滅亡した後、華北には五胡と呼ばれる遊牧計異民族や漢民族のたてた王朝が興亡し、江南では西晋を再興した東晋が栄えました。
「中国の政治状況」を問われているので、国が南北に分裂した時期であることを指摘し、華北の状況と江南の状況を叙述する必要があります。
80字ですので、いろいろな情報を入れることが出来ますが、あまり枝葉や細かい情報を入れる事はできません。
五胡については、80字あるので、具体的な名前を列挙すべきでしょう。これは、漢字で書けるように練習しておいてください。
匈奴(きょうど)
羯(けつ)
鮮卑(せんぴ)
氐(てい)
羌(きょう)
今回の論述では使いませんが、羯(けつ)は匈奴(きょうど)
の一派です。また、匈奴(きょうど)、羯(けつ)、鮮卑(せんぴ)はモンゴル系、氐(てい)と羌(きょう)はチベット系です。
五胡十六国と言いますが、十六国のうち五胡が建てた国は13国で、あとの三カ国は漢民族の国になります。
江南では、西晋の皇族司馬睿が東晋を建てました。
西晋は中国統一国家ですが、東晋は江南だけを支配する国家です。この「西」「東」は、それぞれの首都が洛陽、建康にあったことから、首都の位置関係でそう呼ばれています。周を西周、東周と言うのと似ています。また、中国では、前漢のことを西漢、後漢のことを東漢と言います。ただし、東晋だけは、南北を統一していないので注意してください。
史書としては、西晋も東晋も「晋書」として一つにまとめられています。東晋は、華北を奪還して中国統一を目指していましたが、達成できませんでした。
80字ですので、華北のことを30〜40字程度、江南のことを30〜40字程度書くイメージになります。「中国の政治状況」を聞いているので、南北に分裂していたことを必ず書き込んでください。
下書き
①統一の崩壊と、南北の分裂を叙述する。
西晋滅亡後、南北分裂が続いた。
②華北の状況を具体的に叙述する。
使用語句:西晋滅亡後、匈奴、羯、鮮卑、氐、羌、短命の王朝が興亡
西晋滅亡後、匈奴・羯・鮮卑・氐・羌の5つの遊牧民や漢民族が建てた短命の王朝が華北で興亡した。
③江南の状況を具体的に叙述する。使用語句:司馬睿、東晋
西晋滅亡後、西晋の皇族司馬睿が建てた東晋が江南を統治し、←江南の状況を具体的に記した。
②→③→①の順につなげます。
解答例
西晋滅亡後、匈奴・羯・鮮卑・氐・羌の5つの遊牧民や漢民族が建てた短命の王朝が華北で興亡し、西晋の皇族司馬睿が建てた東晋が江南を統治し、南北分裂が続いた。(76字)