ならてぃぶすたいる ~第1回:ならてぃぶ~
「ならてぃぶ」についての再確認
■「ならてぃぶすたいる」と「ならてぃぶ」
はじめに「ならてぃぶ」について書いていく。元々、「ならてぃぶ」というひらがな表記の言葉はnoteにて2023年11月に公開した「TRPGのナラティブ」という記事で使った言葉である。
しぎ「TRPGのナラティブ 」
https://note.com/akshigi/n/na81ae0c96f77
この記事では、海外からやってきたナラティブに対して、ナラティブという言葉が現れる以前や話題になる前にから国内にあったナラティブをあえて「ならてぃぶ」としたものである。
この記事はさまざまな定義が語られる「ナラティブ」について個人的な考えを書いたものであるが、あくまで「ナラティブ」について語った上で「ならてぃぶ」という考えを提案し、いくつかの例を挙げているだけである。これを用いたオリジナルTRPGとして、「リッチキングKU-KAI」を作成してもいるが、実際に「ならてぃぶ」に関して具体的なことについては十分と言えるほど語っていない。
そこで、「ならてぃぶ」に関する具体的なことや解説を書いていこうというのがこの「ならてぃぶすたいる」である。
●「ならてぃぶ」は「ナラティブ」なのか
「ならてぃぶ」は「ナラティブ」なのかというと、どちらとも言うことができる。これは「ナラティブ」というのが狭い範囲では特に海外のナラティブなTRPGに由来する強いナラティブであり、その技法や指向が日本で発達した「ならてぃぶ」とは異なるものだからである。これに対して、「ナラティブ」を下に書いてある「参加者全員が語るTRPG」というような広い範囲とした場合は「ならてぃぶ」も「ナラティブ」に含まれる。そのため、「ならてぃぶ」は「ナラティブ」であり「ナラティブ」ではないのである。
■「ナラティブ」と「ならてぃぶ」について
第1回である今回では、「ならてぃぶ」について書いた自身の記事であるnoteの記事、「TRPGのナラティブ」を短くまとめ、「ナラティブ」についての「ならてぃぶすたいる」での解釈と「ならてぃぶ」について語って行く。なお、「ならてぃぶすたいる」で語る「ナラティブ」のはあくまで個人的なひとつの考えである。
●ナラティブについての基本の考え
「TRPGのナラティブ」で書いたナラティブのイメージは、
「全員が語るTRPG」である。
今だと「参加者全員が語るTRPG」と言うだろうが、意味としては変わらない。
「全員が語るTRPG」という言い方の前段階として別の言い方をしたのが「GMだけでなくPLも語るTRPG」である。
対して、ナラティブではないというのは、語るのがGMに偏ったTRPGである。当然ながら、ナラティブなTRPGでもGMが語り進行する場所はあるが、とくにPLが語る比率が多いというのがナラティブなTRPGのイメージである。
なお、なぜPLが語る比率が多くなるのかというのには、マスタリングの手法やPLが語るように誘導するナラティブエンジン(ナラティブのためのルール)など、さまざまな理由があるが、それは「ならてぃぶ」の技術に関する部分となるため、前提の確認となるここでは一旦おいておき、基本の考えとする「参加者全員が語るTRPG」ということだけを確認しておく。
●ナラティブではないゲームとは?
TRPGはそもそもナラティブと切り離せないと言われる。では、なぜナラティブなTRPGとそうではないTRPGがあるのか、これについては、「ナラティブではないというのは、ナラティブが弱いということなのである」としている。
どの程度の強さがあれば十分なのかというところに関しては人によるところがあるため深く追求はしない。
ただし、ナラティブのためのルールが含まれたゲームでも、それが弱ければナラティブTRPGとして語られないし、逆にナラティブのためのルールがないTRPGでも、ナラティブTRPGとして語られることがあるのはあることは覚えておく必要がある。
●プロンプトの活用
ナラティブなTRPGにおいてよく活用されるのがプロンプトである。これを「参加者から語る内容を引き出す」ものとする。その種類や形式、運用もさまざまであるが、用語として確認しておく。
■ナラティブの分類
一口にナラティブと言ってもその形はさまざまである。その上で、ここではナラティブを二つに分ける。それがアクションナラティブとストーリーナラティブである。
●アクションナラティブ
アクションナラティブはその場で起きている動きを参加者全員が語るものである。基本的には物語の展開に影響を与えないその場面での演出であり、弱いナラティブとして扱われる。スキルデザインにおいて昔語られていたアクションに近いため、アクションナラティブとしている。
●ストーリーナラティブ
ストーリーナラティブは物語の展開に影響を与える語りを参加者全員が語るものである。とくにこれが強調されるのは展開(プロット)が変化した場合や、そもそも展開(プロット)が存在しない場合である。たいていの場合はこれが強いナラティブとして扱われ、ナラティブなTRPGというとこのストーリーナラティブを重視したTRPGが挙げられる。
■愛すべき希有な人たちへ
そもそも、ナラティブがわかる人はこんな記事を読まないし、参考にしない。そして、技術論に興味のない人もこんな記事を読まない。では、誰がこんな記事を読むのか? それは良い方向で考えれば、より楽しいセッションをしたいという熱意のある人たちや、新しい傾向のTRPGに挑戦したいという人たちである。
「ならてぃぶすたいる」では、そういった人たちが「ならてぃぶ」な遊び方で遊ぶことやそこから隣接するものとしての「ナラティブ」な遊び方で遊ぶことをサポートしていくことを目指している。