TRPGのナラティブ
TRPGのナラティブ
個人的にこんなものかなというのを何となく書いていく。
あくまで個人的なものなので、他の人と意見が違うとかはあると思います。
個人的なナラティブなTRPGのイメージは、
GMだけでなくPLも語るTRPGであり、
これの言い方を変えると、
全員が語るTRPGである。
そもそもGMは元から語っているので、この点に関してはPLがどの程度語るかというところでの区別となる。
TRPGはそもそもナラティブ
TRPGはそもそもナラティブでナラティブと切り離せないと言われるが、実際そうである。攻撃をするとき、ただ攻撃を宣言をする人もいれば、それに合わせて剣で切りつけるという描写を語る人もいるし、ルールによっては描写を語るだけで済ませる人もいる。
このとき、PLが語っているのでナラティブである。
さらに言えば、攻撃を行うという宣言もその場のキャラクターの行動を語っているので、下に書く弱いナラティブに入るが、ここでは一旦置いておく。
しかし、それではすべてがナラティブなのでは?
となるが、ここから、とくにナラティブが強さでルールや遊び方を区別し、とくにナラティブが強いものがナラティブといわれているので、ナラティブを含んでいたとしても、それが弱いナラティブならばナラティブとは言われないことが多い。
つまり、弱いナラティブというのが存在するが、これはナラティブとはみなされていないことがあるのである。
ナラティブが強いTRPGをナラティブTRPGと言って、ナラティブが普通ぐらいのTRPGをナラティブではないと言っていると、ナラティブが普通のゲームにはナラティブ要素がないと思われるので、混乱することになる。
ナラティブではないというのは、ナラティブが弱いということなのである。
強いナラティブとは?
では、ナラティブ要素が強いゲームとはどういうものなのか?
という疑問が出てくる。
この答えとしては、いろいろなものがあるが、GMではなくPLに語らせるというゲームデザインをしている、選択肢を提示しないというデザインがなされたゲームなどさまざまな回答があると思う。
選択肢にない行動や物語の重要な部分さえも、参加者全員で語るなら、それはナラティブであると言われるだろう。
ここで、選択肢にない行動が可能な程度なら(決して弱くはないが)弱いナラティブ、選択肢が提示されない程度のものなら普通ぐらいのナラティブ、語れと言われるものが強いナラティブというように、そのナラティブ度合いで変化するのである。
「ソードワールド」や「D&D5th」といった作品は、攻撃という選択肢も攻撃の効果も決まっているが、それ以外の行動も十分に可能であるため、弱いナラティブだが、その中では強めのナラティブである。
「D&D5th」ではインスピレーションを採用すると、よりナラティブにはなるが、その重要さから中程度の強さというぐらいである。
「第六猟兵TRPG」や「Aの魔方陣」ではそもそも選択肢がない。そのため、普通ぐらいのナラティブである。
普通ぐらいのナラティブとしては他にも、ロールプレイによってリソースを獲得したり、出来事の具体的な内容を自由に演出させたり、それを踏まえて結末を自由に演出させるという形、特徴をどのように使うのかというような形でいくつものルールが作られてる。「ステラナイツ」や「ストリテラ」、「ケダモノオペラ」といった比較的新しい作品をはじめ、「エンゼルギア」、「天羅万象」など古い作品にも見ることができる。
強いナラティブを持つ作品は、NPCや物語に関して、その重要な部分を含めた設定を決めろと行ってきたり、世界地図を見せてどこに行くかを決めろと行ってくるような作品である。「トーキョーNOVA」が神業という形でこのような強いナラティブ要素を持っている他、同人作品でも強いナラティブを持つ作品がいくつか存在している。
プロンプト
ナラティブを書く際には同時にプロンプトについても説明が必要な気がするためプロンプトについても書いておく。
簡単に言えば、参加者から語る内容を引き出すのがプロンプトである。
「あなたは類い希なる怪力を持っている」
という設定があれば、その怪力で課題を解決するべく描写を行う。
これは怪力ではなく、知識でも同様である。
こういった語りを引き出すものがプロンプトである。おそらく。
このプロンプトは、シナリオ内に含まれることもあれば、ルールが提示することやその場でGMが提示することもある。
二つのナラティブ
ここまでの内容で、だいたいナラティブについて書いた。
その上で二つのナラティブがある気がするので書いておく。
それが、ストーリーのナラティブとアクションのナラティブである。
この違いは簡単で、ストーリーのナラティブはストーリーに影響し、アクションのナラティブはストーリーに影響しないということである。
基本的に、ストーリーのナラティブのほうがナラティブ性の強いものとして扱われている。
ストーリーのナラティブ
ストーリーのナラティブは物語の展開に影響を与えるものである。
手遅れになるはずの状況から間に合わせる。死ぬはずの人物を生存させるというような形で物語を変化させるというようなIFに入るという形のもの、強力なブレイクスルーによって物語が動くもの、次の展開を全員で相談するものなどが存在している。
アクションのナラティブ
アクションのナラティブはナラティブという言葉が使われる前にスキルデザインでアクションと言われていたものに似ている。
移動のあと攻撃を行うスキルを使用する際に、踏み込む描写を行う、飛行状態になったあと、飛行状態でダメージが上昇するスキル使用する際、それを跳び蹴りとして描写するというようなものである。
こうして書くとアクションのナラティブは攻撃の描写のような気がするが、情報収集をどうやって行うかといったその場面の演出でありでシナリオの骨格に影響を与えない多くの演出や描写がアクションのナラティブである。
スキルもナラティブなのか?
今回のメインとなるところである。
「アクションのナラティブはナラティブという言葉が使われる前にスキルデザインでアクションと言われていたものに似ている」と書いたが、ではスキルはナラティブなのかというものである。
いわゆるスキルゲーはナラティブなのだろうか? という問いである。
スキルゲーなのでナラティブではないと短絡的に思う人も居るだろうが、上に書いてある内容をベースとして考えると、スキルがプロンプトであるなら、「スキルがアクションを提示するというのは、プロンプトが語りを引き出すのと同じ」としてナラティブあると言うことができそうである。
なおこのプロンプトとして優れたスキルはアクションのナラティブを引き出すという考え方を元に、それがすべてというわけにはいかないが、スキルデザインを評価することも可能である。
しかし、スキルがメインのゲームはナラティブTRPGと言われるのかとなると、そうは言われないことが多い。ナラティブTRPGについて語られる場合、多くはナラティブ要素の強いものがナラティブTRPGとして語られるからというのと、海外由来のナラティブの潮流に由来するゲームがメインだからである。
しかし、プロンプトとなるスキルが100以上あるようなゲームは十分にナラティブな気がするため、これを日本的なナラティブ、ナラティブTRPGということは可能かもしれないとは思っている。
ただし、同意を得られるかは怪しいので、あえて言うなら“ならてぃぶTRPG”とひらがなを用いた表記となる。
物語を動かすためのスキルはほぼブレイクスルーであるため、ブレイクスルーとして、物語のナラティブとして語ることもできるが、こちらは高レベル環境などの限られた場合やスキルの中でもさらに限られた例のため置いておく。
さらに、言うまでもなく、スキルの拡張、アンロックの機能によるナラティブ要素の追加もここでは扱わない。
まとめ
海外からの概念のようにナラティブやナラティブTRPGについて語ることが多いが、ナラティブについて考えを持ち、国内のTRPGに目を向けると、スキルやブレイクスルーという形で日本でもナラティブが発展していたことに気がつく。
そして、それを新たな指針としてこれまでの作品を再評価することや新たな作品に活かすことも十分に可能であると思われる。
個人としては、この日本のナラティブに目を向けないのは少しもったいないと感じる。
すでにあるかもしれないが、誰か「ならてぃぶTRPG」というような、ならてぃぶを重視したTRPGを作らないだろうか。
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