アプローチスタイル
これは?
これはOSRについて聞いた内容とかを元にした雑な内容の記事である。
本気にしてはいけないし、権威や真面目に語れる内容、OSRの答えを求める人は回れ右である。
そのために名前もアプローチスタイルとしている。
以前にならてぃぶとしてナラティブについて書いた記事も公開してあるので、それも合わせて読むといいかもしれない。
こちらは、ナラティブについての考察から、日本的なナラティブ、ならてぃぶを考えるという内容である。
ならてぃぶについてのnoteの記事
https://note.com/akshigi/n/na81ae0c96f77?magazine_key=mf279d371b0c3
この記事では作品をゲームとして挙げる場合はシリーズに準じる形で「」を用いて、その書籍を挙げる場合は『』を用いる形で区別しています。
雑にOSRについてのイメージまとめ
いきなりまとめ的なもので、アプローチスタイルの元となっているOSRについての現時点での個人的なイメージをまとめておくと、
昔いろんな遊び方があった。
→新しいゲームでは失われた遊び方をしたい。
→古いゲームやその復刻版で遊ぶ。
→ルールライト(砂場)
→OSRとかNSRとか?
ということである。
雑過ぎるのでもう少し詳しくすると、かつてのTRPGにはいろんな遊び方があった、というよりも、それぞれのプレイグループごとに別に遊び方をしていた。というところから始まり、新しいゲームでは昔できてた遊び方ができなくなったため、古いゲームやその復刻作品でその遊び方をするようになった。
というように変化し、それがルールライトのTRPGと結びつき、そこから、状況解決の手段(シナリオ骨子ではない)をPLに考えさせるスタイルを重視したルールとしてできたのが、OSRやNSRというイメージである。
この際、指針となっていた昔の遊び方、思想、プレイスタイルをアプローチスタイルとし、それを踏まえた作成した作品がアプローチルールである。
このアプローチスタイルは今から振り返ったものであり、その歴史の中で変遷もしていたり、これから変化するかもしれないが、現時点での個人的な理解で書いていく。
一度用語整理
ここまでで出てきた用語を以下に整理する。
なお、OSRやNSRなどは置いておく、わかれば苦労することはない。
ルールライト
何かいろんなところで聞く海外同人TRPGの1ジャンル的なもの、だと思う。
アプローチスタイル的な遊び方以外にも、唐突に思い付いたアイデアから簡単なTRPGを作ったりとかいろんなことをしている気がする。
そんな感じの本当にあるのかは謎の、個人的には、その場のノリと勢いでルールを作るような、個人的には海外同人の広さを支えているイメージのものを、ここではルールライトとする。
違うかもしれない。
アプローチスタイル
昔からあるプレイスタイルのひとつで、アプローチルールの指針となる。
ナラティブな遊び方は昔からあったが、ナラティブなゲームは最近できたみたいなものの、ナラティブな遊び方のほう。
アプローチルール
アプローチスタイルに沿って作られたルールを含むTRPGである。
ナラティブな遊び方は昔からあったが、ナラティブなゲームは最近できたみたいなものの、ナラティブなゲームな遊び方のほう。
その上でのアプローチスタイルとは?
アプローチスタイルとは?
個人的に、アプローチスタイルの特徴とも言える要素のひとつは、ひとつの状況や道具に対し、ルールやシナリオ、GMの想定などで定められた行動以外での解決方法や活用手段を用いることができる、もしくは、用いやすいことである。
例えば、三人のPCが川を渡る際に、GM、もしくはシナリオが水の流れに耐える判定を想定していた場合、通常はそれぞれが水の流れに耐えるための判定を行うことになる。
ここで、PLのひとりがロープを使って判定を有利にする手段を思い付くかもしれない(むしろ、慣れたPLは即座にそうするだろうが)。これが、アプローチスタイル的なやり方である。
ルールライトでデータが少ない場合、その場を有利にする手段がPLの発想しかなかったり、判定方法や処理ルール、行動の指示すらないために、自然とアプローチスタイル的になるという側面があるが、これはルールやデータのない、もしくは少ないTRPGだけで起こるというわけではない。
本来とは違う想定のスキルの組み合わせでこういったことを行える(これは、目的が変化せず、より効率化をするコンボともまた違うものである)のもアプローチスタイル的なやり方である。
例えば、本来は松明のように使うことを想定している物体を光らせる魔法を、矢に使用して放つことで、命中した敵が光源となるという使い方をしたり、その魔法をかけた矢を空に向かって放つことで味方に指示を出すという使い方で使用することで、味方に連絡するという使い方をして遊ぶことができる。
こういった応用可能なスキルの有無というのもアプローチスタイルとして遊べるという意味で、アプローチスタイルである。
中には、「血液を浄化」というような、あまり好まれないネタとして伝わっているものもあるが、こういったことができるのもアプローチスタイルである。
コンボについての補足
ここでは、コンボを解決手段をそのままに、複数の能力(スキル)を組み合わせたものとして扱っている。
例えば、敵を倒すという目的の上では、どのようにスキルを組み合わせても、それはコンボである。
ただし、敵を倒すという同じ目標に向かう中でも、本来は攻撃をできない相手に攻撃するために、効果にない使い方を提案するのは、アプローチスタイル的な発想としている。
アプローチスタイル的なデータ
こうして書くと、アプローチスタイルとデータは相容れないもののように思えてくるが、アプローチスタイル的なデータというのも存在する。それは、応用することを前提としたデータや特別な道具として使うためのデータである。例としては、何のために使うか、どう使うのかなどが書かれていない壁を作る魔法である。他にもいろいろあると思うが最初に出てきたのがこれだった。相手を閉じ込める、分断する、遮蔽に使うというように、その壁を発想次第でいろいろ使うことができるというのはアプローチスタイル的な運用を前提としているのでデータであるため、アプローチスタイル的なデータである。「グランクレストRPG」(矢野俊作/チームバレルロール)の《エレメンタルウォール:アース》は凶悪だと思う。下にいくつか例を挙げる。
アプローチスタイル的なデータの例
・壁を作る(壁をどう使うのかは発想次第である)
・天気を変える(どう変えてどんな効果を得るかは発想次第である)
・水を作る(水を用意できるという道具である)
・幻を作り出す(幻をどう使うかは発想次第である)
・水中で呼吸する(水中で呼吸できることを何に使うかは発想次第である)
これをアプローチスタイル的ではないものにするとなると、
壁を作るならば、
・壁で防ぐ(防御強化)
・壁で足止めする(移動妨害)
というように具体的に戦闘で使いやすい効果を設定すればいい。
ボードゲーム?
こうして考えるとボードゲーム的なものと紙一重な気もしてくる。
例えば、他のキャラクターを投げるというのは、敵に対しての攻撃としても考えられるし、味方に対しての移動手段としても考えられる。そして、ボードゲーム的な思考をしているゲームでは、当然、その両方を想定している可能性があるのである。
「迷宮キングダム」(河嶋陶一朗/冒険企画局)はこの傾向が強く、先ほどのキャラクターを投げるという例もこのゲームからである。
しかし、ここで個人的な意見を言うなら、それもアプローチスタイルに含めばいいというのが結論である。
移動するという目的の基本として、投げるというのを見つけた時点で、目的地に到達するという行動に対するアプローチスタイル的な行動である。
なぜアプローチスタイルとしているのか?
ここまでの内容でこのタイトルの答えはわかる気がするが、解決のアプローチとしてさまざまな手段を取り入れるからである。
重要なのは、ここでのアプローチは目的地となる場所をそのままに、その手段(アプローチ)を変更していることである。
ナラティブならば、物語を語ることを重視して目的地が変わることもあるが、基本的にアプローチスタイルでは目的地は変わらない。
変わるのはアプローチだけである。そのため、アプローチを重視するスタイルとして、アプローチスタイルとしている。
目的地がそのままで、演出や描写が変化する場合
目的と手段が提示され、その目的地に向かうために可能であれば他の手段での対処を行うというものである。
情報の項目とそれを手に入れるための手段(とその判定に使う能力値や技能)が提示されるタイプのゲームで、その判定が苦手な場合に使われることがある。その他、代用判定もこれに近いだろう。
例えば、特定の情報が欲しい場合に、聞き込みをするか、その情報を知っていそうな人を考え、聞きに行くかというのがこれに当たる。このような場合がアプローチスタイルなのかはかなり曖昧であるが、本来の手段が困難であるために、別のアプローチで目的地に向かうという意味では、アプローチスタイルであるように思う。多くのOSR的なものでは、このようなものは含まないとするだろうが、アプローチスタイルでは含んでも良い気がする。
アプローチスタイルのゲーム
アプローチスタイルは日本になかったわけでもないし、消えたものでもない。「夜のあしあと」(河嶋陶一朗/冒険企画局)では、『夜のあしあと』(河嶋陶一朗/冒険企画局)のP124に夜の魔法の余白という項目があり、ここでは夜の魔法のデータにはない使い方について書いている。
アプローチスタイルで遊びやすいルールとしては、最近(?)の国産作品では「ソードワールド2.5」(北沢慶/グループSNE)が挙げられると思っている。
アプローチスタイルの難しいゲーム
アプローチスタイルは、その発想をPLに求めることや、その発想に対応することに対するGMの裁定者としての難しさもあり、必ずしもいいことばかりということはない。また、発想を前提としてひたすらに難易度を上げればそれはただの理不尽なゲームである。
そのため、逆にアプローチスタイル的な要素を排除しているゲームも出てきている。
例えば、「この素晴らしい世界に祝福を!TRPG」(大畑顕/F.E.A.R.)では、本来攻撃用途ではない初級魔法で与えられるダメージを1D点と定義している(それ以外は可能と言えば可能であるが)。「ヴィジョンコネクト」(久保田悠羅/F.E.A.R.)でも、オンラインゲームものとしての設定でアプローチスタイルでの遊び方を制限することを書いている。これは、逆に言えばこれらのルールではGMもPLも遊びやすいということになる。
プレイスタイル全般に言えることだが、それぞれの遊び方を理解し、それが可能なメンバーで遊ぶことや、どのようなスタイルで遊ぶかを共有することが重要である。