透き通った物
小さかった頃 透き通った物が好きでした
いろんな色の セロファンや
おはじき ビー玉
向こうを透かしてみると
綺麗な色で 違う世界が見えた
透き通ったガラス窓に顔をくっつけ
その向こうの雲に乗って
どこにでも飛んでいける気がした・・・・
トンネルの中でガラス窓に映る自分を
じっと じっと
眺めていた
大人になるにつれ
そういうものをどんどんなくし
窓硝子の向こうを見ることもなくなった
見ていても 何も見ていない
雲を見ても 何も思わない
おはじきも ビー玉も
セロファン紙も
今は透かしてむこうをみることもない
人の心も
もしかしたら
曇りガラスを通してしか
見ていないのかも知れない・・・
それでも
こんなふうにふと
あの頃好きだった 透き通った物を思い出すと
曇って見えない自分の心も
ふ っと
透けて見えたような 気がする